アクセルとブレーキの踏み間違いのうえに、まだ、「近く」宣言を要請の段階?

 まん延防止等重点措置が適用された後も感染拡大が止まりません。何度も書いてきたように、緊急事態宣言でも、もともと完ぺきな対策ではない。加えて、「第4波」では感染力が強い変異ウイルスが優勢であるなかで、逆に「宣言」より低位で中途半端な「重点措置」を適用。ありきたりな例えですが、アクセルとブレーキの踏み間違い。

 大阪府の吉村知事が、さらなる感染拡大を食い止めるため、国に対し近く緊急事態宣言の発出を要請する考えを示したことが今日午後報道されています。先にブログで「重点措置」適用に疑問を呈した頃からですから、1週間近く同じことを言っています。兵庫県は大阪府に同調すると言いはじめ、京都府は「重点措置」適用が遅かったからと、まだ様子見。バラバラです。

颯爽と頼もしく、好評だった自治体・知事たちの失速によって心理的にも厳しさ増す 

 約1年前、国の新型コロナウイルスの感染対策が緩慢であったりもたついていた頃、知事たちの事態を先取りた大胆な対策とマスコミでのコメントが颯爽と頼もしく、好評でした。行動と説明責任というリーダーシップを絵に描いたように体現していました。市民・国民は生活や事業の厳しさのなかでもそこに何とか光明(トーチ)を求めようとしていました。国の対策が1年余の経験を重ねて効果性が上がってきているならまだしも、そうでないなかでの自治体・知事たちの失速は現場においてはもちろん市民・国民の心理においても厳しさが増します。

デジタル改革とリモート・オフィス推奨のなかでは、舞台裏が見えるようで心配 

 今朝ラジオのニュースを流し聞きしていたら、菅首相が米国訪問から帰国後そのまま首相公邸に入って、厚生労働省の事務次官など幹部から新型コロナの感染状況について報告を受けた旨の報道がありました。コロナ対策の責任者である首相は感染が拡大するなかでの訪米中において、どのようにして核心情報を得、指示を出すのか。当然今の時代リアルタイムで体制が整っているものと思っていました。

 些細なことに目くじらを立てるつもりも、非難するつもりもありませんが、オヤッと心配になりした。一昔前なら、帰国直後職場に駆けつけて不在の間の報告を受ける。しかし、デジタル改革、ましてや新型コロナウイルスの感染防止対策でリモート・オフィスを推奨しているなかでは、舞台裏の実態が見えるようで心配になります。

ワクチン供給の朗報も何かちぐはぐ 行政の「習性」に起因するか? 電話は日本からでも

 不安と不安で自治体において大混乱となっているワクチン接種への朗報となるのか?首相が米製薬大手ファイザー社の最高経営責任者(CEO)と電話会談を行い、国内の全対象者に必要な量のコロナウイルスワクチンが9月までに供給されるメドが立ったと明言したとの報道。なお、このような重要な交渉もリモートでできている。その意味では、何もアメリカで電話する必要はなく、日本からでもできる。何かちぐはぐです。

 また、ワクチンの供給交渉も、契約、あるいは確約ではなく、「協議を迅速に進めたいとの話があった」(読売新聞オンライン2021年4月19日)と報道されている。供給の目途が立った旨の報道見出しとには温度差があり心配です。

 このような状況になっているのは、おそらく首相の問題ではなく、以前書いた行政の「習性」に起因するものと思います。

1年前既に生活や事業は厳しかった 現況の改善と心理的にも光明(トーチ)を掲げることが政治の務め

 現在、新型コロナの感染では、感染者の増加と医療のひっ迫、「宣言」の発令時期、そしてワクチン接種と供給に報道上の関心が集まっています。しかし、1年前既に生活や事業の厳しさのなかに置かれていた市民・国民が多くいました。見通しのきいた堅実な政策展開によって現況の改善はもとより、心理的にも光明(トーチ)を掲げることが政治の務めだと思います。