告示日までが勝負の選挙でない 誰に投票したらよいかわからないという声が多い 

 今日10月10日から市議会議員選挙がはじまりました。1週間後の17日に投開票。18議席を23人が争う選挙。これまでにない多数激戦。

 選挙は告示日までが勝負ともいわれることを以前紹介しました。一面の真理ではあるが、今回の選挙ではそれが当てはまりにくくなってきている様相。今日話をした市民も、誰に投票したらよいかわからないという声をよく聞くと言っていました。同感です。

栢木市長のために市議に立候補?

 ところで、昨日出会った市民の話が今回の選挙の特徴を端的に表していて、名言でした。ある栢木市長派の立候補予定者が、栢木市長のために市議に立候補するのだと堂々と言っている。これには呆れるとともに、憤慨すると。

 いうまでもなく、市議は、本来、市民と市のために働くべきである。それを、市長のためとは何事かという、まったくまともな憤慨。

 事前の予想どおり、市長が擁立した新人候補は5人。伝え聞くところでは、その多くが同じような思いを語っているようです。なかには、市長の信奉者のような言を吐いている人もいるようです。市長としては心強く、何としてでも当選させなくてはいけない。

市長の多数派工作で現職4人は態度変更 残る10人に5人の新人をぶつける

 今回の選挙で市長が、当選後市長の意向に応じて活動すると期待される立候補者を多数擁立する。その理由は、推測するところ、病院や駅前の事案に関して議会で市長の意向が通らない。去る9月定例会での病院事業の決算の非認定や駅前Aブロックでの複合商業施設の予算が通らなかった。また、昨年の12月議会以降、透明性を欠いた独断専行型の市長の市政運営に対する議解決議や要請書が出されてきた。

 この言わばねじれ状況を、市長は、自らの不透明で、独断専行型のやり方を変えることでなく、何が何でも市長の意向に賛成してくれる議員を増やすことによって解決しようとしていることになります。ただし、こうなる前、当初は現職議員への誘いかけや懐柔策は講じたようです。聞いたところでは、場合によっては、それぞれ議員の後援会幹部や支援者にも働きかけたとのこと。いわゆる多数派工作。

 それらの結果かどうかはわかりませんが、何度か紹介した昨年12月の議会決議への賛否と去る9月議会の議案への賛否を比べると、4人の議員が態度を変えた。このなかには、一般的には、市民や社会的弱者に沿った主張と政策を看板にしている国政政党の議員が3人もいることに市民は驚き、理解に苦しんでいる。

 しかし、その他の10人は、当然のことですが、態度を当初から一貫させている。この現職10人のうち、今回は9人が立候補しています。そして、病院と駅前問題でこの9人と基本的に考え方が同じである新人候補は1人しかいません。ということで、栢木市長の狙いは、この10人に対して5人の新人候補をぶつけて、議会構成を一挙に逆転させること。

 以前も書いたように、このようなお金も労力もいる回り道の方策よりは、議会での透明で正々堂々とした議論によって状況を変えた方が効率的で正道だと思えますが、その手は取らないようです。

誰が市長派かわからないので判断に困る 市民の困惑の根底には公約を破っても反省なく居座っている市長への反感

 ここで、最初の市民の話に戻ります。誰に投票したらよいかわからないという声が多いこと。おそらくその意味は、皆目だれに投票したらよいかわからないという意味ではない。その真意は、この半年余りの間に態度を変更した議員が誰かを含め、誰が市長派かわからないので判断に困るということ。言い換えれば、だれが市民のための議員候補か、市長のための議員候補かの見分けがつかなくて困るということ。

 市民のこの困惑の根底にあるのは、市長選での病院半額建て替えの公約を破っても何の反省もなく居座っている市長。そのうえ、密室で独断専行で市政を進める市長を支持したくないという思いのようです。

 確かに、今日も市長派の新人女性候補の街宣車のアナウンスを聴きましたが、それだけでは皆目わからない。もちろん、彼女の事前配布の政策ビラでも病院と駅前問題には触れていません。

 この1週間の選挙戦のなかで候補者それぞれの実像がどれだけ市民に見えてくるかということも、選挙の結果を左右することになると思います。

 繰り返しになりますが、今回の市議選は、市民のための議員を選ぶか、市長のための議員を選ぶかの選択でもあります。