公開空地や地域貢献施設など整備 投資額128億~200億円、人員規模1000~1600人 

 今朝、スマートフォンの配信ニュースに目を通していると、『滋賀県守山市、村田製作所/守山駅東口の研究開発拠点整備で合意/23年度着工めざす 』という長い見出しの記事が目にとまりました。(日刊建設工業新聞2021年8月27日12面)

 このことについて最初に知ったのが、今月10日過ぎの協議がはじまったとの報道。

ここまでの素早い進行と、その成果に、守山市に拍手を送りたいところですが、素直にそうできない野洲市民も少なくないはず。

 本題に入る前に、記事の主要部分を引用しておきます。

「計画によると、同社は対象地に製品開発や製品応用などに関する研究開発の拠点を整備する方針で、新施設は延べ3万2000~5万平方メートルの規模を想定。公開空地や通路、地域貢献施設なども整備する考えで、建物・償却資産を含む投資額は128億~200億円、新施設の人員規模は1000~1600人を見込んでいるという。」

特別委員会で市長は情報を持っていたかの質問に対し2度にわたって否定

 このことについては、最初の報道に接した時と、その後、8月17日の市議会特別委員会に関してと、さらにもう一度の3回にわたって書きました。特別委員会では、坂口重良議員が市長対してこの件に関して市長は情報を持っていたかについて質問した。これに対して、市長が情報は一切なかたっと2度にわたって否定しました。それも、事態の重大さの認識や市長としての責任感のカケラもみられない、淡々として、何が問題なのかという表情で。

市と企業とは三十数年にわたる良好な互恵関係

 繰り返しになりますが、この企業の三十数年前の立地とその後の設備拡張に当たっての大規模な用地確保や開発での協力。また、市独自の制度で工業助成金の支援。他方、この企業は市内最大の納税者であり、最大の雇用貢献を行っていることなどによる、良好な互恵関係です。これまであえて触れませんでしたが、先に書いた、国道8号野洲栗東バイパスが、1982(昭和57)年に事業化されたあと、国はじめ地元関係者のそれまでの努力を無にして、止まってしまった。その原因も、過去に確認したところでは、この企業の責任ではありませんが、旧町の政策として、この企業の誘致を優先したため。結果として、大きな代償を払った。

逃した大魚を悔やんでも仕方がない 地域戦略見直し含め、事実の解明と検証が必要 議会しかない

 最初の報道に接し、委員会質問があって以来、市長がダメでも、議員か誰かが動くかなと期待していました。しかし、度重なる報道内容が確かなものであるなら、今更、逃した大魚を悔やんでも仕方がない。

 しかし、この企業と市及び事業所のある地元との、事業所竣工以前を含め約40年の関係。また、対象地にある『ライズヴィル都賀山(つがやま)』、その法人である、「一般財団法人守山野洲市民交流プラザ」には野洲市も出資している。このような条件のなかで、野洲市長に一切情報が入らないで事態が進んできたということは、通常ならあり得ないこと。余談ですが、ごく最近、この企業からの話を前市長が断ったという噂が広められているということを耳にしました。まったくの出まかせですし、噂の出どころもある程度分かるようですが、いずれにしても、ようやく事の重大性に気づく人が現われた兆候だと思います。

 今後の地域戦略のあり方の見直しを含め、事実の解明と対応の検証が必要。税収と雇用の増加はもちろん、公開空地や地域貢献施設などを備える。場合によっては、野洲市内に立地している既存の機能までも移転する恐れもある。これほどの新規企業立地を情報も入手せず、誘致競争に参入するまでもなく惨敗。

 他方、市長公約とは言いながら、まったく情報もノウハウもないなかで、税収確保のための複合商業施設誘致の目途のないサウンディングに市民の税金を使ってさ迷い出す。まずはそれ以前に、今回の検証と戦略の立て直しを行うべき。もし、市長が動かないのであれば、それをやれるのは、議会しかありえません。傷が深くなる前に、今議会での早急な対応が必要です。