栢木市長の駅前Aブロック複合商業施設誘致も「私案」あるいは「対案」 

 昨日紹介した、ある現職市議の市議選に向けての政策ビラ。そのビラを眺めていたとき、ある種の戦略図のようなものが、炙(あぶ)り出し絵のように浮かび上がってくるように感じました。

 結論から先に言うと、栢木市長の駅前Aブロック複合商業施設誘致も「私案」あるいは「対案」ではないかということ。病院現地半額建て替えがそうであったのと同じように。

議員と栢木市長とは基本的には5年前の出発点は同じ 駅前Bブロック病院で進路が狂った

 なぜ思いがそのようなところへ自然に流れていったかの絵解きをしてみます。

 この議員と栢木市長とは基本的には5年前の出発点は同じ。心底の思いは市内に病院はいらない。しかし、2015(平成27)年12月の自治連合会と議員との話合いで病院反対議員も市内に病院は必要と表明して方針転換した。ただし、駅前Aブロックには認めるわけにいかない。また、頭から不便な郊外という主張は市民に説得性がない。そこで出てきた苦肉の対案が現地建て替え。先般取り下げられた栢木市長の支援者たちが起こした住民訴訟も現地建て替えが可能であることを根拠にしていた。

 そこで、昨年秋の市長選。栢木候補はこの考え方を公約とするにあたって半額というルアー(疑似餌)の味付けを行った。ところが、もともと病院現地建て替えは、半額どころか、そもそも無理なことはわかっていたから、いきなり取り掛からないで、「私案」・「対案」と言い出した。それなのに、最終段階にあった駅前病院の設計業務の方はいきなり止めた。まさに、この議員の「野洲駅南口は断固反対」を実施した。

 他方、病院現地半額建て替えの方は、専門家の検討会を非公開で開催し、その結果現実的に無理という、検討する前から分かっていた結果報告を受けて断念。まさに、アリバイ工作。そのあとは、3候補地をあげて、その後どうしようと思っていたかまではわからない。ただし、この議員のビラでは小さな文字で病院は「野洲駅南口以外(郊外or現地建替)」と記載されている。これから推測すると市長は、当初郊外を想定していたものと思われる。しかし、どこでどう進路が狂ってしまったのか、市長は、駅前Bブロックに病院を整備すると突然言い出した。

 このような一連の流れは、第三者的に冷静に見ると、無理のある不自然なものです。しかし、5年前に候補者を一本化した当事者及びその支援者にしてみれば、市長の路線変更は到底納得できるものではないと憶測される。それが、この議員の「野洲駅南口は断固反対」という強いメッセージから読み取れます。

サウンディングの結果、断念という、病院現地建替え公約と同じ結末? 

 それでは、この議員は「断固反対」と言いながら駅前Aブロックをどうしようとしているのか?この点については、明確に書かれていない。いわゆるべた書きで「野洲駅周辺一帯に商業機能を中心とした賑わいを創出」。「駅周辺一帯」という表現では、駅の南北の、ある程度広い範囲を含む。このメッセージからは市長のようなAブロックに税収増が図れる強力な商業施設を立地させようという明確な意気込みはうかがわれない。要するに、駅前私有地を市の利用から除外することが目的。

 そういえば、市長の方も、駅前商業に関しては、病院を止めたほどのスピード感はない。なぜ、就任早々病院を止めたのと同時に商業の取り組みをはじめなかったのか?今から考えると不自然。ということからすると、サウンディングなるものによって民間頼みで進めることにしておいて、結果うまくいかなかったということで、次の手を出してくる。

 実際のところ、この駅前の土地は、旧町時代に歴代町長が商業開発を試みてできなかった。最後は、当時土地所有者であった国内大手の酒造・飲料水メーカーが自社開発する意向を示した。そのために、ここからは公表済みの情報ですが、その開発を支援するために町有地と企業所有地との交換まで行った。また、現在AブロックとBブロックを分断している市道は、企業側の意向であったのか旧町側の思惑であったのかは不明ですが、この間、実質的に企業の土地を買収して整備した。しかし、その結果は企業の開発断念。これほど困難な課題が、サウンディングなる一般的な手法を使った民間頼みで簡単に実現できると市長は本気で思っているのか?

 このように、これまで明らかになっている状況証拠を辿ってくると。駅前Aブロックの複合商業施設誘致も「私案」あるいは「対案」ではないかということ思い至りました。そのうち、サウンディングの結果を受けて断念という、病院の現地半額建て替え公約と同じ結末になるのではないかと思えてきます。市長の盟友は、病院は「野洲駅南口以外(郊外or現地建替)」とビラに書いて、実質的には郊外と言っているようなもの。本来、このようなことは、市議選前に収まりがついているべきもの。これでは、病院も駅前もまださまよい続けなくてはならない。それを回避するために、次の市議選で市民の明確な意思が示されることが期待されます。