「何時まで何度も同じ議論をしている。こんなことではダメですよ!」

 今日5月17日の評価委員会を傍聴した複数の知人から会議の状況を聞きました。録音も聞きました。結論から先に述べます。

 まず、3候補地の中から1カ所への絞り込みはされませんでした。それと、市議会が要望した駅前市有地は、要望があったという報告資料として別紙で情報提供。微妙な扱い。これを3候補地に入れることについては、後半のやり取りで角野委員が執拗に抵抗していました。

 要するに、2時間を越える会議であったが、何も決まらなかった。小田原評定の模範例のような会議であったようです。

 会議が終わってから傍聴者のひとりが、「何時まで何度も同じ議論をしている。こんなことではダメですよ!」と大きな声をあげていたようです。まさに今日の会議を一言で表していて、至言だと思いました。

市長あいさつの財政厳しい、経済的合理性ある病院の意味 『京の茶漬け』に倣えば病院は建てないという意味

 やり取りを追って紹介するような内容ではなかったと思われるので、順不同で気になったところを書いてみます。

 まず、開会の市長あいさつ。10日の市議会特別委員会とほぼ同じでした。財政が厳しく、基金が底をつく。経済的合理性ある病院を早くつくる。これだけです。

 財政が厳しいと繰り返すばかりで、いつまでたっても、どうするかの案を言わない、言えない。財政無策を恥じるどころか自慢している。また、経済的合理性ある病院というのは病院のビジョンではない。『京の茶漬け』に倣って解釈すれば病院は建てないという意味になる。手持ちのお金はないし、工面する当てもない。経済的合理性を第一の目的にしての病院は、経済的合理性を第一の目的にする保育園と同じように成立困難です。

角野委員県のコロナ対策責任者として多忙な中、寡黙な市長に代わって、ブレーンとしての奮闘が印象的 

 今日の会議は、仕切りをしていた上本委員長の方針では、病院のあり方の議論が主で、立地場所選定については集約するつもりはなく、各委員が思いを述べるにとどめることのようでした。「どこにするかは市が決める。」いたって当然のこと。ところが、市が決めようともしないで、会議を開いているので、仕方なく小田原評定になってしまう。

 と思っていると、角野委員がいきなり割って入りました。資料の「立地場所選定条件」についてです。これは、3月16日と5月10日の議会特別委員会に市が出した資料。その中の、「市有地」という条件は評価委員会は出していない。どこから出てきたのか。必須条件なのかを確認したいと。これに対して事務局とそして委員長までもが特別委員会から上がってきたと理解しているというような回答をしていました。栢木市長の提案のはず。

 ここで角野委員が拘っていたのが不可解でしたが、後でも彼が、議会要望の駅前市有地を候補に入れることに強く難色を示したことからヒントが。後の意見というより言いがかりでは、他にあると聞いているので、(3候補地を)早く整理してそこへとまで言った。想定されている土地が市有地ではないのだと思われます。

 このほかにも、角野委員は、どこにつくるかは市が決めること。(駅前はダメとの)民意が出ているのに振り出しに戻すのはおかしい。すべきでない。これでは、時間ばかりかかって、何時までたっても出来ないといったことまでも口走っていました。いつまでたっても云々というところは当たっていますが、彼は以前の評価委員会では、何が何でも現地建替えを主張していたはず。県のコロナ対策の責任者として多忙な中、寡黙な市長に代わって、市長ブレーンの奮闘が印象的でした。  

課題は病院像でなく老朽化して危険な状況にある市立野洲病院の建替え 

 いずれにしても、病院のあり方の議論は煮詰まりませんでした。市長にその熱意がないから当然のことだし、今更蒸し返すものでもない。それは、市立病院ができるまでの話であって、それができてから2年近くなる。課題は老朽化して危険な状況にある市立野洲病院の建替えです。病院像を描く前に病院そのものがあって、建替えを待っている。ここにも小田原評定ありです。

駅前市有地を押す意見が大半 明確な反対は角野委員と藤村委員 角野委員は執拗に反対 

 立地場所については、医師会の福田委員、滋賀医科大学教授の今井委員はじめ駅前市有地を押す意見が大半でした。医師会を代表しての福田委員の過去の検討で述べられた駅前の多様な利点が繰り返しあげた意見は明快でした。

 一方駅前に対して積極的に反対したのは、上に紹介したように角野委員。市内の委員に対して、今日会議会場までは公共交通でなく、車で来たのではないかと詰め寄り、野洲市では皆車。野洲市民を中心とした病院は駅前でなくてよいとまで言っていた。

 それと、多弁に反して話の筋が不明瞭でしたが、意外にも自治会代表の藤村委員が反対。路線バスを存続させるためには病院を郊外につくる方が良い。郊外のふれあいセンターあたりにもっていかないと定期バス路線が一層削減される。このような理屈と読めました。それと、過去には駅前に決まっていたからまちが2分されていた。今は一体になってよい。だから、決めたらだめ。決めたら、また、まちをた2分するとまでも。

バスの専門家を自認しての藤村委員の長々とした説明を駅前推奨の意見と誤解した人が、委員の中にも傍聴者の中にもいたようです。

山場は年末議会? 福山病院長が厳しいと窮状を訴えた 実質、白旗宣言

 後、気になったことを簡単に書きます。今後の詳しいスケジュールは示されませんでしたが、事務局が、場所選定後に病院の設置条例を改正してという流れを言っていた。駅前市有地を建設場所と定めた条例を改正しようとすると、今の議会構成では通る見込みがない。ということは、正式の場所決定は、藤村委員が触れていた市議会議員選挙後になります。臨時議会を開かないのであれば、山場は年末になります。それまで現病院は持ちこたえられるのか?

 もうひとつは、病院の規模縮小のこと。透析部門を無くすか大幅に縮小する見込みであること。

 最後に深刻な話が。福山病院長が、(施設も医療)機械も古い。スタッフが辞めていく。厳しいと窮状を訴えていました。実質、白旗宣言です。

 これに対して、医科大学長の上本委員長が非常勤でやっていくしかないと、突き放したと受け取られる答えをしていました。学長にしてみれば当然の言葉です。駅前計画が動いていた時には大学とは常勤前提であったのに、ついに、やはりここまで来てしまっているのかと改めて実感しました。

 委員長は最後に、後は議会特別委員会で議論していただくと閉めた。これは本来市長が言う言葉です。いずれにしても、市議会は、何のお墨付きもないものをどう審議出来るのか心配になります。それと病院がいつまで持ちこたえられるかも。