稲垣議員の主張が創政会の要望書の骨格になっている

 先日の市議会市長会派である創政会の要望書と前後して、稲垣誠亮議員のチラシが新聞折り込みされました。創政会の要望書は奥山文市郎議員はじめ市議6人の連名で、病院をBブロックでなく、郊外に建てることを市長と議長に求める内容。

 そして、同会派の一員であり、要望書に名前を連ねている稲垣議員のチラシの主張も当然、要望書と同じ趣旨。

 というより、経緯は逆であって、なんと、稲垣議員の主張が創政会の要望書の骨格になっています。

稲垣議員の姿勢がどこかで急変した

 普通であれば、新聞折り込みして市内に配布されたとはいえ、一議員の主張を気に掛けることはない。ところが、その主張が、荒川議長が会長である市議会最大会派で市長会派の主張の基本となているからには、気を付けないといけない。

 稲垣議員はこの主張を昨年秋の市議選の直前から数度にわたる新聞折込みチラシで喧伝しだした。稲垣議員は、栢木市長が就任するまでは、立入前議員とともに駅前病院反対の急先鋒議員のひとりでした。ところが、栢木市長就任後は、駅前病院に関する質問どころか、議会質問もしなくなった。選挙直前の8月から9月の定例会という重要な機会でも質問はまったくなかったし、本会議も欠席していたことがあった。今調べてみると、この間4回あった定例会のうち、質問したのは1回だけ。それは、一昨年12月の定例会。そこでは、新病院のことではなく、現市立野洲病院の MRI装置について。

 ということで、栢木市長が昨年5月にBブロック病院方針を表明してからでも定例会2回、その他特別委員会や全員協議会があった。しかし、そこでは栢木市長に公約を守ってBブロック病院方針を撤回するように求めなかった。それであるのに、市議選直前から急に強硬に主張しだし、その後ますますエスカレート。挙句は、市議選では病院に関しては考え方を示さなかった新人5人の議員を含む7人の最大会派の論調までになった。不可思議なこと。

 なお、参考までに令和2年12月7日の市議会定例会での稲垣議員の質問の冒頭を引用しておきます。

「今回、新市長の誕生により市立野洲病院の改修になるのか、あるいは郊外での整備になるのか、流動的な部分がありますが、どちらの選択になるにせよ、市長におかれましては必ず4年以内に工事に着工していただくよう、改めて市長に求めてまいりたいと思います。 今後、当職は、現市立野洲病院の機能強化、収益の向上に全力で取り組んでまいりたいと思っております。」

 ここでは、関心は、現市立野洲病院の機能強化のことだと言い切っている。このように辿ってくると、稲垣議員の姿勢がどこかで急変したことがわかります。

市長の公約違反は許されないとはいえ、身勝手な正論 病院現地半額建替え公約は?

 本題に入ります。稲垣議員や創政会の主張は、要するに次のこと。栢木市長はBブロック病院を進めることによって駅前に病院を整備しないという選挙公約に違反している。公約違反は許されない。したがって、公約を守ってBブロック病院を断念せよというもの。

 創政会の要望書では次のとおり。「Bブロックは駅前立地であり選挙公約を反故にするものではないかという市民の声が大多数を占めています。加えて、昨年 10月の市議会議員選挙においても、同様の厳しい意見が私達に多く寄せられたのも事実であります。」「従いまして、上記の理由により Bブロックにおける病院整備を速やかに断念し」、「市にとって必要な地域医療を存続していくために充分な議論を重ね、今後、新たな用地に整備することが賢明であると判断します。」

 市長選の公約は守られるべきもの。公約違反は許されない。これらの主張は正論です。しかし、それを主張するなら、もうひとつの公約である、病院現地半額建替え公約も同時に守ることを当然求めるべき。稲垣議員は、一時、病院現地半額建て替えの公約も市長に守らせると言っていましたが、今回のチラシでは実質的に矛を収めている。これでは、身勝手な正論。ましてや、病院を郊外ということは市長の公約にはなく、こちらは身勝手なすり替え主張。

 さらには、条例で病院用地となっている駅前市有地の売却要求まで公言しだしては、小池知事ではないが、「極」のつく飛躍、いや悪乗り。

 14日の特別委員会で透明で徹底した、市民が納得できる議論が望まれます。