病院への心配があまりにも切実だった

 昨日紹介した初対面の市民から問いかけられた22日に予定されていた病院の市民説明会。その人は、市広報1月号に大きく案内が出ていたが参加できなかったので、結果が気になっていたとのこと。新聞折り込みの中止を知らせるチラシを見ていなかったので、説明会が開催されたものと思って気になっていたようです。その理由は、Bブロック病院では無理があって安心できない。それが強行されることを心配していたようでした。

 説明会が中止になったことを知らせると、しばらくの間ほっとした表情に変わりました。しかし、Aブロック病院に戻るのでなく、病院の見通しそのものが危なくなっていると伝えると、また心配の表情に戻りました。その話しぶりがあまりにも切実だったので、今日もその時のことが思い出されたほどです。

 

ナメクジに塩をかけたように市長を一瞬にして断念に追い込んだ要望書

 そこで、改めて、市広報と中止を知らせるチラシの両方を見てみました。するとそこに、もうひとつチラシが舞い込んできました。服部嘉雄議員の市政報告。知人がメールで送ってくれました。地域限定で新聞折り込みされたようで、私のところには折り込まれていなかった。知人の話では、良質な紙にカラーで印刷された、1議会の報告にしては異例なほどお金がかかっているチラシだとのことです。

 チラシの表面は、議員にとっては当選後、実質的には初の議会であった昨年11議会の報告。議員としては誠実な対応。また、裏面は、今話題にしている病院の市民説明会の中止の原因となった「創政会」の要望書の説明にあてられている。正確に言えば、栢木市長が昨年5月に急遽方針変更をして進めてきたBブロック病院をこれまた急遽断念させた要望書。この要望書によって、ナメクジに塩をかけたように一瞬にして、市長は、1千万円あまりの市税を使って計画策定中のBブロック病院を断念した。そして、市民説明会だけでなく、1月14日の病院特別委員会までキャンセルした。この要望書は、それほどの大きな破壊力のある要望書です。このことは、「私の所属する保守系最大会派の創政会から市長及び議長あてに次のような要望書を提出しました」という意気軒高な議員のチラシの書き出しによく表れています。

 

Bブロック病院断念は不自然ではないか? 出来すぎているのではないか?

 これらチラシや広報紙の記事を読むと、当初から感じていた疑問が改めて浮かんできます。端的に言うと、不自然ではないか?できすぎているのではないか、ということです。疑問を順不同に書きます。

①病院の現地半額建替え公約の違反にはじまり、二転三転の批判が出るなかで、政治生命を一層落とす恐れがある、Bブロック病院の断念を1会派の要望書だけで市長が抵抗もなく即断した不自然さ。

②要望書を出した「創政会」は市長会派。要望書に名前を連ねた6議員のうち5議員は市長が擁立した新人議員。市長が1千万円あまりの市税を使ってBブロック病院の計画策定中であることを承知の上で市長の誘いで立候補した。これら議員が当選後、時を置かずに説明もなく変身したことは不自然。また、これに対して市長が怒るどころか抵抗もなく応じたことは不自然。

③上記5議員のうち、今回チラシを折り込んだ服部嘉雄議員は、1月14日、特別委員会に代わって開かれた全員協議会で、自らが栢木市長の一昨年の市長選の時に事務局長だったか会計責任者だったか、暗に市長の腹心か盟友であることを会議の議題に関係なく、自慢そうに吹聴した。それほど栢木市長に親しい人間が市長の進めている政策に反する要望書を出し、その上チラシで吹聴することはあまりにも不自然。

④以前にも書いたことですが、昨年末概要が公表された2022年度予算には、本来盛り込まれなければならない基本計画策定後の相当な額になるBブロック病院整備事業費が実質的に計上されていない。このことは、不自然であり、これは市長の了解なくしてはできないこと。市長は早い段階からBブロック病院を断念していたのではないか?いや、そもそも、当初からフェイント(見せかけ)だったのではないかという疑念まで出てくる。

⑤「創政会」の要望書の内容紹介からはじまる市広報紙の号外を、高額ではないとしても市税を使って新聞折込みまでして配布することは不自然。要望書の文章に市長の口吻(こうふん)が感じられる。

市長の自作自演の喜劇の様相だが、市民にとっては悲劇 新病院整備しないダメ押しまで

 改めて整理すると、市長会派から突如、市長の意向に反する要望書が出るという珍事が発生した。それにもかかわらず、市長は憤慨も抵抗もしないで、素直にそれを受け入れて、即刻Bブロック病院を断念した。通常であれば、大事であるはずなのに、事は平穏、円滑に済んでいます。また、普通であれば、市長にとって自らの政策を打ち砕いた2度と見たくもないはずの要望書の内容を市ホームページだけでなく、新聞折込みチラシまで使って市民に知らせた。片や、これまた通常であれば、市長会派でありながら市長に対して反旗を翻す内容の要望書を出したこと、言い換えれば内輪の揉め事を、わざわざ「豪華な」チラシで市民に紹介する服部議員の行為。

 このように辿ってくると、今回の要望書による断念騒動は、勘ぐるまでもなく、市長の自作自演のように見えてきます。喜劇の様相を帯びていますが、市民にとっては悲劇。

 服部議員のチラシには「現在の市立野洲病院は必要な機器の導入 や建物の修繕も行っており、当分の間、使用に支 障はないとのことです。」と、新病院の整備をしないことのダメ押しまでしてある。