「新たな方策として小規模保育事業」 

 先日、市議会特別委員会開催の情報を市ホームページで探っていました。すると、『新着情報』のコーナーの冒頭に『2021年5月6日 第二期野洲市子ども・子育て支援事業計画の一部見直しについて』と題するお知らせが。

 その内容をかいつまんで書くと次のとおりです。法定計画である令和6年度までの5か年計画「第二期野洲市子ども・子育て支援事業計画」を見直した。待機児童が一定数生じている現状と今後の推計を踏まえて当初の計画内容に新たな方策として小規模保育事業を盛り込んで解消を図ることにした。

 このことについては以前、市ホームページで年度末に開催された会議の資料のなかで偶然このことを見つけたときに簡単に懸念を書きました。

なぜ年度末に急に制度変更が行われ、5月6日になってから『新着情報』となったのか

 小規模保育事業は制度としては位置付けられており、小規模できめ細やかな保育ができる利点があるとはされています。ただし、この制度は2015年に今の法制度になたっときに待機児童対策として、ある意味苦肉の策として導入されたもの。上述のとおり、市の説明も待機児童と絡めて書いています。

 そして「新たな方策」としてと書いてあるとおり、これまで野洲市ではこの制度は導入していませんでした。平成23年3月策定の「野洲市幼保一元化方針および幼稚園・保育所施設整備計画」に基づき、民間の認可保育園を支援する一方、老朽化と耐震化のできていなかった公立保育園を市立こども園として保育の確保と待機児童対策が進められてきた。

 施設の整備計画での見込み以上のニーズ増と急に進められた無償化の影響もあり待機児童は確かに増えています。そこで、『第二期野洲市子ども・子育て支援事業計画』では老朽化した野洲第3保育園と野洲幼稚園を、それぞれこども園として移転新築することになっている。

 小規模保育事業が制度一概に否定されるものではありません。しかし、どのような経緯で年度末に急に制度変更が行われたのか、またなぜ5月6日になってから『新着情報』としてのお知らせになるのか、わかりにくいところがあります。

市の保育サービスの在り方の議論必要 新病院整備の見通したたないしわ寄せか?

 この計画見直しを審議する保護者代表なども入った『子育て支援会議』ではどのような議論が行われたのか。今日、市のホームページの該当箇所を見ると以前にはなかった3月22日の会議録が掲載されていました。記録で見るかぎりでは委員から事務局に対する通り一遍の質問しかされていませんでした。

 それでは市議会ではどのような議論が行われたのか。これについては議論が行われたどうかも含め一切わかりません。

 小規模保育事業の導入を市として「新たな方策」として導入するのであれば、上述の2つの園の移転新築のことも含めて、市の保育サービスの今後の在り方についての議論が必要です。

 あとは、推測ですが、新病院整備の見通しもたたない、また中期財政見通しに折り込まれていた都市計画税もいきなり止めるといったことのしわ寄せのひとつがここに出てきているのではないかと心配です。