市長の記者会見記録は絶品の禅問答

 市のホームページの市長の記者会見記録を読んで、もどかしい思いがする。記者にもっと「突っ込」んで質問し、報道してほしいと知人からメールがありました。そこで、1月21日の定例記者会記録に目を通しました。

 そこで記録を読んでみると、まさに指摘のとおり。報道や客観情報をもとに昨日書いたことを裏書きし、それに肉付けする内容。記者たちはかなり執拗に突っ込んで質問していますが、市長に誠意と一貫性がないから限界。

 結構長いやり取りになっていますので、詳しくは市ホームページを見てもらうとして、さわりだけ引用します。怒りを通り越して、開いた口が塞がらないとは、まさにこれを読み終えた後のためにある言葉。見方を変えれば、心底から楽しめる絶品の禅問答。

記者… 議会に対して一旦説明を取り止められましたが、現在、どのような対応をお考えなのですか。

市長… 現在、議会の対応をお待ちしている状況です。

            (中略)

記者… では、現在、ボールは議会にあるということですね。

市長… そうです。早く前に進めて、協調してやっていければと思っています。

記者… 現在、他の市町も含めて新年度予算の大詰め作業が行われていると思います、特別委員会が開催されない場合は、病院関連の予算はどのように対応されるのですか。

市長… 当初予算ではなく、補正予算の対応も可能と思っています。

記者… 市長は、駅前で市民病院の整備を行いたいという思いはあるのですか。

市長… 現在、熟考しておりますので、ノーコメントとさせていただきます。

「ボールは議会にある」とピッチャーは投げたつもり? 議会が自分の部下であるかの如く

 ピッチャー(市長)はすでにボールを投げたつもりでいる。しかし、「議会に対して一旦説明を取り止め」たり、「熟考しておりますので、ノーコメント」という発言とは矛盾する。そして、市長は実際は自ら提案も発信もしていない。

 いずれにしろ、議会が市長と同様にボールが投げられたと認識しているかどうかは、2月7日特別委員会で判明します。もし議会も同じ認識でいるなら、市民の常識が通じない世界になってしまっている。市長が議会を自分の部下か下部組織のように見做しているのではないかという印象を受けました。

 このことは、市長の次のような言葉に良く表れている。「特別委員会で議決することはありません。市から説明し、例えば議員間討議をしていただき、熟考していく中の一つの参考になると考えています。」これでは、主客が逆転している。

 

行財政改革 使用料・手数料は、2月定例会に条例改正案として提案?

 ところで、ホームページを開いたついでに1月24日(月)の部長会議録を見て、また驚きました。それは、行財政改革推進プラン(案)に係るパブリックコメントの実施についての案件。

 コロナウイルス感染の急拡大を理由に市民説明会を急遽中止し、その代わりにパブリックコメントを実施することが報告され、質疑が行われています。なお、説明会直後の30日に市も主催者であるリラックスコンサートが開催されたので、この中止理由に説得性はない。

 このなかで、次のやり取りがあります。

 

→パブリックコメント後、議会への議案提案までのスケジュールを教えていただきたい。

→2月10日(木)にパブリックコメントを締切り、いただいた意見に対する市の考えをまとめ、2月の全員協議会に報告する。その後、使用料・手数料については、2月定例会に条例改正案として提案する。

→2月 10 日(木)に締切りで、その後庁議に諮り 17 日(木)の全員協議会で報告するというのは、スケジュール的に厳しいのではないか。

 

 「スケジュール的に厳しい」というのはもっともな意見。この後も延々と同じ趣旨の意見や質問が出されている。一例だけを上げると次のようなも。

→丁寧に進めるというのは、例えば議会への提案を次の議会に変更する、ということか。

→それぐらい丁寧にやった方が良いと思っている。

 

 しかし、最後は次のような副市長の言葉で終わっています。これで、全員が了解したことになったのか?

→当初の予定より少し遅れ気味ではあるが、ようやくここまでできた。どれくらいの数や内容の意見が来るかわからないが、せっかくここまでまとめ上げてきたので、財政状況に鑑みて市として早急に実施してほしいと思う。各部局も協力いただきたい。(副市長)

市民負担増やサービス削減のプランなら議決計画に! Bブロック病院同様に市長のひとり言に終わる

 ここでも、記者会見記録と同じぐらい、開いた口が塞がらない。将来にわたって市民負担を増やしたり、サービスを削減することを盛り込んだ多岐にわたる計画をこのような簡便でずさんな手続きで強行するとは、驚き。ここでも、市長は、議会は自分の部下か下部組織のように見做して、文句も言わないで唯々諾々と付いてくると思っているよう。ということは、市民も同様に見做されていることになる!

 まず、このような手続きで策定した「行財政改革推進プラン」に基づき、使用料・手数料を値上げする条例改正案を2月議会に提案するとはあまりにも乱暴。乱暴であるとともに、急いでいると言うことは、条例案は当初予算案に反映されているはずなので極めて危険なやり方。条例案が否決されたら予算案も修正しなければならない。

 以前にも書いたように、今公表されている資料の内容では市民は意見を出せない。参考に資料を添付しておきます。また、それ以前の問題として、行財政改革のプランの策定が進められていてそれに関してパブリックコメントが実施されていることをほとんどの市民は知らない。だから、意見は出てこないかもしれない。それを良いことに、市民は了解して押し切ろうとしている。

 もし、行財政改革のもとに市長の給与削減など、組織内部を対象の計画ならこれで良いかもしれない。しかし、このプランを市の計画として位置づけ、そのなかに市民の負担増やサービス削減を盛り込むのであれば、少なくとも議決計画にすべき。

 その理由を端折って簡単に述べます。議決計画であれば、市議会は、使用料・手数料を値上げする条例改正案の審議において計画に拘束される。しかし、その手続きがなければ、当然それに拘束されず、条例案を頭から否決することができる。ということは、結果的にこのプランは市の計画ではなく、Bブロック病院と同様に市長のひとり言に終わってしまう。そして、また同じように「現状では予算案も条例案も賛同されない。否決されたら時間の無駄になる」(中日新聞2022年1月15日)と繰り返すことになる。

 なお、このプランには、以前触れたように、「文化3施設集約」の項目があり、「市内に重複した文化3施設について、市内1箇所に機能集約する。」と記述されています。ここでの庁内での想定は、これまた、「コミセンやす」はどうなるのかと心配したように、駅前の文化ホールと小劇場を廃して、さざなみホールに集約となっています。