Bブロック病院計画発注 訂正、追記後の仕様書は非公表 何が進んでいるか市民に見えない

 市がプロポーザル方式で発注し、8月に契約した駅前ブロック病院基本計画等策定業務委託。実施要領では、市が受託候補者と仕様書の協議を行い、訂正、追記等を行ったうえで、契約を締結するという、異例な手続きになっていました。発注者と受注者が相談して発注内容を決める、官製談合に近い。

 このことについては、本会議で工藤義明議員が質問。これに対して担当部長は何の問題意識も持たないで、そのように実施した旨を答弁し、議員が驚いていた。それはとにかく、公表されている元の仕様書と協議後の仕様書とを比較しようと、市のホームページを探りましたが、訂正、追記後の仕様書は見つかりませんでした。議員には示されているのかどうかですが、元のが公表なら修正後の確定版も公表されるべきもの。そうでないと、市民が心配しているBブロック病院がどのように進められているかもわからない。

特定空家(美和コーポB棟)行政代執行費用 滋賀県の責任は?

 仕様書を調べるなかで、最近目を通していなかった、市の部長会議要録に目を通しました。すると、9月6日(月)の会議要録に「野洲市内の特定空家(美和コーポB棟)行政代執行費用の収納状況について」の案件がありました。「納付状況、今後の予定等について報告する。」との説明があって、滋賀県空き家対策の補助金100万の議論がされていた。これを見て、それでは、滋賀県の責任については、どういう方針になっているのか疑問に思いました。

回収不能と認定された債権については滋賀県に負担を求めるスキーム

 この老朽化して空き家となっていたマンションについては、倒壊やアスベスト飛散の危険を除去することを優先して、空き家対策特措法に基づき市が約1億2千万円を立て替えて、行政代執行で昨年解体。制度では、費用を所有者に請求することになっていて、期限内に支払った所有者もあります。しかし、当然、滞納も当初から予想された。滞納者に対しては、市の滞納者支援制度を活用して、債権回収を図る。その上で、回収不能と認定された債権に関しては、その全額か一部かは別にして、滋賀県に負担を求める。以上が、行政代執行にあたってのスキームでした。

 この滋賀県に負担を求めるという理由は、このマンションの建築確認やその後の建築基準法に基づく指導の権限は滋賀県にある。そして、県は空き家対策特措法が制定される以前、すでにこの建物に関してはアスベストが含まれるなど危険な状態であると認定し、建築基準法に基づく指導を経て勧告まで出していた。しかし、勧告の出しっぱなしで、その後勧告内容が実施されたかの確認、また、実施されなかった場合の命令の発出などを怠っていた。この事実が判明したのは、市が空き家対策特措法による手続きを開始してからでした。想定ではありますが、県がその早い段階で責任をもって対応していれば、市が代執行に追い込まれる事態も避けられた可能性は十分にある。そこで、市は県に対して事実確認を行うとともに、上記のような経費負担についても提案していた。最終的に、回収不能債権が確定した段階で県と協議する意向であった。

行財政改革を本気で進めるなら県に対して市の立場に立った厳格な対応必要

 部長会議の内容から見ると、この方針と流れは今どうなっているのか?

 ところで、1年前の次のような新聞記事が手元にあります。「野洲市に現場がある、老朽化のため行政代執行で解体された特定空き家や、2025年に延期された滋賀国体(国民スポーツ大会)のラグビー会場の問題。円満解決には県と市の連携が不可欠だが、両者の関係はすっきりしない。協調路線か、是々非々か。市長選に出馬予定の現職と新人のスタンスには、大きな違いがある。(中日新聞2020年10月10日)」

 1年前の記事ではあるが、現在も市長の方針がこのとおりであるなら、県の不作為によって生じた事態の県の責任は不問に付す。そして、その代わり、市の行政代執行後に県が制度化した100万円の補助金だけで済まそうとしているのか?もちろん、県と敵対的に争うべきということでなく、行政代執行に至る過程で課題は十分共有化できているはずであるので、後は問題意識を共有化して交渉してはどうかということ。さらに、過去同時に県が勧告を出し、同様に危険な状態である隣接の美和コーポA棟の問題も残っているはず。

 これらのことがなぜ気になるのかといえば、まずは、市長が行財政改革を本気で大胆に進め、市民と職員に協力を求めようとしているのであれば、上記のことを厳格にしておかないと、理解と協力も得られないし、士気も高まらないからです。仲良く、穏便にということも大事。もし、その代償が必要ないならそれでもよい。しかし、そうでない場合は、市の立場に立って厳格な対応が必要。それによって、市の一方的な負担が軽減される。このことは、先の住民訴訟の取り下げに対して、市長が独断で同意したことにより、経費が発生した件でも同じです。