Aブロック病院賛成議員の過半数割れより市長のBブロック病院賛成の候補者も、現職新人とも皆無の方が深刻

 「駅前にぎわい創出は市民の民意」の見出し記事があると、今朝聞いたので、目を通しました。10月25日の市長定例会見での栢木進市長の発言。

 記事は次のようになっています。「新病院整備を巡り『JR野洲駅前はにぎわい創出の場という思いは、市民の民意だと思う』との考えを示した。17日投開票の野洲市議選で、前市長が計画した駅前Aブロック(5,400㎡)での整備に賛成する新議員が過半数を割ったことを受けた。」(中日新聞Web2021年10月26日)

 そもそも、Aブロック病院に賛成する新議員が過半数を割ったことが、駅前はにぎわい創出の場という市民の民意とどう論理が繋がるのか理解できません。それよりも、「市議選では、市長が示すBブロックでの整備を主張する候補者も、現職新人ともいなかった。」と記事が的確に指摘している事実の方が、市長にとってはもちろん、市民にとって深刻です。市長は現状への危機認識をまったくはき違えている。

もともと「野洲駅南口周辺整備構想」では、駅前整備の基本的な考え方はにぎわい

 もともと、Aブロック病院を位置付けた「野洲駅南口周辺整備構想」では、駅前整備の基本的な考え方はにぎわい。正確には、「人と人とがつながることで生まれるにぎわい」であった。今さら先の市議選の結果で改めて確認するまでもないこと。この意味でも、市長のコメントは意味不明。

 構想では次のようになっています。

 「① 市民が求めるにぎわい

野洲駅南口周辺では、にぎわいや活力が求められている一方で、うるおいやゆとりのある景観が求められています。また市が「市民活動拠点」を整備することにより、市民が主体となったにぎわいづくりが形成されることとなります。

こうしたにぎわいは、大都市に見られるような雑多なにぎわいではなく、「人と人とがつながることで生まれるにぎわい」であると言えます。」

問題は、にぎわいの中身の違い 健康なにぎわいか、「雑多なにぎわい」か?

 問題は、にぎわいの中身の違いです。構想でのにぎわいは、添付したイメージ図等のように、市民広場(都市公園)、病院・健康機能、文化・スポーツ機能、市民・商業交流機能などによって生まれるにぎわい。

 他方、栢木市長が「野洲駅南口複合商業施設整備事業」なるものによって進めようとしているにぎわいの実態は不明ですが、名称からすると商業機能が優先されたもの。むしろ、市長の盟友でその別動隊の役割を果たしているように見える議員の選挙公報等の公約では、駅前市有地を売却して低層商業施設と高層マンション開発を実現すると書いている。市長の下心がもしそこにあるのなら、商業も付け足し。盟友議員の公約どおり、仮にいくら容積率をあげても、高層マンションを建てるとなると、これだけの土地では大規模商業は無理。ということで、商業による税収増も覚束ない。

問題は説明ではない 求められているのは実行 市長の困惑では済まない

 最後に、改めて、市長が進めようとしているBブロック病院。賛成議員がだれもいないだけでない。それどころか、市長自身も何も中身を話せない。記事は次のように閉じられている。「市長は会見で『課題は多いが、しっかりと説明したい』と述べ、改めてBブロックに整備する意向を示した。」現状を鋭くとらえたスナップショット(瞬間描写)です。 

 市長の相変わらずの言ですが、病院に関しては問題は説明以前の話。求められているのは、公約の実現。いくら説明しても課題は解決しない。というより、課題解決のめどがないので、説明ができない。この堂々巡りです。「チコちゃんに叱られる!」くらいでは済まない。

 最初、見出しからは、栢木市長の勝ち誇った姿の記事かと思って読みかけましたが、実は、市長の困惑がリアル(如実)に透けて見える内容でした。市長にとっては、困惑で済むかもしれませんが、新病院を期待している市民と病院職員などにとっては、困惑で済む話ではありません。