予算案など委員会否決でいわゆる市長派議員擁立至上命題化 

 今年秋の市議会議員選挙が半年後に近づいてきました。いうまでもなく選挙戦に向けての活動はそれ以前からはじまっています。現職、新人それぞれの政策と思いをもっての立候補ですが、それだけでは事は運ばない。

 いわゆる市長派の議員擁立の動きが早い段階から進んでいることは以前書きました。先の市議会で予算案などが委員会で否決され、本会議でも予断を許さない状況までいったことから、市長や支援者にとっては賛同する議員を増やすことは至上命題となっています。市長に反対というよりは、市民病院整備をはじめとして市長の掲げる公約や独断密室型の政策手法に賛同できない議員に対しては、すでにそれぞれ対立候補が準備されている。あるいはその情報をもって,現職議員の転向を促す。このような両面作戦です。

効果抜群であること実証済みの病院現地建替え公約は使えない 柳の下に2匹目のドジョウはいそうにない 

 先の市長選挙の結果起こっている今の市民病院問題の混乱。この経験から、選挙の大切さへの認識が以前より市民の間で高まっているようです。これから半年、この流れがより高まっていくのか、それとも冷めて白けていくのか。

 市民の関心と判断材料としては、まずは今後の新型コロナウイルスの感染状況とその対策の動向があります。また、子育て支援、教育、高齢者対策、基盤整備などの市民生活にとって密接な課題に対する政策。ただし、これらの課題は重要であても、充実しますとか、促進しますとかといった抽象的な表明でも通りそうです。

 そのなかで、そうはいかない厄介なのが新病院整備。1年前であったら、駅前での120億円の整備を止めて、現地で運営しながら半額で建て替えますという公約が有効な切り札として使えました。魅力的で効果抜群であることは実証済みです。しかし、この札(カード)はすでに市長が切ってしまっていて、使えません。柳の下に2匹目のドジョウはいそうにありません。

 使えるのは、かろうじて残っていて、市民も期待している病院半額建替えと抽象的ではありますが「民の知恵と力」というモットー。

注目は立候補予定者の病院についての主張 市長が立地決定していなければ厄介なことに

 そこで、市民に共通で関心となるのは、立候補予定者が市民病院整備についてどのような主張をするかです。駅前新病院は市長のこれまでの方針からすると実現性は低いですが、それを引き続き堅持する立候補者予定者は市民に分かりやすいし、本人も悩まなくて済む。駅前病院を定めた2つの条例と法定計画という支えの杖も残っています。

 問題となるのは、そうでない予定者の場合です。これに関してはまったくもって予測が困難。なぜなら、市長の仕事の運び具合が絡んでくるからです。

 たとえば、病院立地の3候補地から1カ所に決まっていて、その決定を市民と議会が納得していれば、年度末の構想見直しに期待を表明すればよいだけ。ところが、そうでない場合は場所選定の混乱に巻き込まれる恐れが出てきます。さらには、もっと厄介なことが。もし、選挙の時点で立地場所が選定できていないのであれば、年度内に基本構想・基本計画の見直し、令和7年度に竣工、新病院開院という市長「公約」が早くも破綻することが明らかになるからです。

 まさか、駅前病院反対だけを訴えて市長を支えるために立候補するというわけにはいかない。いわゆる市長派の立候補者予定者にとってはある時期までに市長が立地決定していることが重要な要件になると思われます。いずれにしても、いわゆる市長派立候補者予定者の主張には注目です。もちろん、このようなことに煩わされなくて立候補すれば当選確実な人もいるとは思います。