誠実さの無さか度量の深さか? 

 栢木市長に質問しても、同じ答えの繰り返し、まともに答えない、はぐらかし。このような発言が昨日の市民団体の催しで議員たちから出ていたようです。同じことは、議会を傍聴している多くの市民も感じている。市役所や自ら経営者である会社での普段の業務ではどうなのかなと思いますが、そこは部外者にはわからない。

 市長のこの繰り返しやはぐらかしなどは、一般的には意図的になされ、誠実さがないと思われるもの。ただし、このスタイルで押し通すことは、これまた一般的には精神的にきつい。したがって、このスタイルの善し悪しは別にして、このやり方で押し通せる人は、心臓が強いとか度量が深いとか、逆に評価される場合すらあります。とりわけ、課題が解決されたり、成果が上がっている場合はそうです。成果が上がっていない場合でも、社会的立場が強い場合は、このスタイルである程度までは持ちこたえられます。

就任7カ月、通常は成果が出だす頃 看板公約の撤回や転換を余儀なくされている 夜も寝られない? 

 そこで、栢木市長の場合はどうなのか?就任以来7カ月。通常だと、準備期間が過ぎてそろそろ何らかの成果が出だす頃。あるいはまだ成果が出ていないとしても、それが近い将来に確実に実現されることが見えてくる時期です。

 しかし、栢木市長の場合は、それどころか看板公約の撤回や転換を余儀なくされている。とするならば、心臓の強さや度量の深さ、そして市長という社会的立場の強さによって持ちこたえていることになる。ところが心配なことがあります。去る5月28日の市議会特別委員会において、議員から質問で詰め寄られて、夜も寝られないとか、寝ないで考えているとか舞台裏を明かしていました。

繰り返しやはぐらかしなどは、余裕からの意図的なものでなく、地が出てきている? 

これは危険な兆候です。これでは、冷静な状態で適正な判断ができない。このことは、市議会特別委員会後の記者会見のテレビ報道での余裕のなさに如実に表れていた。市長の役割は、飛行機や船で例えれば、機長や船長。ここが沈着冷静で先が読めていなければ、その被害は当然被害は本人にとどまらず、市民とまち全体に及びます。

 日頃身近に接していない市民には市長の知的精神状態は分かりません。しかし、心配になる兆候はすでに随所に表れている。とすると、繰り返しやはぐらかしなどは、心臓の強さや度量の深さによるものでないよう。余裕があっての意図的なものでなく、いわゆる地が出てきているのではないか?

駅前Bブロックに病院を建てる方針表明は度を越えている 正常な判断ができていない 

 これまでの病院現地半額建替え公約の呆気ない撤回も異例・異常ですが、今回の病院を駅前Bブロックに建てる方針表明は度を越えている。

 2つの意味からです。ひとつは、改めて繰り返すまでもなく、駅前はあり得ない、なかでもBブロックは狭くてあり得ないと直前まで明言していた。このことは、いくつかの報道にも記録が残っている。それなのに、市長は理由も経過説明もなくそこに決めたという結論だけを繰り返す。

 もうひとつは、市長自らも以前は明言していたように、病院本体だけでも面積が狭く、駐車場がほとんどとれない土地に病院を建てるという判断。ましてや、救急対応をし、病棟を持つ病院であるとしながら、救急搬送口も霊柩車のアクセスも確保できない。職員までが議事録が残る委員会で免振建築に地下駐車場を検討するとまで言い出す。正常な判断ができていない。

病院つくる前からの市長口癖の財政が破綻 Bブロックもその含み

 最後に、もうひとつ心配なことを。

 5月10日と28日の市議会の病院特別委員会、また17日の病院評価委員会いずれにおいても、市長は財政が厳しい、基金が底をつく、財政が破綻すると強調していた。恐らく、自分で実感しているというより、口ぶりから見ると、副市長以下財政担当職員から言われているからだと思います。

 栢木市長はじめ立入三千男議員など駅前病院反対の人たちは、その理由として財政破綻をあげていた。彼らは、夕張市に失礼なことですが、何度もそのまちを例にあげて反対していた。ところが、病院をつくる前からそうなっている。今回の駅前Bブロックもうがった見方をすれば、その心配からきているかもしれない。駅前Aブロックは明けておかないという栢木市長にとっての至上命題は別にあったとしても、Bブロックにすれば病院の機能と規模を限りなく小さくする言訳になるという含みがあるよう。

財政厳しくなって当然 毎年3.5億円の都市計画税を止める一方、事業は拡大 Bブロック病院も見込めない 影響は子育て支援、文化にも

 財政が厳しくなった原因。それは、端的に言えば、3年前から準備し財政計画に折り込み済みであった毎年3.5億円の都市計画税を止めた。その一方で、それを前提としていた子ども医療費無料化拡大、学校や体育館、さらには踏切の大規模改修、雨水幹線整備をそのまま動かしたから。そして、その財源不足を補うため、今年度予算編成で財政調整基金を大きく取り崩した。さらには、駅前病院の設計を中止して、せっかくの国交付金と交付税までも無駄にするとともに、年度末に4千万円以上の想定外の支払いを発生させたことなどによります。まだほかにも要因はありますが、このあたりは、市長自ら分析して説明するとともに、議会審議のなかで明らかにしていく必要がある。そうでないと、AブロックどころかBブロックでの小規模な病院整備も見込めない。ましてや、急を要する現市立病院の老朽化対策などはもってのほかになります。さらには、子育て支援はじめ福祉や図書館などの文化施策にも及ぶ、いやすでに及びつつあります。