市民の心配を他所に年度内に1案に絞るという悠長さ 絞る手続きや基準も示されていない
新病院に期待している市民からすると、市の動きに切実感が感じられないようで、一層心配が募る。今日話をした市民の人たちもそうでした。去る11月22日の病院評価委員会が終わってからその思いが増したようです。
先日も書いたように、今年夏に発注されたBブロックの基本構想・計画策定業務委託では、11月に基本構想策定と明記されていた。それが守られないどころか、ダミー(見せかけ)案を含めて3案を出してきて、それを年度内に1案に絞るという悠長さ。そのうえ、1案に絞る手続きや基準も示されていない。これでは、本気で絞り込もうとしているのか疑問になってくる。
7月の市広報の計画より設計・施工が1年以上遅れ
このように委託業務が遅れていることは明らかであるうえに、もっと大きな遅れが。設計・施工の1年以上の遅れ。7月の市広報では令和4年度から設計・施工となっていた。それが、設計が令和4年度末から6年度。施工(建設工事)は令和6年度に入ってからとなっている。
夏に公表された市の資料では、年度内に基本計画ができることになっていた。そうであれば、通常の工程では、令和4年度当初から基本設計に入れる。それが遅れる原因は、市の資料では、「要求水準書作成」が入ってきたことと「設計施工者選定」に通常発注より時間がかかるため。
そして、そもそもこのようになるのは、発注をデザインビルド方式を想定しているから。市の資料では次のようになっている。「発注方式は、整備スケジュールの短縮、コストの縮減、設計と施工の責任が明確となり高い品質管理が期待できる基本設計デザインビルド方式での整備を検討しています。」
しかし、デザインビルド方式では、場合によっては、全体の所要期間が長くなる恐れもあるとともに、それ以外にも次のような重要な問題があります。
発注方式決める手続きや基準も未定 デザインビルドはメリットあるが重大なデメリット(欠点・危険性)も多い
話が専門的で込み入ってきます。発注方式を通常方式にするのかデザインビルド(設計・施工一括発注)方式にするのか?これについても、先にあげた基本構想・計画策定業務委託で提案してもらい、それをもって決めることになっている。しかし、この発注方式を決める手続きや基準もまだ示されていない。
そのうえ、デザインビルド方式は、市の資料のとおり「整備スケジュールの短縮、コストの縮減・・・」といったメリット(利点)があるとともに、それの裏返しの重大なデメリット(欠点・危険性)があります。特に、「コストの縮減、設計と施工の責任が明確となり高い品質管理」を確保する面で。それを確保するためには、発注と契約条件を慎重・綿密に作成しなければならない。したがって、上記の「要求水準書作成」に時間とお金がかかる。ということは、仮に工事期間は短縮できても、全体の事務作業期間と経費は、通常発注と比べて変わらない恐れもあります。
デザインビルド方式のデメリット(1) 早い段階から議会で徹底した議論必要 市は本気で病院整備急いでいるか?
長くなるので今日はこの辺りで終わりますが、市の資料ではメリットしかあげていない。そこで、国土交通省の資料から引用して、デメリットをあげておきます。
年度末を待つことなく、早い段階から議会で徹底した議論が必要です。
このように見てくると、Bブロックの問題と合わせて、市は本気で病院整備をする気があるのか、そして整備を急いでいるのか大いに疑問になってきます。
○客観性の欠如
・設計と施工を分離して発注した場合と比べて、施工者側に偏った設計となりやすく、設計者や発注者のチェック機能が働きにくい。
○受発注者間におけるあいまいな責任の所在
・契約時に受発注者間で明確な責任分担がない場合、工事途中段階で調整しなければならなくなったり、(発注者のコストに対する負担意識がなくなり)受注者側に過度な負担が生じることがある。
○発注者責任意識の低下
・発注者側が、設計施工を“丸投げ”してしまうと、本来発注者が負うべきコストや工事完成物の品質に関する国民に対する責任が果たせなくなる。
『公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン【本 編】』平成27 年5月国土交通省』より引用
デザインビルド方式のデメリット(2)
くどくなりますが、このことは重要なので、民間企業のホームページからも参考に引用します。
DB(デザインビルド)方式のデメリット
DB(デザインビルド)方式には以下の5つのデメリットが挙げられます。
1.チェック・バランス機能が働きにくい。
2.初期段階で設計基準が明確でないので、
完成後に発注者が期待に沿えないことがあり、各当事者間で紛争を招きやすい。
3.発注者の係り合いの薄い分だけ、結果がその期待に沿わない可能性が生じる。
4.受注者の選定前に完全で明確な条件を要求しなければ、
プロジェクト後期に設計要求条件の変更は困難。
仮に条件を変更できた場合でも高価となる。
5.工期延伸の理由を発注者が理解しにくい。
「株式会社内田洋行ITソリューションズ」より引用