Bブロックでの病院整備を断念するよう要望書 新病院は駅前ではなく、郊外に

 今朝の新聞に驚きの記事が出ていると知人が連絡をくれました。昨日5日、市議会の市長会派である創政会の奥山文市郎副会長ら市議6人の連名でBブロックでの病院整備を断念するよう要望書が提出されたというもの。要望書は栢木進市長と荒川泰宏議長あて。なお、荒川泰宏議長はこの会派の会長であるので荒川議員も同じ考えてあり、趣旨の賛同者は実質7人になる。他の議員は、服部嘉雄議員、稻垣誠亮議員、山崎有子議員、村田弘行議員、石川恵美議員。

 記事では、「計画案を『具体性に欠け、市民に説明責任を果たせるような熟度に達していない』とした上で『Bブロックに明確なビジョンや財政的な裏打ちがない。スケジュール通りに整備を進めるのは極めて拙速。市にとってリスクが大きく、将来に禍根を残す』と指摘。計画を見直し、A、Bの両ブロックや近接地を含む駅南口全体を複合商業施設整備地区と位置付け、開発を進めるよう方針転換を促した。」(中日新聞2022年1月6日)となっている。

 また、記事は「本紙の取材に奥山副会長は『新病院は駅前ではなく、郊外に新たな用地を求めて整備すべきだ』と指摘。栢木市長は『内容を精査し、対応を検討する』と語った。」(中日新聞)と締めくくられている。

要望内容自体は議会での稲垣議員の主張と同じ

 要望の内容自体は、今回名前を連ねている稲垣議員が昨年末の市議会で主張していたもので初めてではない。議会では稲垣議員は栢木市長の駅前に病院を建てないという選挙公約の違反状態を解消しその順守も理由にあげていた。今回報道はされていないが、要望書にはそのことの記述もあるようです。

 さて、この要望書に市長がどう対応するか?を市民や他の議員がどう受け取り、どう評価するか?また、今後の議会運営と事業展開にどう影響するか?これらのことの全体はわかりません。とはいっても、たちまち推測されることを整理してみます。

市長の対応は二者択一 要望を認めるか稲垣議員の主張どおり辞職して再度選挙

 まず市長の対応。これは、要望を認めるか認めないかの二者択一。

 市長は本来であれば、即座に認めないと回答すべき。しかし、「内容を精査し、対応を検討する」と腰の引けた答えになっていることから、要望を認める可能性はある。

 他方、認めない場合は、自分の会派からも見捨てられることになり、孤立無援となり、実質的に市政運営が続けられなくなる。そうなると、結果的には、稲垣議員が議会で主張していた、市長を辞職してBブロック病院の公約を掲げ、再度選挙に臨むしか余地はない。

 いずれにしろ、以前書いたように来年度予算案には工程表に示されているBブロック病院の実質的な事業費が盛り込まれていないので、市長自身も内々はBブロック病院を本気で進める気はなかったと思われる。

今後の議会運営と事業展開はまったく先が見えない

 市民や他の議員の反応はさて置き、次に今後の議会運営と事業展開。

 たちまち14日に病院整備の特別委員会が予定されている。Bブロック病院に反対の議員がこれだけ多数であることが明らかになった。従来から反対を表明している議員を加えれば過半数を軽く超える。態度を明確にしていないのは、公明党の津村俊二議員と木下伸一議員、立憲民主党の山本剛議員だけ。この3人は従来から市長会派と歩調を合わせてきたので要望書に賛同する可能性も多分にある。このような状況のなかで、Bブロック病院の基本計画等の委員会審議は成立しない。

 これと同じことが、22日と27日に予定されている市民説明会についても言えます。

 また、市長が2月の議会に提案すると約束している病院事業の設置条例も見通しが怪しくなってきます。現行ではAブロックの住所地番が定められているものをBブロックのそれに改正する予定であったはず。ところが、この状況では、Bブロックの住所地番に改正できない。これについても、上で述べたように来年度予算案から見ると本気で改正するつもりだったかどうか怪しい。

 このように、今後の議会運営と事業展開はまったく先が見えない状態。

奥山議員の気楽で無責人な郊外発言と市長の対応は病院への一撃 茶番が混じった悲劇

 最後に、一番肝心なこと。病院がどうなるかということです。奥山議員は「新病院は駅前ではなく、郊外に新たな用地を求めて整備すべきだ」と気楽で無責任なことを言っている。市民の税金で報酬をもらっている議員である限りは、少なくとも自ら責任をもって、「対案」として適地を提案すべき。耳を疑う発言。

 このような状況で、まずは、病院職員の動揺が計り知れない。先の議会で、市長が今のところはBブロックと発言した時の福山院長の動揺のレベルでは当然済まない。

 市長公約の現地半額建て替えからはじまって、これまでの二転三転。そこに来て、この要望書と加えて、市長が明確な意思表示をしなかったこと。これはあってはならないし、望むところではありませんが、病院職員と医療関係者に大きな一撃になる恐れがある。

 今回の要望書と市長の対応によって病院と医療が置かれることになる苦境は先のことでなくたちまちのことです。その結果としての市民の医療への影響も推し量れません。

 この1年数か月間、病院に関しては異常なことの連続。予感がなかったわけではありませんが、今回の劇的な出来事はそれを超えている。これが喜劇であれば幸いですが、ここまでくればそれは望み薄。ということは悲劇であり、あえて言えば茶番が混じった悲劇。