初の市議会の全員協議会でサウンディングの説明がなかった

 今日11月5日市議会の全員協議会が開催されました。新しい議会最初の表向きの活動。主な目的は、11月10日の臨時会の議案の協議。会議を傍聴した市民は先行きがさらに心配だと話していました。予想はしていましたが、市政の密室化が一層進んでいるようです。まず、聞いた内容を紹介します。

 協議会では本題である臨時会に提案の人事に関する議案3件以外に何も説明がなかったようです。市が参加を予定している11月12日の国土交通省のサウンディングに関しては資料配布も説明もなかった。

2議員が市長に説明を求めたが拒否された 施策形成過程の情報だからこそ公開すべき 民間企業と勘違い?

 先日紹介したように、市長は、「野洲駅南口複合商業施設整備事業」なるものを掲げてサウンディングで開発事業者との協議を進めようとしています。この事業は今回のサウンディングで初めて出てきたもので、議会は認めていない、いやそれどころか説明もされていない。しかし、市が作成したサウンディング資料がすでに国土交通省のホームページで公開されている。

 詳しい説明は省きますが、サウンディングは、本来であれば議会との協議を経たうえで参加すべきもの。少なくとも、国土交通省に提供した資料の配布と説明を行うのが通常の進め方。

 会議では、本題が終わってからのその他のところで、岩井智惠子議員と益川教智議員がサウンディングの説明をそれぞれ市長に求めたようです。議会が無視されている状況であり、当然の意見。

 これに対して、市長は答えず、代わって赤坂政策調整部長が答えた。答えは、企画段階のものなので公表できない。12日のサウンディングが終わってから、18日に説明するとのこと。要するに、施策形成過程の情報だから公開しないというわけです。民間企業と勘違いしているのではないか?自治体である限りは、施策形成過程の情報だからこそ、議会・市民と共有するのが本筋。

 2人の議員は納得しなかった様子ですが、他の議員からの意見もなく、委員長代わりを務めていた鈴木市朗議員もそれ以上市長や部長に答えを求めなかったので、終了したようです。

病院住民訴訟 市民は市長の当事者意識のなさに呆れた

 なお、田中陽介議員が去る10月7日に大津地方裁判所で開かれた病院に関する住民訴訟の第1回口頭弁論に被告である市長も代理人の弁護士もすべて欠席したことについて市長に質問したようです。これに対して市長はその事実は知らないので改めて返答すると回答したそうで、傍聴した市民は、当事者意識のなさに呆れていました。この件に関しても、委員長代わりを務めていた鈴木市朗議員が市長に対してそれ以上の答えを求めなかったので、終了したようです。

企画段階はすでに超えている 部長答弁に市民は強い衝撃 駅前市有地の制約条件の不記載への意見を避けた?

 会議に出席していた他の議員がどのように思っていたかわかりませんが、市長や部長の対応は異常です。サウンディングへの参加の問題は別にしても、国土交通省という市からすれば外部機関のホームページにすでに公開されている資料を議会に配布し説明することまでを拒絶する。これは異常な状況。このような強弁とも詭弁ともいえる、答弁対応を特別職である政治家の市長が行うのならまだしも。それを一般公務員である部長が行ったことに、傍聴した市民は強い衝撃を受け、部長の名前まで上げて、伝えてくれました。

 市から外部機関に情報が提供されている。それも、催し物や観光案内の情報ではない。先の市議選での争点の一つであった、病院と駅前の商業開発に大きくかかわる情報。部長の言う企画段階はすでに超えています。万一、企画段階であっても、上で述べたように議会に公表して進めるべきのもの。

 市長が会議で公式に情報提供することを拒んだ理由。それは、推測するところ、それらの資料に駅前Aブロックが遊休地でなく行政財産であることなどの制約条件が正直に記載されていないことなどに関して、サウンディングの前に公式の場で意見が出ることを避けたかったとしか思えない。

駅前Aブロック等の市有地が実質的に「塩漬け」にされてしまう

 これからどうなるかが、一層心配になります。サウンディングについて18日に説明すると部長は回答。18日とは、30日に開会予定の第5回市議会定例会に向けて開催予定の全員協議会。しかし、今日の状況からは、大した期待は持てない。公表されたとしても、関心を示した事業者の数程度。具体的な事業者名をあげてどのような協議を行ったかという情報までは、企業秘密だとか市の政策形成過程の情報だとか言って非公表にされる恐れが高い。

 このような秘密主義も大きな問題ですが、それ以上に重大な問題があります。それは、今後相当の期間、駅前市有地の開発に関心を示している事業者と交渉中であることを理由にして、駅前Aブロック等の市有地が実質的に「塩漬け」にされてしまうことです。そのうえ、市民と議会には、企業秘密だとか市の政策形成過程の情報だとかを理由に交渉状況は公表されない。要するに外の力を梃子にして市民と議会を制御(コントロール)する手法。

「塩漬け」土地を理由にAブロック病院を消すという本末転倒 民主主義に基づく自治体のあり方の問題

 このように布石を打ったうえで、Bブロック病院が成立不可能になった場合でも、Aブロックに病院をもっていく選択肢をあらかじめ消しておこうというねらい。Bブロックの次に病院がどこに行くのかまではわかりませんが、いずれにしても、その先に来るのが、Aブロックを病院の場所と定めた市条例の改正議案。議員は、「塩漬け」の土地だから仕方がないと、市長に引きずられるままに、賛成せざるを得ないのか?

 ただし、この流れは、冷静に考えれば、本末転倒です。Aブロックは、「塩漬け」土地ではなく、条例で病院の場所となっています。それを「塩漬け」にするのは、市長が強引に参加しようとしている12日に予定されているサウンディングが原因。

 以上に書いてきたことは、病院や駅前土地の問題ではなく、民主主義に基づく自治体のあり方の問題です。もちろんその矢面に立つのは、議会。今日、議会を傍聴した市民たちは、気を落としていましたが、10日の臨時会、そして30日からの定例会で、市民の期待に応えれれるかどうかが議会に問われていると思います。