プランの内容以前の問題として、手続きがひどい まず、議員によるチェックが必要

 「野洲市行財政改革推進プラン案」。とりあえず目を通しただけで、気になるところを昨日紹介しました。本当は、市民生活と将来のまちのあり方に広く及ぶ内容であるので、もう少し詳しく見る必要がありますが、たちまち読み返す気が起こらない。そこで、気になる大きなところを書き上げておきます。

 まずは、プランの内容以前の問題として、手続きがひどい。したがって、なによりも市民代表である議員にきちっとチェックしてもらうことが必要。それと合わせて、子育て、教育、福祉、環境、市民活動、その他市民サービスそれぞれ関係する市民の皆さんが建設的な観点からチェックされること。また、市職員の雇用や労働条件に大きく影響するところもあるので、職員による、自らと市民のことに配慮したチェックも必要。今回の改革案は、2010(平成22)年 2 月、リーマンショックに対応した2年間限定の集中改革プランとは正確が全く異なる。その集中改革プランでも、当時時間をかけて説明会や懇談会を開いた。

日本語で書かれているが、背景情報なしでは問題点を見つけられない

 プラン案は、日本語で書かれてはいますが、それを読むだけでは、市民には十分理解できない。それは、市民の理解力の問題ではなく、改革プラン案にあげられている制度や事業の経緯や現状、また近隣自治体や全国的な最新のトレンド(動向)などの背景情報を持っていないと正確に読み解いて、問題点を見つけられないからです。したがって、少なくとも、質疑応答のある説明会は欠かせないし、本来なら市民代表と専門家を入れた審議会による案の作成が必要。

 このようなプランであるから、公共施設での閲覧と市ホームページでの公表では、十分意見が出されないおそれがある。市長にとっては、その方が都合が良く、それがねらいかもしれないが、市民とまちにとっては危険なこと。

本来は選挙公約として市民に問うべき その上で法的審議

 プラン案の内容は多岐にわたりますが、昨日紹介した事業などは、本来は選挙公約として市民に問うべき事柄です。そのうえで、例えば保育園の民営化などは、条例設置の子育て支援会議で個別に審議すべきものです。もし、今回のプランが確定すれば、制度上今回のプランには法的根拠がないとしても、実質的に法的位置づけを持つ子育て支援会議の審議を拘束することになる。栢木市長が得意の本末転倒です。保育園の民営化に限らず、他の分野でも同様です。

プラン案は市議会の審議と承認のうえ公表された? 議決計画にすべきもの

 昨日の全員協議会でプラン案についてどのような議論がされたか不明。ただし、外から見れば、この案は市議会の審議と承認を経たうえで、公表され、意見を求める手続きに至ったとみなされる。その意味で市議会の責任は重い。

 意見募集期間含め手続きが公表されていないが、プランの確定までには2月議会での質問で議論が深められるのか?市民の広い関心を呼ばず、議会の関与も中途半端なまま、この案が確定に至れば、危険。

 改めて言えば、この案は、良くも悪くも現状の仕組みや市民サービスを根本から変える内容を含んでいる。はじめのところでは、わずかな角度の傾きが、先へ行けば大きくなります。あえて言えば、議決計画にすべきもの。

栢木市長の選挙公約とは真逆の内容 一種のクーデター

 上で本来このようなプラン案の内容は公約として市民に問うべきだと書きました。なぜなら、その重大性とともに、栢木市長の公約とは真逆の内容だからです。都市計画税の当面の間の延期、水道料金の基本料金減免、近隣市に先行する子供の医療費の無料化拡大などの選挙公約とは正反対の方向。

 今回のプラン案の非情さは、新市民病院の展望を消してしまうとか、市民の貴重な財産である駅前市有地を明確な事業のめどもなく売り急ぐなど、市長の一連の進め方の延長に見えます。しかし、それ以上に冷たい。

 というのは、直感レベルの話ですが、プラン案に市長の息遣いがうかがわれない。失礼な言い方になるが、多分市長は市民に対面して、自分の口からこのプラン案の柱を説明できないのではないか?むしろ、案には川口副市長の姿が見え隠れします。事実、行財政改革は川口副市長の得意分野だし、おそらく執念。いくら行財政改革の必要性を認識する職員であっても、市民であればこのように非情な案はまとめられない。

 昨夜書き終わってから思い浮かんできた言葉が、昨日に引き続き、これまた不穏当ですが、一種のクーデター(ひっくり返し・反逆)というもの。市民に対してであるとともに、市長に対しての。

 行財政改革の必要性はまったく否定しません。しかし、今回のものは、端的に言えば、土地を買うためでなく、売るための財政改革。昨日も書いたように、行政改革であれば、めざすまちの姿とそのための具体的な事業、言い換えれば、ビジョンとセットでなければならない。これでは、店仕舞いならぬ、町仕舞いプランになってしまいます。