傍聴した市民から聞いた5つの不自然

 私たちには物事の自然さと異常さを感じ分ける日常感覚が備わっています。具体論理的に説明できないが、いつもと違って何か変だ、あるいは危険ではないかという直感。

 今日11月22日午後の「市民病院整備評価委員会」を傍聴した市民たちの感想がこういったものでした。傍聴した市民から聞いた5つの不自然は次のとおりです。

①Bブロックが決定されているかのように会議が進行されたこと。そして、それに異を唱える委員がまったくいなかったこと。

②Bブロック敷地いっぱいに窮屈な形で建物が立つこと。

③本来のAブロックの利用が空白なのに、窮屈なBブロックで無理すること。

④事業スケジュールが夏の時と変更されていて信憑性が低いこと。

⑤会場の拡声装置が悪いのか、または委員に自信がないからなのか、上本委員長はじめ、特に男性委員の声がほとんど聞き取りにくく、新病院整備が目的の会議にしては、活気のない会議であったこと。

 

「可能」という低い方の限界を基準に判断する栢木市長流に委員からは異論なし

 それでは、上記について順不同で簡潔に進めていきます。

 最初の上本委員長の言葉からはじまって、会議がBブロックでの病院整備が決定されているかのように進行された。前回5月17日の評価委員会ではAブロックが優勢で終わったのに、今日はどの委員からもAブロックの話は出なかったし、会議の進行に異論は出なかった。

 添付した資料のとおり、前回会議の「まとめ」が「駅前Bブロックでも整備は可能」とされている。これを見た市民は、「可能」であるのに断念した病院現地半額建て替え公約を思い出すと言っていました。まさにそのとおり。市民にとってベスト(最良)やベター(次善)でなく、「可能」という低い方の限界を基準に判断するのが栢木市長流。

 このような進め方が原因で、委員の発言に活気がなかったのではないか?

 

Bブロック敷地いっぱいに窮屈な形で建物が立つ なぜ市長はBブロックにこだわるのか不可解

 今日の資料では、3案が示されましたが、いずれもBブロック敷地いっぱいに窮屈な形で建物が立つ案。1番目の案では、建物の地階全体が工事費と維持管理費が高額になる駐車場になっている。Aブロック病院とほぼ同じ規模を想定しながら、駐車場を入れれば、半分以下の面積に病院と駐車場を入れる案であるので、不自然どころか無理がある。2番目の案では駐車台数は41台。3番目の案で106台。駐車場の不足は歴然。会議では、ここに至っても駐車場は今後の検討課題と説明していたようですが、そんなことでは基本計画にならない。先日のサウンディングの結果、Aブロックの商業開発の脈がほとんどないことが明らかであるのに、なぜこれほどまでに市長はBブロックにこだわるのか不可解。というより、逆に、Aブロックに病院を建てさせなせないことに市長がこだわり続けることが不自然。

年内に構想は確定されない 市民の意見を聞かないで説明だけ 議会の責任重くなる

 今日の資料で示された事業スケジュールが前回と大きく変わっています。前回5月17日の評価委員会や7月の市広報では令和4年度から設計・施工となっていた。それが、設計が4年度末から6年度。施工(建設工事)は令和6年度に入ってからとなっています。これでは、実質令和7年度の開院は困難。

 先のこと以上に問題なのは足元のこと。そもそも、今日の会議の位置づけが不明。今日の会議で基本構想案が提案されて了解されたわけではない。中途半端な建物の3案が示されて、聞き取りにくい声で所見が交わされただけで終わった。運営試算(シミュレーション)も示されていない。まず、基本構想を確定しなければ、次の段階である基本計画の策定に進めない。12月17日に議会の特別委員会が予定されているが、資料は今日と同じものになるはず。ということは、年内に構想は確定されないことになる。

 このような疑問をもって、資料を確認すると、令和4年2月に予定の評価委員会で基本構想・基本計画(案)の審議となっている。ということは、この時まで構想と計画を案のままで引っ張って行くことになる。それでは来年度予算の審議がまともにできるとは思えません。実質何もかもが未定。

 あと、スケジュールで気になることは、1月下旬~2月に「市民説明会」となっていること。市民の意見を聞くのではなく説明だけ。当然のこと、この段階では市民の意見を聞いても採用は困難。しかし、このような重要な事業をこのような形で進めてよいのか?本当にこのまま進むのであれば、市議会の責任が一層重くなります。

 

3案では病院半額とか身の丈に合ったなどというレベルで収まる保証はない シミュレーションが必要

 今日の資料はある程度ページ数もあり、一見整っているように見えます。しかし、よく見ると、情報量は少なく、整合性が取れていないところも多い。

 例えば、最後に参考に出されている事業費。修正設計というわかりにくい表記になっているAブロック病院の85億円は最終設計段階での金額で精度は高い。他方、Bブロックの3案は基本構想の策定途中段階のもので、今後増える見込みが高い。両者を並べて比較するのは誤解を生みます。

 さらに心配なのは、この3案を見るかぎりでは、最終的には公約の病院半額とか身の丈に合ったなどというレベルで収まる保証はないこと。いずれにしても、基本計画によって精度の高い設備投資額をもとにした運営試算(シミュレーション)が出されない限りは、市民は、窮屈なBブロックに安心できません。