議案概要の1行と同じでは審議、質疑もできない 市民に開かれた議会は遠い

 今日11月30日市議会の定例会が開会。冒頭の市長による議案の提案説明に注目してネットで傍聴しました。特に、駅前市有地での商業開発関連事業費1,500万円の予算案がどのように説明されるのかが関心事。

 しかし、説明はなく、あらかじめ公表されている議案概要資料に記載されている1行と実質的に同じ。「野洲駅南口複合商業施設整備事業支援業務」限度額1,500万円の債務負担行為を追加するの一言。それも、肝心の事業名で「複合」を「総合」と読み間違い、慌てて訂正するというほどの熱意のなさ。

 いずれにしても、これでは、今年度から来年度にかけて、最大1,500万円を支出するというだけ。何を目的にして、具体的に何を行うのかまったくわからない。議員は個別に何らかの資料をもらっているのかどうかわかりませんが、これだけの情報では、議会は審議どころか、質疑もできない。

 これは市長の問題ではあるが、これを許していては、「市民に開かれた議会」にはほど遠い。

 

予算案が注目されるのは様々な重大問題があるから 

 この予算案が注目されるのは、昨日書いたように様々な重大問題を持っているからです。

 まず問題の第1は、「野洲駅南口複合商業施設整備事業」なるものが、これまで市民にはもちろん、議会にも正式に説明されてこなかったものであること。したがって、今議会で初登場の事業。ただし、このように議会で初登場の事業であるにもかかわらず、先般の国土交通省のサウンディングでは、すでにこの事業が存在するかのような資料が対外的に公表されていた。ということで、今日その説明が欠かせなかったはず。

 第2の問題は、この土地は市条例上は市民病院用地となっており、病院事業と大きな関連がある。言うまでもなく、条例をそのままにして、同じ土地に商業開発という別の事業費予算を付けることは条例違反。

 第3の問題は、改選前の市議会の意向に反して、商業開発目的で実施されたサウンディングの結果では、事業者から商業開発に向けた有力な提案はなかった。

Aブロック病院期待の世論に備えAブロックの封印が目的 逆さま論理に対する議員の質疑に期待

 以上のように多くの問題を持っている予算案であるため、通常の案件にもまして丁寧な説明が必要。ところが、その説明がなかったうえに、「野洲駅南口複合商業施設整備事業支援業務」における「支援業務」の目的や内容も明らかにされなかった。

 このような粗雑な状況で、市長は予算の議決を急ごうとしています。まったく不自然な進め方。その理由は、敏感な市民たちが内々気づいているように、駅前Aブロックを早く封印することが目的。市長は、昨年就任早々、公約の現地半額建て替えに取り掛かる前に、素早くAブロック病院の設計を止めて、とどめを刺したつもり。しかし、条例はまだ残っている。さらに、ここにきて、元々市長自身も無理だと言っていたBブロック病院の実現性が、常識的に見れば、厳しくなってきている。そうなると、今でも根強いAブロック病院を期待する世論が一気に勢いを増す可能性がある。市長としては、その時に備えて、Aブロックの選択肢をあらかじめ潰しておく必要がある。

 そのためには、Aブロックで商業開発する目的の端緒となる事業予算が議決されることは有効な根拠となる。したがって、条例に違反する議案ではあるが、市長派が過半数を占めるとみられている市議会において、市民の代表である議会で商業開発の導入予算の可決を勝ち取る。そうなると、市民が駅前の商業開発を認めたことになる。その結果、病院に関してはBブロック病院の実現性がどうなろうと、少なくともAブロックへの立地はあり得ないということが導かれる。それに引き続いて、病院をAブロックと定めた条例は当然改正されなければならないという流れに行きつくことになる。

 Aブロックの有効活用も見いだせないにもかかわらず、以上のような、逆さま論理の展開が想定されているのではないか?このような技も栢木市長得意の柔道の奥義にあるのか知りませんが、したたかな技。

 もしこれが市長のねらいであるとするなら、新病院のめどはなくなり、AだけでなくBも含めて両ブロックは塩漬けとなる。あるいは、想定外の展開が現われてくるということにもなりかねません。

 次は、12月7日(火)午前9時からの議案質疑での議員の活躍に期待がかかります。