シンボルカラーの看板付けた軽バンが市内を走り回った1週間

 1週間の選挙期間が今日で終わります。告示前に予想したように、この間、20台余りの街宣車が、それぞれ候補者名を連呼しながら市内を走り回る光景が連日見られました。街宣車は、ほとんどが屋根にそれぞれのシンボルカラーの大きな看板を据え付けた軽自動車のバン。それが、おもに女性のよく通る声でのアナウンスを流しながら、澄んで爽やかな秋空の下を走り回る。なかには、うるさい、無意味だと嫌悪感を持つ人がいるかもしれない。しかし、見方を変えれば、小鳥が朝から一日中、休みなくさえずりながら飛び待っているようで、風物詩です。市議選は今日で終わりですが、2日置いて19日に衆議院選挙が公示されるので、頻度は落ちてもこの光景はまだしばらく続きます。

候補者は大きく3グループ 駅前反対だけで「私案」も「対案」も出さない無責任な候補者も 

 ところで、街宣車での候補者名の連呼はさておいて、今回の市議選での候補者の政策メッセージ。まず、子育て、教育、福祉、経済・雇用対策、防災、環境など基本的なところは、候補者によって若干の色合いやこだわりはあるが、ほぼ共通。

 違いがあるのは、これまで紹介してきたように、市長の市政運営への批判と病院及び駅前問題への意見や姿勢。これらに関しては、大きくは3つのグループに分かれます。

 候補者の数の順でみると、最も多いのが、基本的な共通項だけを掲げて、これらの問題にはまったくか漠然としか触れていない候補者。繰り返しになりますが、なかでも、栢木市長が擁立したとされている5人の新人候補がBブロック病院とAブロックの複合商業施設に関して具体的に意思表示をしていないのは奇異。このなかには、カラー刷りの法定ビラの裏が白紙のままで、それほどまでに政策情報が希薄な候補者もいる。これでは、まさに、何が何でも栢木市長に賛成する議員候補であることを自認しているようなもの。

 次に数が多いのが、Aブロック病院に賛意を表明し、市長の市政運営に対して懸念や批判を示している候補者。選挙公報、法定ビラ、市民団体のアンケートなどの媒体や演説からは、密室型で独断専行の市政運営、そしてその結果の一つでもある病院問題に対して、これらの候補者が強い危機感を表明していることが伝わってきます。

 残るグループは、駅前での病院整備に反対の3候補者。この人たちは、新人候補でもないのに、いまだ「私案」も「対案」も出さないで、駅前病院に反対だけを主張している無責任さ。ただ、面白いことは、この候補者たちは栢木市長の盟友であったり有力支援者であるのに、市長が推進しようとしているBブロック病院に賛成していない。常識では考えられないことであり、このことが、栢木市長の信頼性を一段と落とすとともに、市民の不安と危機感を高めている。

危機感が市民の間にどれほど共有化されるかが、選挙結果を左右する要因の一つ

 明日の選挙結果。なかには手ごたえ十分、あるいは何らかの布石を打ってあって当選確実と内心思っている候補者があるかもしれません。しかし、ほとんどの候補者とその支援者、そして市民にとっては結果の予想がつかない。

 新病院の実現に関して言えば、以前書いたように、選挙結果にかかわらず、見通しには厳しいものがあります。ただし、Aブロック病院に賛意を表明している議員と当選後それに賛同する議員が過半数を占める結果になれば、病院の実現の命脈はなんとか保たれる。しかし、そうでない場合は、いうまでもなく、新病院の実現はもちろん、現市立病院の存続見通しまでもが厳しくなる。この場合は、病院問題だけでなく、市政全般の密室化と独断専行化が一段と進み、市政が一層市民から遠いものになる。

 この危機感が市民の間にどれほど共有化されるかが、明日の選挙結果を左右する要因の一つだと思います。