市民に知らせないで市民サービスの低下 図書購入費の14%以上の大幅削減 

 年度がはじまってから、まだ3、4度しか市の図書館に行っていませんが、何か少し雰囲気が違うと感じていました。新刊書コーナーが目立って寂しい。

 市長が病院の場所をBブロックにした理由として財政難をあげ、基金が食い潰されてきたなどと言っている。それが正しいかどうか改めて確認するために、基金の推移を市のホームページで調べました。すると、今年度予算の概要がようやく掲載されていました。そこで、予算の詳細資料である「一般会計事業別説明資料」で図書購入費を調べてみました。するとやはりというか、驚きというか、14%以上も削減されていました。図書館の運営費も約12%削減されていますが、こちらの方は単純な比較が難しいですが、図書購入費の方は明確な市民サービス低下につながります。いや、サービス低下というより、予算資料に記載のとおり「市民の知る権利、学習する権利、読書の自由を保障する機関」としての機能の低下になります。

図書館協議会では「図書費は、今までで最低額」の意見

 年度末3月の議会では、病院問題で予算案の委員会否決があったりなど、予算案が注目されていました。しかし、図書館予算のこれほどの削減についての議会での議論は聞きませんでした。これは、議員の問題というより、本来であれば、市長側から、予算説明会や事前の全員協議会などで注意喚起をして、議論を促すものです。

 リーマンショック時の厳しい財政での「野洲市財政健全化集中改革プラン(平成 22 年 2 月)」においてもここまで削減しなかったのではないか。

 市の図書館協議会ではどのような議論がされたのか気になり、今これを書きながら議事録を検索しました。すると令和3年(2021 年)2 月 21 日の「令和 2 年度第4回図書館協議会会議録」が市ホームページにありました。関係のところを引用します。

 

【会長】図書費は、今までで最低額です。新しい資料がないと、利用は落ちる。日本一使われている図書館で資料費が下がるのは理不尽。以前提示した統計資料で、(全国の人口別の図書館の資料費や利用等がランキングされた資料 第3回図書館協議会資料参照)野洲は、資料費は 19 番目なのに、貸出は 1番です。ここを強調しないといけない。来年度の予算が前例にならないように望む。

【委員】市長は、この図書館(の利用)が日本一だと知っているのか?

【館長】まだ市長には報告していません。今年度の報告と一緒にお知らせします。

【委員】利用者アンケートに、この図書館があるから野洲に住み続けたい、とあった。どこに住もうか考えている人にとっても野洲図書館はアピールポイントになる。

【委員】県でも読み解く力の育成に力を入れています。読書の必要性も併せてアピールしたらよい。

 

図書館協議会の時点では遅かった 予算はそれ以前に決定 市民に説明なしに決定   

 市長は報告を受けたうえで、判断したのか?いや、この時点ではもう遅い。1月末には予算が固まってしまっているはずです。今年は、市民に対する予算の編成過程の説明も意見交換会もなかったので、このようなことが通ったのだと思います。

 財政が厳しいのであれば、病院問題の出口がなくなってから騒ぐのではなく、あらかじめ情報を公開し、市民に説明してから行うのがルール。

市長は被害者だと思っているからできる? 議会のチェック機能への期待が一層高まる

 栢木市長は、財政が厳しいのは自分に責任がなく、被害者だと思っているようなのでこのような手法が採れる。リーマンショックの時も市長、議員、職員に責任はなく、また同様に基金は厳しい状況でした。その時は、市民サービスを削減するに当たっては、資料を確認すると次のとおりとなっていました。

 

6)人件費の見直し  

各種行政委員会委員、審議会等の付属機関の委員、自治会長などの非常勤特別職については、当分の間報酬の削減を実施します。また、議員報酬については期末手当の 50%を削減する案が議会から示されました。

市長、副市長、教育長の特別職の期末手当については、平成 21 年度当初予算基準で35%、本則規定からは 40%を削減します。一般の職員についても、期末勤勉手当を平成 21 年度当初予算基準で 20%削減します。「野洲市財政健全化集中改革プラン(平成 22 年 2 月)」より。

 

 今回は、たまたま気が付いた図書館の予算に関して書きましたが、他にも似たようなことが隠れていそうです。また、今後病院問題や土地問題を含め、同じような手法で事が進められそうで心配です。議会のチェック機能への期待が一層高まります。