修正案は賛成7人で否決 正確な情報と開かれた熟議を欠いた採決は民主主義の否定

 今日12月21日午前の市議会予算常任委員会。傍聴者から話を聞いたので紹介します。

 結論から言えば、予算案からAブロック等の商業開発事業費1,500万円を除いた修正案が議員提案されましたが、賛成7人で否決されました。 

 委員会は荒川議長を除く17人で構成。東郷委員長を除く16人での採決で賛成は7人。この7人は、名簿順で、岩井議員、小菅議員、鈴木議員、田中議員、橋議員、益川議員、山崎議員。これに対して1,500万円を含む市長提案の原案に賛成は9人。

 採決に当たっては、Aブロックは条例で病院用地として定まっている。Bブロック病院の具体的内容が説明されず、実現性が明らかでない。また1,500万円の事業費の明細が明らかされていないなど、市長提案に対しては当然のこと多くの問題が指摘されましたが、修正案への賛成は少数になりました。

 他方、服部議員は市長提案に賛成の立場から、10年近くたっても動いていない。市長の言う、身の丈に合った病院を考えるべき。条例は一般論として建てるときに決める。何百億円出す前に1,500万円で納得できるようになど発言。自分が支持する市長が、病院の設計を止めたから動いていないことや身の丈に合った病院の姿が明らかでないため市民が心配していることを棚に上げた身勝手な発言。なお、何百億円とは何のことを指しているのか意味不明。

 今日の議会の結果は、大げさに言えば、民主主義の否定。言うまでもなく、民主主義は多数決だけでなく、その前提として正確な情報の開示・共有化と開かれた熟議が必須要件。その必須要件を欠いた採決は、単なる数の論理。なぜ、委員長はそのような不完全な状態のなかで採決をとったのか?

公明党と立憲民主党議員は、1,500万円含む市長案に賛成し、Aブロック病院否定

 採決では、いわゆる市長会派の6議員が修正案に賛成しないことは予想されていました。しかし市民に寄り添うと信頼されてきた公明党の2議員と立憲民主党の1議員の対応が注目されていました。結果は、公明党の津村議員、木下議員、立憲民主党の山本議員は、何の発言もなく、修正案に賛成せず、市長案に賛成。したがって、Aブロック等の商業開発事業に賛同の意向を示した。そして

、この時点でこれらの3議員は、Aブロック病院を否定して、残る選択肢のBブロック病院を選んだことになります。

 閉会日23日の本会議にも、改めて修正案が提案されるかどうかわかりませんが、委員長である東郷議員が賛成に加わったとしても、これら3人が態度を変えない限りは、可決は困難。市民からは、公明党と立憲民主党は看板に偽りありではないかとの声も聞かれました。

市長案への賛成はBブロックも商業地という稲垣議員の主張が前提 Bブロック病院の見通しも消えた

 ただし、今日の結果をもって、Bブロックが議会の実質的な承認を得られたとみるのは早計です。その理由は、次のとおり。

 市長会派の6議員のうち、稲垣議員は本会議の一般質問で、1,500万円の予算案の事業対象地としてBブロックを加えるべき。もし、加えられないのであれば賛成しないと市長に対して明言していた。稲垣議員は今日の審議でも市長がBブロックも開発対象に含めていると理解していると発言のうえ、市長提案に賛成した。同じく賛成した他の議員もこの稲垣議員の発言に異論を唱えることなく賛成。稲垣議員は栢木市長の盟友とも言うべき、市長ともっとも近い関係にある人物の一人。一般質問からは約半月たっているので議員と市長の間では何らかの話し合いがあって、議員が確証をもって今日の採決に臨んだと見るのが普通。

 さらに、市長会派の副代表である奥山議員もBブロック病院には否定的。自らSNSでは市内に病院は不要と発信しているし、先の評価委員会終了後のテレビ取材では病院はBブロックに決まっていないと公言し、報道されている。このようなことから、今日の結果からは、Bブロック病院の見通しは実質的に厳しい、いや消えた。したがって、新市民病院そのものの実現性も厳しくなったと見なければならなくなります。

病院整備事業特別委員会委員長までが病院整備否定する議案に賛成する笑えない現実

 ここまで辿ってくると、市長は別にして、少なくとも稲垣議員はじめ議員は言行一致していると信頼する限り、商業開発事業費1,500万円を含む市長提案の可決により、AブロックだけでなくBブロック病院の見通しも消え、新市民病院そのものの実現性が厳しくなったと見なければならなくなります。

 そこで、先に公明党と立憲民主党議員がBブロック病院を選んだと書きましたが、訂正する必要が出てきました。これらの議員も、市長提案に賛成したことによってBブロック病院の見通しを消し、新市民病院の実現性までも厳しい状況に追い込んだことになる。病院整備を目的とする市民病院整備事業特別委員会の委員長である津村議員が実質的に病院整備を否定する議案に賛成するとは、笑えない現実です。

 民主主義はもちろん、政治の重要な要件は説明責任。市議会の閉会日まであと2日。個々の議員の責任ある判断とその説明責任が果たされることが期待されます。