市民の危機感が募る病院問題は市長が否定的で市民が積極的という奇妙で滑稽な構図

 市長は、たび重なる議会の決議はもちろん、自らの公約までも無視して、駅前Bブロックでの病院建設に突き進んでいます。この状況は、第三者が客観的に見たら、奇妙・滑稽に見え、それで済むかもしれません。しかし、当の市民には危機感が募ります。

 これまでも紹介してきた、4月に立ち上がった、駅前(Aブロック)に市民病院を実現する活動が、街頭での市民への呼びかけをはじめました。これまで、集会の開催やビラ配り、署名活動などが進められてきましたが、今月になってからは街かどでの活動が加わった。駅前で朝夕の通勤・通学時間帯に、また市内の大規模商業施設の店頭で買い物客の多い時間帯に、マイクと幟を持ってのビラ配り。街頭活動には会員はもちろん、多くの市議会議員も参加しています。今日も7、8人の人が参加していました。酷暑が続くなかでの活動は、きついし、熱中症など心配ですが、熱意と危機感の表れでもあります。

 幟には、「一日も早く病院開設」、「病院は絶対必要」などのシンプルなメッセージが書かれています。普通、市民活動の幟旗に掲げられるメッセージには、〇〇反対とか〇〇中止とかいった、否定的(ネガティブ)なものが多い。しかし、今回の活動のメッセージは前向きで積極的(ポジティブ)なものばかり。逆に、市長の進めていることの根底には、駅前中止や反対という否定的なメッセージがある。この面でも、野洲市の病院問題は奇妙で滑稽な構図の展開になっている。

 

 

世論高まっても実現の見通しは開けていない まずは議会機能

 このように、駅前Aブロック病院の実現をめざす市民活動の広がりと高まりはすごいものです。市民の病院問題への気づきの促進と世論形成にはつながります。しかし、客観的に見ると、以前書いたようにその実現の見通しは、開けていません。頼みとする市議会も、三分の二近い数の市会議員が駅前Aブロック病院に賛同していますが、これまでのところ市長の方針転換を迫れていない。それどころか、市長の議会手続きを無視した独断専行に引きずられている。さらに、かつて駅前市民病院実現に積極的で中心的な役割を担った地元医師会の動きが見えない。

 このような状況のなかで、市民の思いと活動はどのように道を開いていけばよいのか?民主主義制度を前提とするなかでは、まずは、市民活動による世論形成を背景にした、議会での審議と採決による市民の意思決定の仕組みを機能させることです。

市長は議会と正面で立ち向かうことを一貫して巧妙に、あるいは強引に避けてきた

 実のところ、栢木市長は、就任後一度も議会とは正面で立ち向かったことはない。それを一貫して巧妙に、あるいは強引に避けてきた。

 繰り返しになりますが、就任直後に行った駅前病院の設計業務委託契約の中止とその契約解除は、実質的に議会関与なしで押し切った。公約であった病院の現地半額建替検討も非公開で押し通し、議会と市民には断念だけを伝えた。その後の3候補地選定とBブロック方針も同様です。なかでも悪質なのは、今進めつつあるBブロック病院の基本構想と基本計画策定の1,200万円の予算は、Bブロックで行うこと、またその内容も具体的に示さないでの枠取り予算になっている。本来誠実に進めるのであれば、何らかの議会手続きを経るべきもの。少なくとも、病院事業設置条例に定めるAブロックを削除するか変更する条例案を議会に諮り議決を得てから行うべきもの。

 

市長が難色示し逃げ続けても、委員会を開催し市民の取組みが実を結ぶ議会活動を

 先の議会中も病院特別委員会は開かれなかった。また、6月30日に閉会した定例会で示された情報と7月1日の市広報の情報の落差。さらには、それと時を置かないで公表されたBブロック病院の基本計画等策定のプロポーザル。

 聞くところによると、これらのことを含めて病院問題を審議するために、議会が市長に対して病院特別委員会の開催を求めても、市長は難色を示し、逃げ続けているとのこと。何とか開催に漕ぎつけているようではあるが、市長は説明する内容はない、あるいは自分は説明しないとか言っているとのこと。

 3月の議会で当初予算の否決を突き付けられて、今後は、議会と市民に丁寧に説明して進めていくという約束は、またもやその場の逃げ言葉。

 議員自らも参加している、酷暑のなかでの市民の取組みが実を結ぶフェア(公正)な議会活動を期待します。