明白な論理では市長の病院の選択肢はAブロックしかないが

 先日、栢木市長の病院に関する選択肢は、Aブロックしかないと書きました。その理由を改めて述べれば次のとおり。

 Bブロック病院は市長公約に反するし、土地の状況からもともと無理がある。今回の選挙結果で市長派議員が増え、Aブロック賛成議員は減った。しかし、今回当選して、11月1日から任期がはじまる議員のだれもがBブロック病院に賛成していない。かといって、郊外の選択肢は、3候補地選定の時に市長自ら消した。この状況で、本気で一刻も早く病院をつくるとなると、Aブロックしかないという論理。常識的に考えれば、1+1=2と同じ明白な論理だと思います。しかし、それは良識ある判断がなされるということが前提です。

サウンディング参加は良識があれば到底行えないこと Aブロック病院の命脈を断つ

 ところが、見通しが違ってきました。昨日紹介したように、市長は11月12日に国土交通省が実施するサウンディング調査に参加しようとしている。駅前のAブロックを含む市有地に商業開発を行うために、不特定の事業者に対して土地情報等を公開してその関心を確認する手続きです。

 サウンディング調査は市民には理解しづらいが、要するに、開発するにあたって事前に事業者や事業の当たりをつける手続き。事前とはいっても、対外的には、野洲市は駅前のAブロックを含む市有地で商業開発することを正式に表明することになる。ということは、見方をかえれば、市民と議会の合意なしに、Aブロックには病院を建てないということを市が正式に表明することになる。市長は強引にAブロック病院の命脈を断つことになります。

 何度も書いたように、この土地は市条例では病院用地であり、ここで商業開発することは市民も議会も認めていない。市長の公約にもそのことは明確かつ具体的には掲げられていない。

 このような状況でのサウンディング参加は、良識があれば到底行えないことであるし、常識的には考えられないこと。例えれば、他人から預かったものを勝手にオークション(競〈せ〉り売り)にかけるのと同じ。

美味しそうに見える毒キノコのように危険 足元も固まっていないなかでの、国のサウンディング参加

 今回のサウンディングが持っている危険さをもう少し見ておきます。

 仮に、市長のねらいどおり、どこかの業者が駅前市有地の開発に関心を持ち、お金を使って調査・検討を行い、市と交渉に入ったとする。そうなると、途中で市の都合、例えば、市民や議会の合意が得られなかったからといった理由で断ることは、信義則に反する。極端な場合は、責任問題や損害請求も生じる。もちろん、例外的に、あらかじめ、議会等の承認が得られた場合はという前提でサウンディングに入ることは可能であるが、それでは意味がない。

 サウンディングは市独自でもできるのに、市長は、「国土交通省が実施するサウンディング調査に参加する」ことにこだわっている。もちろん、事業者の認知も高く、チャンスが多いという利点があるが、おそらく市長のねらいは、権威づけ、箔づけにある。それも、事業者に対してだけでなく、市民に対しても。市のなかで足元も固まっていない、というより反民主主義的な危険な行為ですが、情報が十分でない市民には、国が主催している事業に参加するのだから問題ない、それどころか何か利点があるように見える。美味しそうに見える毒キノコのように危険です。

10日臨時議会だが、5日の全協で議員と市長との距離明らかに 良識を欠く市長の独断専行が制御される議会を期待

 ところで、話は少し変わりますが、市政に関心のある市民は、新しい議会の会派構成に期待と心配をしています。もちろん、当事者である当選者の方が、どこに加わるか、どこと組むかなど、それ以上に真剣だとは思いますが。

 関心は、なかでも新人議員の動向。政党系の人を除いて、6人。そのなかでも市長が擁立した人たちがまとまるのか、それとも、選挙中の支援や情報で立ち位置を変えることが期待できるのかなど。かたや、現職議員のなかにも会派の現職が落選したために、対応を迫られている人もいる。11月10日が臨時議会で初の本会議の予定ですが、それまでに2日には会派代表者会議が予定されているので、当然、もう決まっているはず。

 そして、5日に議会運営委員会協議会と全員協議会が開かれる。そこでは、臨時会で予定されている議長等の議会役員選任以外に、市長提案の議案が明らかになります。12日のサウンディングに先だって、9月議会で求められなかった駅前商業の補正予算が出されるのか、また、全員協議会でサウンディング参加の了解が、市長の強行突破で強引に取り付けられるのか?

 いずれにしても、そこで、会派構成だけでなく、それぞれ議員と市長との距離と立ち位置が早くも明らかになります。民主主義に反し、良識を欠く市長の独断専行が健全に制御される議会になることを期待しています。