滋賀県までもが宣言対象地域に 緊急事態宣言に切り替わることの有効性は?

 緊急事態宣言の対象地域に8道県追加、まん延防止等重点措置が新たに4県に適用されることが決定しました。期間は、27日から来月12日まで。報道されているので、府県名まではあげませんが、宣言の対象地域は東京や大阪など既存の13都府県を合わせると21都道府県。重点措置の適用地域は合計12県になります。

 久しぶりに新型コロナウイルス対策のことを書こうと思ったのは、地元の滋賀県までもが緊急事態宣言の対象地域になることになったから。

 滋賀県はすでに重点措置の適用地域になっていて、現在はそれが延長されて来月12日までとなっている。それが、緊急事態宣言に切り替わる。県民の外出抑制や飲食店はじめ商業施設の時短要請、イベントの開催制限などが一段と強められるのでしょうが、制度ができた当初から書いてきたように、程度の問題で、大きな効果は見込めない。ましてや、期間が12日までと変わらないのでは。

 これまでは、大阪を中心に京都と兵庫がセットでしたが、滋賀まで伸びてきたことで潮目が変わった。さらに、今回、愛知、岐阜、三重が加わったので、先に8月20に宣言が出された千葉などの関東地方の県から広島までがつながった。

 国のホームページから直近のデーターを添付します。平成27年のものですが、人口を入れて加工しました。

期間設定は科学的データに基づく試算によるものではなく、対策も同様 格好をつけているだけ?

 これまでの東京、大阪などの場合と同様に、この期間設定は、科学的なデータに基づくシミュレーション(試算)によるものでは恐らくない。いうまでもなく、きちっとやるのであれば、感染者予測、それを基に、入院者や重症者数の、いわゆる「成り行き予測」を行う。それに打つ対策の効果を入れて、予測の精度を高めたうえで、期限を設定するべきもの。他方、過去の予測とその当て外れを検証して対策の効果を出し、効果のある対策とそうでないものをふるい分けていく。このようなことの繰り返しによって、的確な対策を講じていくのが常道。新型コロナウイルス感染の発生以来1年半。当初いきなり全国の学校と園などを休校や休園にしたり、全国民へのマスクを配布など、数多くの経験を重ねてきた。しかし、対策の評価がされてそれが生かされてきた形跡はない。期間設定も含めて、万全を期すなどの信念をもとにした同じ対策の繰り返し。

 そこで、今日の緊急事態宣言地域などの拡大を伝えるニュースを見て浮かんできた言葉が、格好をつけているだけではないかというもの。これまでと変わらない対策もさることながら、宣言を出すなどのことも、その実効性よりは、何か手を打たないといけないので、とりあえず行った。とくに、滋賀県の場合のように、期間はそのままで、重点措置からの宣言への移行などは典型的。

保険制度の見直しなしで、見直したのと同じ現実 格好づけでなく、問題を直視し対策を 

 宣言など、これらの法に基づく制度の適用と日々報道されている医療現場の実態。いや、医療どころか、そのサービスも受けられなくて、自宅などで「療養」している人たちの急激な増加。そのなかで、心配し、苦しみ、亡くなっていく人たちとその家族。言葉が見つからない状況です。

 今年1月菅総理が、新型コロナに絡んで、国民皆保険制度の見直しに言及したとも受け取れる発言をして、心配と波紋が広がった。そのときに、加藤官房長官が、「国民皆保険制度を維持し(新型コロナへの)対応力を高めていくという考え方は一貫している」(東京新聞WEB 2021年1月14日 19時37分)と説明したことになっています。遠い昔の話のように思えてきます。

 残念、無念なことですが、保険制度の見直しをしなくても、見直したのと同じ現実になっている。保険制度があって、保険料を払っていても、医療が受けられない。セーフティーネットどころか契約の不履行にもなる。

 それに加えて、感染による直接影響に加え、飲食業や観光業はじめ事業者の窮状、ひいては生活の窮状は、長引く規制で限界を超えている。

 これらの点から見ても、宣言などの制度適用の議論の状況を報道で見ている限りでは、先に書いたように、格好づけに終始しているようにしか見えてこない。この繰り返しでは、問題解決も目標達成もできない!車で例えれば、ドアを開けて運転席に座って、ハンドルを握っただけ。エンジンがかかっていない。車の例えを続ければ、ワクチン接種は燃料。それだけでは、車は動かない。

 エンジンをかけて、現状と問題を直視して、最悪の場合を常に想定して、改善した対策を打っていくことが急がれます。

野洲市の病院と駅前、よく見ると格好づけに終わっている

 これまでも、新型コロナ対策は、野洲市の病院問題と類似のものとして書いてきました。今の野洲市の動きを見ているとよく似ています。すでに書いたので、詳しくは書きませんが、新病院のプロポーザルをやって、計画策定業者を選定したり、数十年逆戻りの発想で、駅前の複合商業施設の事業者公募をしようとしたり。そのための資料を作って議会や市民に示しています。一見なにかが進んでいそう、また、今後進みそうに見えます。よく見ると、手厳しいようですが、車の形になっていない。格好づけに終わっている。現状と問題を直視して、最悪の場合を常に想定して、対策を打っていくことが急がれます。