議論の時間が経てば空疎さが増し、まちの身の丈がドンドン縮んで行く

 昨日12月17日の市議会の特別委員会から1日たってみると、議論の筋がより良く見えてきす。

 先に結論から言ってしまうと、直面する課題解決のために何かをつくり出そうという議論ではなかった。そのため、議論が進むほど、逆に空疎さが増して行く。まさに、栢木市長の例えを借りれば、病院どころかまちの身の丈までがドンドン縮んで行く思いがしました。最悪の場合は病院の行き所がなくなる。

市民の一言「元が嘘から始まっている」 

 本題に入る前に、昨日ネット配信で特別委員会を傍聴した後のことを2つ紹介します。ひとつは、同じ市内に住んでいても1年あまり会っていない知人に用件があって久しぶりに夕方電話しました。用件が終わってから相手が、病院のことが心配だがどうなっているかと問いかけてきました。そこで、特別委員会の概要を伝えたところ、返ってきた答えは、「元が嘘から始まっているのだからそんなもんだろう。」でした。

官民連携 民間事業者から自由な発想 税収アップの数値目標は答えられない

 もうひとつは、夜、市長への手紙の回答のコピーが市民から届けられました。市からのメールの送信日時が昨日の16時台。ちょうど、特別委員会の最中。文章化されている分、市長の議会答弁よりわかりやすいので、昨日の情報の補いに要点を紹介します。

 「私がやりたいと考えている事業形態は、官民連携です。官民連携とは、公共事業におい て、民間の知恵と力を活用することを言います。私が考えた事業を民間に発注するだけなら、これまでの公共事業と変わりがありません。複合商業施設の整備については、民間事業者から自由な発想を取り入れて、にぎわいの創出と税収増につながる事業の提案をいただきたいと考えています。」

 「具体的な税収アップの数値目標については、民間の提案内容によって異なりますので、 お答えができません。ただ、税収増だけを重視するのではなく、にぎわいの創出につながる提案を選定したいと考えています。」

 市民は具体的な答えを求めているのに、回答はいずれも抽象的であったり、答えられないといったもの。官民連携については、制度の説明までしているが、サウンディングのことは市長になってから知ったと議会答弁しているので、公約段階では官民連携を想定していなかったはず。公約からは、昨日田中議員が指摘したように、100%民間が出資して事業展開し税収増をもたらしてくれると市民は受取った。

 理解できないのは、「私が考えた事業を民間に発注するだけなら、これまでの公共事業と変わりがありません。」のくだり。いかにも市長独自の新手法のような言いぶり。ところが、官民連携に関しては、野洲市ではすでに旧町時代に全国に先駆けて「野洲小学校」で、また昨年7月に開業した「野洲市健康スポーツセンター」で活用されている。いずれにしても、官民連携では、何でも自由に提案ではなく、事業の骨格を官が示さなくては成立しない。

肝心の病院の場所についての議論が避けられた 駅前商業予算可決で病院の行き所がなくなる

 前置きが長くなりました。昨日の議論で身の丈がドンドン縮んで行く思いがした理由を整理します。

①病院と駅前商業は実質コインの裏表のように一体のもの。それなのに、形式的に2つの特別委員会で別々に議論したため議論が集約しなかった。

②病院の特別委員会では、Bブロック病院前提での議論になったこと。したがって橋議員が指摘したように、Aブロック病院が優勢で終わった前回の評価委員会や特別委員会と議論がつながらなかった。その理由として、評価委員会の委員長が場所は市で決めてほしいと言ったから、市でBブロックと決めて計画策定等を進めていると馬野政策監が答弁。しかし、二元代表制のもと、市として決めるのは議会であって市長ではない。ところが、他の議員からは抗議はなく、議論が進められた。

③年明け1月14日に次回の特別委員会が予定されているが、そこでの課題設定がされていない。その後の、1月22日、27日に市民説明会が予定されているので、このスケージュールでは、議会が概ね了承した案が市民に説明されることになり、議会の責任は重くなる。いずれにしても、説明会ではなく、市民の意見を聴く機会を議会は要求すべき。

 

 

④目標が設定されていない議論であったため、散漫な話し合いで終わった。したがって、「委員間討議」が実質的に行われれず、次につながっていない。特に、ここに至っても肝心の病院の場所についての意見交換や議論が避けられた。さらに、「今のところBブロック」という市長答弁に福山病院長が戸惑ったと発言したことなどをふくめ、本当に病院ができるのかという先行きの不透明感が増した。

⑤福山病院長が、市民病院は市内の開業医が対応できない患者を受け入れ、24時間対応ができるものであればよく、大きなものは必要ないと強調していた。これには、市長が駅前に病院を整備する確証が得られないため、何とか、市長の「身の丈に合わせ」て、せめてBブロックでの病院整備に持ち込もうという苦労がうかがわれる。院長のかつてのビジョンは消えてしまっている。しかし、24時間対応で手術も可能で、そのため相当数の常勤医も確保するとなると、自ずから規模は決まってくる。なぜ早く決めないのか?

⑥駅前の商業開発の議論では、昨日も紹介したように、市長派の議員からは事業の中身の議論に先行してBブロックも含めた駅前市有地の売却論が出ていた。これに対して、市長は明確に否定しなかった。

⑦Aブロック等の商業開発の1,500万円を含む補正予算案の予算常任委員会採決が21日の午前に控えている。しかし、その妥当性の十分な議論が特別委員会ではなかった。ところが、もし可決されるなら、Aブロックが条例に反して実質病院用地から除外され、そこにBブロックも加えられ、椅子取りゲームのように病院の行き所がなくなります。