言葉は連なって流れているが、話の焦点がまったく結ばない

 昨日11月18日の市議会の2つの会議を傍聴した市民たちの感想。議員たちは質問や意見を述べているが、詰め切れていない。それに比べて、市の部長は、中身は別として、言葉滑らかに答えているので、傍聴者から見れば、議員が説得されてしまったように見える。このように話して、いらだっていました。

 この話を聞いて、まず引っかかった言葉が、市の部長の説明のなかで出た、「パートナー事業者」。傍聴者から聞いたところでは、今回の1千5百万円は、「パートナー事業者」を選定する前の段階で、選定のための要件整備、そして選定のための要項づくりのための議論及び資料づくりの支援業務の委託費用という部長説明であったとのこと。言葉は連なって流れているようですが、話の焦点がまったく結ばない。市は、基本的な事業の姿もそれを実現する手だても、もっていないのではないかと思えてきます。

パートナーであれば、市と事業者は負担とリスクを共有する関係になり、話が違う

 まず、「パートナー事業者」が、良くわからない言葉です。官民連携での何らかの業務で協定を結ぶ相手のことを指しているのか?それとも、最終的に「野洲駅南口複合商業施設整備事業」を指しているのか?

 通常、パートナーとは、結婚や交際相手、また弁護士事務所などの共同経営者のこと。思いを同じくし力を合わせて事に当たる相手のこと。パートナーの間では、努力して得られた成果・果実を分け合う一方で、それを得るための負担とリスクも共有することになる。

 サウンディングに関して国土交通省のホームページで公開されている野洲市の資料では、市は「包括的民間委託」か「定期借地方式」を想定していることになっている。いずれの場合も、一般的には市の相手方をパートナーとは呼ばない。少なくとも、成果・果実を分け合うとともに、負担とリスクを共有する関係ではないし、そうでないと困る。これまでから、栢木市長は負担とリスクは事業者持ちで、市は「民」の事業による市有地の使用利益と市税収入を得る立場であると説明してきた。昨日の部長の説明とは違う。

事業者からの提案は商業でなくシェアオフイス等 税収増どころか幻影に終わる恐れ

 昨日は、サウンディングの報告書の<事業者からの助言・提案>から主なものを羅列して紹介しました。個々にコメントはつけないで、事業者にとって、開発するほどの魅力はないという言葉でくくりました。改めて、典型的な助言・提案を紹介します。

 「大規模な商業施設 というよりは、シェアオフイスや、市民が気軽に利用できる共用のリビング的な空間のイメージで憩いの場を作 っていくと良いのではないか。」

 市長は昨日、田中陽介議員の質問に対して、税収がいくら上がるとは目標は出せないと答えた。そもそも目標も設定しないで事業をはじめること自体が無謀。いずれにしても、「シェアオフイスや、市民が気軽に利用できる共用のリビング的な空間」では税収増は見込めない。この程度の開発なら、市民病院事業の方が格段に事業規模は大きい。それにもまして、病院は何よりも、市民の「憩い」を支える元となる健康と安心を提供してくれるという、市民の受益は格段に大きい。

 昨日議会の会議を傍聴した市民が、市の説明を聞いて「私案」どころでなく、単なる願望と感じたことを紹介しました。以上のように、昨日のことを辿り直してみると願望というより市長や職員は幻影を抱いているのではないかと思えてきます。それも、ただの幻影でなく、市民にとっては極めて高くつき、取り返しがつかなくなるおそれのある幻影を。