病院や駅前の商業開発で何もかもがきちっと押さえられていない

 昨日、山の頂上に立って、まちから琵琶湖、比良の山並みへと広がる眺望を楽しみながら、ふと思い浮かんだこと。それは、まちの状況は、「ドアを閉めないで走り出した電車のような危なさ」ということでした。

 その前日、市広報の記事に絡めて書いたように、病院や駅前の商業開発で相当の無理が重ねられている。一見すると体裁が整っているように見えるが、外から冷静に見ると隙間と破綻がいたるところにある。そのことが、この例えに繋がっています。

 まず、病院については、Bブロックにどのような病院がいくらでできるのか全く明らかにされていません。市民からの市長あての手紙への回答でも、いまだに「総事業費120億円の贅沢な」病院に代わって身の丈に合った病院をつくるという過去への批判の繰り返し。そもそも、幅30mのBブロックに160床余りの病院がきちっと建つ確証がない。また、今示されている案ではまったく不足する駐車場を公共施設の再編で生み出すと説明ているが、その具体的な計画はない。仮に再編するにしても、市民の合意と経費が必要。

 まず急いで先に目処をたてないといけない病院の見通しがこのような状態であるのに、元の病院予定地であったAブロックには、早々と商業開発の事業費をつけてしまった。ただし、この商業開発も昨年あれほど強引に進めたサウンディングの結果では何の展望も見いだせていない。

 これでは、何もかもがきちっと押さえられていない。まさに、ドアを閉めないで電車を走り出させたようなもの。

Bブロック病院の3案は病院候補地3案と同じようにダミー? 選択肢にならない!

 今月22日と27日に開かれる病院と駅前事業の説明会でも、昨年の評価委員会や特別委員会に出されたBブロック病院の3案が出されるものと思います。なお、これら3案は昨年春の3つの病院候補地案のことを思い出させます。いずれも実のところ、ダミー(見せかけ)だった。しかし、結果的には、急転直下、筋の通った説明もなく、市長が自らあり得ないと言っていたBブロックになった。

 市長のこの病院の場所の方針転換には無理が潜在しています。そのことが、今回のBブロック病院の3案に現れている。一般的に新しく事業をはじめるにあたって複数の案を示す場合、方針や考え方の違いによって複数案が提案され、そのなかから選ばれる。日常の例えで言えば、外食で和食、中華、洋食のどれにするか。また、野洲から京都に行くのに電車で行くか車で行くかといった選択肢。それぞれどちらの選択肢にも無理はなく可能なものです。食事の場合はどれを選択しても食欲は満たせるし、交通手段の場合は目的地に行ける。そのなかから、その時の思いや事情によって選べば良い。

 ところが、今回の病院の3案はこのような選択肢とは違う。要するにBブロックが狭いために出てきた選択肢。本来の目的物である病院の方針や考え方の違いによって出てきたものではない。そのうえ、過去の病院候補地3案と同じようにいずれも実現性に問題があり、ダミー(見せかけ)に近い。

 

 

 

いろんな意味で疑念を抱かせる「個別サウンディング」

 もう一方の駅前商業開発の問題点については、議会での指摘を中心にすでに紹介しました。事業目的と手続き、そして実現性が見えない。

 小さなことですが、気になることがあります。それは、担当部長がいかにも有効策のようにしきりに持ち出してくる「個別サウンディング」。以前にも紹介したように、記者会見で「この個別サウンディングとは、支援いただくコンサルタント業者が市に成り代わり各種業界・業態の実態を含めて調査、聞き取りを行う総称として使用しています」と説明している。

 この「個別サウンディング」なる手法が通常存在しているものなのか、また存在しているとして効果のあるものなのか皆目見当が付きません。昨年夏の議会ではホテルを例にあげて、シティホテル、ビジネススホテルなどと部長が答弁していましたが、聞いていてさっぱりイメージがつかめなかった。というより、公共事業であるのに事前調整をしようとしているようで、あまり良いイメージがなかった。いろんな意味で疑念を抱かせる行為。

 1,500万円の予算のどれだけがそれに費やされるのかは不明ですが、そこまで無理をしてコンサルタント業者に縋って奥山市議の口癖の「市の一等地」に「にぎわい」をつくらないといけないということは論理矛盾。「市の一等地」であるならば売り手市場になるはず。

 やはり、ここでもドアが閉まっていないのに、電車が走り出してしまっています。

議会決議を無視し続け、市民要望を軽く扱う一方、外部コンサルタントに縋る市長の本末転倒

 最後に、もうひとつ気になるおかしなこと。それは、市長は議会の決議や要請をこれまで無視し続けてきた。また、市民の要望署名に対して「そもそも『重く受け止める』とは申し上げておりません。報道機関も同席されており、新聞には『一要望として受け止めている』という記事が出ていることをご確認いただけると思います。」と発言し、市民の意見を軽く扱ってきた。その市長が、市民の税金で依頼した外部コンサルタント業者に縋り、その意見なら何でも聞こうとしていることです。これは典型的ともいえる本末転倒。このやり方で市民が望むまちづくりが実現できるはずはない。