驚き! 公開プレゼンテーションで事業者名公表、その者は落選しないという意味

 今日8月12日、Bブロック病院計画のプロポーザルのプレゼンテーション(提案説明)審査が予定どおり開かれました。傍聴した数人から状況を教えてもらいました。また、詳細なメモも取られていたので、話とあわせて、かなり詳しく状況が再現できました。プレゼンテーションは1社だけ。これでは、競演どころか競争も働かない。

 それに、驚いたことには、公開でのプレゼンテーションであるにもかかわらず、提案した事業者名が公表されたこと。傍聴者にまで事業者名の記された資料が配られた。

 通常は、審査の公平を期するためと、落選した場合の事業者への配慮から名前は公表されない。選定結果公表の際に選ばれた事業者名だけを公表するのが通常のルール。栢木市長になってからは、重要な会議は非公開で行い、議事録も公開しないのに、今回は全く逆。

 最初から、公開プレゼンテーションにおいて事業者名を公表するということは、その業者は落選しないということを意味する。

傍聴者の一言印象は、「むなしくなってきた」、「いい加減」、「やらせ」、「馬鹿らしくなってきた」 

 傍聴した人たちに、まず、一言での印象をそれぞれ聞いてみました。すると、「むなしくなってきた」、「いい加減」、「やらせ」、「馬鹿らしくなってきた」といった厳しいもの。それには、プレゼンテーションの内容はもちろん、すべて市の幹部である審査委員たちの質問にも呆れたという、これまた厳しい評価も含まれていました。割り振られた質問を分担して言っていたように見受けられたとの意見もありました。例えば、提案内容に関して補助制度に該当するのかとか、なぜ地下駐車場を提案しないのかなど。審査員に専門性がないどころか、公務員である市幹部としてもいかがなものかと心配になったと傍聴した市民が言っていました。当然、補助金制度については市の方が詳しくないといけないし、地下駐車場に関しては説明者は1.5倍の経費がかると答えたそうです。以前紹介したように、場合によってはもっと高額になる。

貧しい市への節約予算で病院をつくる指南 安全度落とす提案は実効性あるか?

 このように書いてくると、せっかく詳しいメモがあるにもかかわらず、プレゼンテーションの状況を紹介する意欲もなくなってきます。

 傍聴者に倣って短くプレゼンテーションの印象を述べると次のとおりです。お金のない貧しい市が無理して病院をつくらないといけないと困って泣きついてきた。そこで、節約予算でつくる方法を教えてあげます。こういったところです。

 とはいっても、せっかくなので少し紹介します。提案内容は、新市民病院の構想提案でなく、いずれも項目ごとの経費削減策。いわゆる節約の指南。

 具体的には、病棟数を減らす、厨房の規模を縮小する、発注方式をデザインビルド(DV)方式にするなど。なかでも驚いたことは、削減額が大きいものとして免震構造を耐震構造に落とすことと、床面積を減らすという提案。

 これからつくる病院の安全度を落とす提案を審査員はどう評価するのか?さらに、安全度の問題に加え、病院の建物を免振にしない場合は、機器や装置自体とその設置の経費が高くなるのとレイアウトの自由度が低くなるため面積効率が悪くなる。したがって、トータルコスト(最終経費)が安くなるかどうか分からないため、よほど慎重に検討しないといけない。

乾いたタオルをさらに絞る架空の縮減案 解約の駅前Aブロック病院で既に75㎡/床を下回っていた

 それよりも一段驚いたこと。床面積を減らすという提案の内容です。入院ベッド1床当たりの床面積を70~75㎡にすれば14~20億円縮減できるという、最大の経費削減提案。

 栢木市長が就任直後に中止した駅前Aブロックの病院の最終設計。市民はその最終成果物を見ていませんが、その設計では1床当たりの床面積は75㎡を下回っていたはずです。これでは、乾いたタオルをさらに絞るようなもので、架空の縮減額になります。どの病院計画なり設計なりと比較して提案しているのかまではわかりませんが、提案としては大きな欠陥。審査員は誰もこの点を質問しなかった。

駐車場の提案はいずれの傍聴者からも話にならないという評価

 最後は、駐車場の提案。これについても、いずれの傍聴者からも話にならないという評価を聞きました。

 したがって、細かく紹介するまでもありませんが、病院の1階をピロティ(壁がない柱だけでの吹き抜けの空間)にして、80~90台。機械式で100~110台。機械式とはいわゆるタワーパーキングのことだと思いますが、現実的ではない。あと、独立の自走式の立体駐車場で140~150台とか180~190台とかの提案もあったようです。しかし、もともとBブロックの駐車場計画が屋上を入れて5階建てで、一階当たり50台、計250台でしたから、第一の提案である病院1階ピロティに80~90台というのも過大ではないか?そのうえ、この案だと、患者はすべて、駐車場の上まで行かなくてはならなく、極めて使いにくく、イメージの悪い病院になります。

病院問題にいつまでもこのような小細工をしていたり、駅前の商業開発に拘っている状況ではない 

 今日の話を聞いて、Aブロック病院の計画で重要視された、市民・患者にやさしく、病院スタッフにとって働きやすい「動線」の方針などはどこに行ったのかとむなしくなりました。極論すれば、そこまでして病院をつくらなければならないのかという議論にまで行きつく。

 それと気になったことは、傍聴には市民と多くの議員も参加していたのに、市長も副市長も参加していなかった。審査は職員に委ねるとしても、市長がその場にいなければ、その評価を検証できないし、責任も持てない。その程度の事業と位置づけているのかということになる。

 今日は、この病院計画プレゼンテーションのことよりも、野洲市内にその企業グループとしては最大となる開発製造拠点を置いている世界的な電子部品メーカー。そこが、新しく守山駅前に研究開発拠点を整備する方針であるとの報道の方がショックでした。野洲市はどういう情報をもっていて、どう対応したのか。また、これとは別に、駅北口にある大規模事業所でもすでに報道されているように、秋には事業所の再編が行われることになっている。

 病院問題にいつまでもこのような小細工をしていたり、駅前の商業開発での税収確保に拘っている状況ではない。もっと透明性と信頼性を高めて、大胆な政策展開をしないと、この面でも後れを取りつつあります。