40兆円超の経済対策 いわゆる赤字国債頼み 

 政府が19日に取りまとめる予定の経済対策の規模が財政支出ベースで40兆円を超える見通しだと報道されています。1週間前では、「政府・与党が新たな経済対策の財政支出を30兆円超とする方向で検討していることが9日、分かった。」(時事ドットコムニュース2021年11月09日)と報道されている。1週間の間に10兆円増えたことになります。コロナ支援策費が押し上げたと報道されています。コロナ禍からの経済回復と生活・子育て支援は当然必要ですが、異常な状態。

 この財源は、まだ明らかになっていませんが、一部は国債、それもいわゆるの赤字国債の発行に頼らないといけない。報道では、2020年度決算の剰余金(約4兆5千億円)や2020年度から2021年度に繰り越された予算の一部(10数兆円)を充てるともされていりますが、いずれこれらの元の多くは国債頼み。

1年前も同じような議論で40数兆円の新規国債発行

 ところで、約1年前も同じような議論がされていました。その結果2020年度第3次補正予算案として約22兆円、これに過去最大となった2021年度の当初予算案106兆円強、合計で120兆円後半の巨額な予算案が決定されました。これらの財源として40数兆円の国債が新規発行されました。4割以上が国債で賄われています。

 字が細かくて読みにくいですが、近年の国債発行額の推移を財務省の資料から添付します。単位は、億円です。

気軽な国債発行は低金利だから 金利は上げられない

 このような状況を見ていて、経済の素人ながら思ったこと。それは、気軽な国債発行は低金利だからできる。そして、これではいつまでたっても貯金の金利は上がらない、というより上げられない。金利が上がらない限りは、景気は良くならない。

 先日、余裕があっての貯金でなく、不安があっての貯金について書きました。

金利を目当てにできなくても、社会経済の先行き不安と社会保障が不十分であるため、切り詰めてでも、安心確保のための貯金。

 経済が健全に回っていれば、銀行に預けられたお金は、それを必要とする人や企業がそれを借り入れて投資して利益を上げる。利息が付くはずです。しかし、そのようにはなっていない。その理由の一つは、国・日銀の経済活性化とデフレ脱却を目的とするマイナス金利政策。

金利上げれば税収増でも金利負担追いつかない このままでは経済回復は見込めない

 話が逸れましたが、このように国債を新規に気軽に発行し続けることができるのは金利が低いからです。もしこれが高ければ、金利負担が大きく、それが制約になります。

 逆に見れば、これをほど多額の国債を発行し続けて、残高が巨額になっている中で、金利が上がれば国の財政がもたない。経済の健全化のためには適正な金利に戻すべきであるが、景気回復による税収増でも金利負担が追いつかないのではないか?そうすれば、国の財政、もちろんそれに連動して、自治体の財政も破綻する。ということは、国・日銀はいつまでたっても金利はあげられないのではないか?その結果、このままでは、いつまでたっても経済回復は見込めないのではないかと、素人判断ながら思いました。おそらく、多くの人たちが、直感的に同じように思って、心配しているのではないかと感じました。