市長の返答は「他の意見もあり、考え」ている
先日紹介した駅前新病院の実現を目指す市民団体の栢木市長への要望書。その内容は、中止となった病院の市民説明会の開催、市条例で定められた駅前Aブロック病院の実現、駅前商業開発の1,500万円の予算の執行保留の3点でした。
先日紹介したときは、要望書の提出に参加した市民から聞いて、「市長からは明瞭な返答はなかったとのこと。市長の対応は逃げているようで、覇気がなかったとのことです。」と書きました。市長の言葉がはっきり聞き取れなかったようでした。
ところが、その後、新聞報道を読んで、もう少し状況がつかめました。記事は次のとおり。その場の情景を上手くとらえたカラー写真も添えられていて、雰囲気が的確に伝わってきます。
「栢木市長は『他の意見もあり、考えさせていただいている』と述べた。小島代表は提出後「多くの市民の声を軽く受け止めていると感じた」と話した。」(中日新聞2022年01月28日)
これでは、「天の声」の仲介人 「天の声」には具体性がない
市長の答えは、わざわざ足を運んで要望を伝えに来た市民の声にはまったく聞く耳を持たないといった、頑(かたく)な門前払い。というより、実のところは余裕のないもの。その意味では、正直な反応。ところで、この言い方からは「他の意見」というのが、よく言われる「天の声」のことのように聞こえます。
普通であれば、このような場合、市長は、市民の代表として自らの考え方を述べるもの。意見を持ってきた市民に対して、自分のものでない他人の意見があるなどといっても意味をなさない。これでは、単なる「天の声」の仲介人の役割。
ここでの「他の意見」は、今ある情報からは、市議会会派「創政会」の要望書になります。ただし、この要望書は「Bブロックにおける病院整備を速やかに断念}と言っているだけで、新病院については「今後、新たな用地に整備すること」としか言っていない。市民団体の要望が具体的なのに反して市長が拠り所にしている「他の意見」なるものにはまったく具体性がない。
病院は何を、どう、いつまで考えているのか? 駅前商業開発は止まっている?
報道されているやり取りからは、市長の、ということは野洲市の置かれている状況が見えてきます。
まず、市長の答えからは、これまで盾にしてきた、公約も民意も消えたことが注意をひきます。「新たな用地に整備」ということは、市長の公約にはなかった。新病院に関しては公約では現地半額建替えだけ。したがって、公約や民意を理由に突っぱねることはできなくなっている。
また、市長の答えからは、本来出るべきであった、Bブロック病院整備の話もなかった。これまた当然のこと。すでに議会や市民に対してBブロック病院整備の断念を実質的に表明しているからです。
ということで、市長は、言い換えれば野洲市は、具体性がない「他の意見」を聞いて、考えている最中ということになる。これでは、何を、どう、いつまで考えているのか皆目分からない。
そうしてもうひとつ状況が見えないのが、市民団体の要望にあった、駅前商業開発の1,500万円。要望では、病院の見通しが明らかになるまでの間の予算執行の保留を求めている。公表されたスケジュールでは、1月22日の市民説明会がキックオフ(開始宣言)になっていた。しかし、それが中止になったからには、開始ができないはず。しかし、それが今止まっているのか、それとも秘かに動いているのかが見えない。
特別委員会では本来の新病院整備の議論を期待 会派要望書の意見形成も
2月7日 の特別委員会では、市長が断念したBブロック病院の基本計画案の審議にとどまらず、本来の課題である新病院の整備について根本からの議論が期待されます。そのためには、付随的に、とは言っても、まずは「創政会」の要望書の検証が必要になる。なぜなら、この要望書は、市長に対してだけでなく、荒川議長、すなわち市議会にあてても正式に出されているからです。いわば、議会にも突きつけられた形になっている。したがって、市議会としても放置はできない。栢木市長は、すでにこの要望書についての判断を公表しているが、市議会はまだ黙したままで総意を形成して公表していないなからです。