議会提案時1,200万円予算の使途は何だったのか? 財政民主主義の原則に反する

 明日6月30日で市議会定例会は終わります。その前に午前の全員協議会でBブロック病院の基本構想・基本計画策定業務委託のプロポーザルについて、市長が説明することになっています。

 4月10日の市民集会や議会答弁で、予算1,200万円で基本計画などを年度内に策定すると言っていた。そこで、その後市ホームページで公開された資料で確かめてみました。添付のとおりです。

 病院事業会計の資本的支出として、委託料25.000千円。市長の言う1,200万円はこの中の一部だと思われます。予算の説明は、「病院整備までにかかる情報システムの導入、更新計画等の修正について業務委託します」。これは今年2月から3月にかけて開かれた、市議会第1回定例会の予算案の資料。これをもとに予算案が審議されました。予算委員会では否決されたものの、最終的には委員会では反対であった議員のほとんどが賛成に回って、可決された予算です。

 この説明を文字通り読む限りでは、情報システムの導入、更新計画等の修正業務の委託であって、Bブロック病院の基本構想・基本計画策定業務の予算には該当しそうにない。そこのところは、議決した議会に確かめないと市民には判断できませんが、市民目線ではそう理解できない。

 このような重要な政策転換に関わる予算であれば、もっと明確に使途を明示すべき。これでは握り予算になってしまう。固いことを言えば、歳入・歳出は予算案として議会に提出し、事前にその承認を得なければならないという、財政民主主義の原則に反する。

病院現地半額建替えの検討中に別の場所での計画策定予算提案の怪 二枚舌?

 この予算案資料を見ていて不審に思ったことがあります。通常、予算案は年末に各部・課の要求が取りまとめられます。そして、翌年1月中旬に、財政担当部長の査定を終わり、その月中に市長査定も終わって、1月末に予算案は確定します。従来は、段階ごとに情報を公開し、市長査定前には公開で市民懇談会が開かれていました。ところが、栢木市長になってからは、一切秘密裡に進められました。

 それはそうとして、この予算案は2月25日開会の令和3年第1回野洲市議会定例会に提案され、閉会日の3月24日に可決されました。

 この間に何があったのか?探偵小説の謎解きに似てきますが、辻褄の合わないことがあります。栢木市長は、病院現地半額建替えを公約に掲げて当選。就任直後に、駅前病院の実施設計と病院開設支援の業務委託契約を中止し、その後解約。そして、年明け1月からは、病院現地半額建替えの検討を始めた。その検討結果として、公約の病院現地半額建替え不可能という答申を3月1日に受けた。そして、3月16日の市議会『野洲市民病院整備事業特別委員会』で3候補地をあげて、この中から病院の場所を選定すると表明し、去る5月28日の特別委員会で突如Bブロックでの病院建設方針を打ち出した。

 これでは、病院現地半額建替えの検討中に別の場所での計画策定予算を議会に提案したことになる。奇怪なことであり、もしそうであるなら、いわゆる二枚舌になります。

1,200万円がBブロック計画等策定に使えるなら、最初から病院現地半額建替えが不可能と分かっていたことになる

 長々と改めて経過をたどりましたが、問題は、この1,200万円予算の使途です。仮に、病院現地半額建替え公約が真っ当なものであれば、検討予算など必要なく、調査費や場合によっては基本設計予算を確保して実現に向かうもの。一歩譲って、検討を認めるとしても、その結果が可能と出ることを前提に、新年度予算として、基本設計を編成するのが筋。しかし、今回Bブロックで構想や計画策定に使える予算を握りで盛り込んでいたとするなら、病院現地半額建替えを最初から無理と分かっていたことになる。

 いずれにしても、病院現地半額建替えの検討結果が出る前の2月25日開会の市議会定例会に提案された当初予算案に、別の場所での病院建設の計画策定予算が提案されていたことは、普通には理解不可能なことです。逆に言えば、Bブロック計画等の策定を行うのであれば、きちっと目的を明確にして新たに予算措置をする必要があります。財政が厳しい、さらには行財政改革を進めようとするのであれば、通常以上に財政規律を厳しくしなければいけない。

 加えて、病院の場所が市条例上はAブロックと定められたままであることの問題も残ります。

 さらには、Aブロックに病院を建てないで、わざわざ空けておく。そこまでして、市民にとって歓迎される商業開発がそこで実現できる見込みがあるかの問題があります。すでに、市長は分譲マンションを含んでいると議会答弁しています。

昨年就任直後、独断で中止・解約した業務委託契約を再度新年度で予算化しているのでは? もしそうなら、大きな無駄

 なお、別の問題が。上にあげた予算資料にある、1,200万円がその一部と思われる総額2,500万円の委託料の説明にある、情報システムの導入について業務委託。これは、市長が昨年就任直後中止・解約した病院開設支援の業務委託契約に含まれていたものではないかと思われます。就任直後、庁内で検討協議もしないで、乱暴にも独断で解約しておきながら、再度新年度で同じ業務を予算化している。もし、これがそうであるなら、これも大きな無駄です。参考に令和2年度の該当の予算資料を市ホームページから添付しておきます。

 最後に、明日の市議会での建設的な議論を期待します。