市民参加のない市民病院検討 市議会はまったく蚊帳の外 本来のチェック機能は?

 市長が現地建て替えを断念し、方針転換したBブロック病院。議会の決議も無視して、現在、基本構想と計画策定業務委託先の公募型プロポーザルの手続き中。

 市のホームページに公開されている公募公告の仕様書の問題に関しては以前触れました。来年3月25日までにわたる長期の業務であるにもかかわらず、市民説明会は1回だけしか計画されていない。1回だけということは、業務完了時の1回とならざるをえず、作業に入る前や途中、ましてや基本構想が完了する区切りの段階でも市民は情報が得られないことになります。一方的な形の説明会でさえこのような状態だから、ましてや市民の意見や提案を受ける場はまったく予定されていない。また、専門家や市民代表からなる評価委員会の開催も1回だけとなっていて、状況は同じです。さらには、市民を代表する機関である市議会に至っては、特別委員会の開催は1回も組まれていない計画になっている。

市議会決議に真っ向から反しているが、市議会から異論も行動も表に現れない

 政策形成過程から市民を排除して、市行政と外部の受託業者等だけで構想や計画を密室で捏ね上げて進めていく手法の問題は、先に駅前商業開発の場合でも指摘しました。まちづくりの進め方が数十年昔に、逆行している。ただし、駅前の場合はまだ今後のことですが、Bブロック病院の計画作業は、その内容が市ホームページに公表され、具体的にはじまりつつある。

 通常このようなことは、組織が健全であれば、組織内から異論が上がって、公表されるまでに修正されるものです。さらに驚くことは、このような進め方は、今年3月24日の市議会第1回定例会、また6月30日の第2回定例会で可決された市議会決議に真っ向から反するもの。そうであるのに、市議会からは、何の声も行動も表には現れてこない。

密室型の行政が既成事実化・既定路線化 市民懇談会でも病院は話題にしない、質問も受けない約束で 

 そういえば、病院現地半額建替えの検討も実質のところは、完全非公開で進められた。その時も、議員は市長に対して強く公開を要求したが結局押し切られ、泣き寝入りの結果で終わった。その最終の被害者は議員でなく、市民です。このように、市長の独断専行で密室型の行政運営は既成事実化し、既定路線化しつつあります。

 市民は知らされなく、市長にお任せで、結果が良ければそれでよいというやり方。これでは、市の活力にとって大事な、市民の参画意欲、期待感、信頼感が損なわれていきます。当然、目的とする良い結果も得られません。

 なお、今週「元気な野洲まちづくりトーク」なるものが市長を交えて開かれることになっています。市ホームページの市長日程にも載っています。耳にしたところでは、市民病院問題は話題にしないという前提で、質問も受けないという徹底ぶりのようです。

 

Bブロック病院計画等策定プロポーザル手続き極めて不透明 価格は市と業者で仕様書協議後?

 ところで、今回これを書くにあたって、改めて公募型プロポーザル実施要領を見ました。すると、かなり変則的な手続きになっていることに気づきました。と、同時に気になったことは、市ホームページの最初の画面の一番目立つとこに、プロポーザル実施の知らせが掲載されていること。もう質問の期限が過ぎているのに異例です。まさか応募者が現れていないということはないと思いますが。

 それはさておき、普通はスケジュールにある、業者決定の「最終審査結果の通知」がない。実施要領のスケジュールでは、手続きの最終は、8月18日(水)の「 プレゼンテーション審査結果の通知」で終わっている。それでは、業者をどのように最終決定するのか。実施要領を探ってみると、分かりにくい記述になっています。

 要するに、提案書説明20分、質疑応答10分の「プレゼンテーション」で業者を絞り込む。その後、改めて市と業者で仕様書を協議し、確定する。そして、その仕様書に基づき、価格の記載された見積書を求めるという、かなり恣意性の介入する余地のある手続きになっています。通常は、最初から価格見積もりも出してもらい、総合的に評価する。

 大事なことなので、長くなりますが、引用します。

契約の締結 

 受託候補事業者特定後、受託候補者と協議の上、仕様書の確定を行う。当協議の結果、必要があれば仕様書の訂正、追記等を行い、その仕様書に基づく見積書を徴取し、随意契約の方法により契約を締結する。 

 なお、本業務に引き続き令和4年度には業者選定支援業務(要求水準書の策定支援、選定要綱書・業務仕様書の作成支援等)を発注する予定であり、本業務の取組状況に問題がない場合は本業務受託者と随意契約を締結することがある。ただし、業者選定支援業務の予算が議決された場合に限る。」 

次年度の別業務の随意契約がぶら下がっている 「いち市民」の手には負えない、議会の出番 

 なぜ長く引用したか分かっていただいたと思います。最後に、もうひとつ別業務の随意契約がぶら下がっているからです。それも、「発注する予定であり」、「随意契約を締結することがある」と極めてあいまいな記載です。次の業務委託を匂わせています。これ以上のチェックは、とても「いち市民」の手には負えない。議会の出番です。