看板公約半年で挫折 3候補地あるからと安心は禁物 病院不要で財政破綻覚悟ならそれもあり

栢木市長は病院現地半額半額建替えを看板公約に掲げ、半年で挫折。3月16日の市議会特別委員会で公式に表明しましました。

しかし、市民のなかには、現地建て替えがだめとなっても、次の場所として3候補地が上がっている。今後調査、検討して、2025(令和7)年度に開院すると議会の場で言っているので何とかなるだろうと、それを信用して安心している人もいるかもしれません。

もし、市内に病院は要らない。また、新病院ができなくて老朽化した病院がお荷物になって野洲市の財政が破綻し、子育て支援、教育、高齢者サービスなど、さらには道路など基盤整備が削減されてもかまわないということなら、それもありです。しかし、そうでないなら、今きちっと監視し、早く方向を改める必要があります。それほどの余裕はないと思われます。急速に病状が悪化する病気と同じです。

行政や自治体財政分野の専門家なしの『大人の報告書』

先の現地半額建替え検討の中には、行政や自治体財政分野の専門家は入っていませんでした。

だから、昨日の次のような報道が出て来ることになります。“委員会の関係者は「実質的には『医療を継続しながらの現地建て替えは無理だ』と言っている。市長の面目が丸潰れにならないよう、うまくまとめた『大人の報告書』だ」と感想をもらした。”(3月17日毎日新聞)

3候補地選定は実質的に市民病院をつくらないというメッセージ 正直に言わないと市が危険

昨日も書いた通り、市長があげた3候補地はいずれも病院建設地としては時間をかけて調査するまでもなく、可能性は低い、いや可能性はない。市の担当者に聞けばすぐわかること。担当者が答えなければ、市が持っている資料を確認すればわかることです。

3候補地がだめということであれば、次が全くないことになります。今回の3候補地選定は実質的に市民病院をつくらないというメッセージと同じです。栢木市長は、正直に、現地半額がだめなので新病院の整備は行いません。そう宣言した方が市民に親切だし、誠実です。その方が市及び市民にとってまだしも傷が浅い。

 

2017年住民投票の選択は病院をつくるか、つくらないか 市長を支える流れは病院は要らない人たち

2017(平成29)年11月に駅前市立病院の建設計画の是非を問う住民投票がありました。市議会議員選挙が控えていて民意が確認できるにもかかわらず、病院反対であった立入三千男議員などが主導して議決され実施されました。結果的に実施は選挙後になり、選挙の結果は駅前病院賛成の議員が安定過半数を占めることになりました。そして、住民投票の方は、条例で定める投票率50%を上回らなかったため、開票されずに不成立となりました。当時の新聞には、この直前の選挙結果によって「市議会は推進派が多数を占め、駅前で病院建設が進む見通し。」とあります。市長口癖の「10年もやっていて杭1本もない。」ではなく、この選挙結果によって駅前病院が出発しました。

それはそうとして、病院反対の議員の提案で行われた住民投票で問われたのは、駅前に病院をつくるか、つくらないか。そして、住民投票を提案した立入議員や住民投票直前の選挙で立候補を取りやめたり、落選したりした元議員は、病院反対であり、栢木市長の最大の支援者です。

このように見てくると、栢木市長を支える流れは、昨日書いた2015年の市議会と市自治連合会との意見交換会で自治会長たちに詰め寄られて、「病院は必要だけれど」と言い出した人たちです。根底には、市内の病院は要らないという考えがあります。昨年秋の選挙では、市税負担はその約4分の1であるにもかかわらず、120億円という総事業費を持ち出す。そして、その半額で建て替え、残額は子育て支援などに回すという甘い公約を掲げて多くの市民の支援を得ました。

半額建替えできない 新病院も厳しい 子育て支援に回すお金も出てこない それ以上に悪い結果が

市民の選択の結果はとやかく言っても始まらない。しかし、半額建替えはできないことは明らかになった。いやそれどころか新病院も厳しい。当然、子育て支援などに回すというお金も出てきません。それ以上に悪い結果が待ち構えています。

このままいけば、市立病院がお荷物になる そのレールに乗っていることだけは確か

待ち構えている悪い結果とは施設と装備が極端に老朽化した市立病院を持っていることによります。これ以上説明するまでもなく、施設はもとより、職員の質と体制が整った病院であれば、当然市民に良質で安心できる医療を身近で提供してくれるという大きな受益があります。しかし、施設と装備が機能しなければ、幾ら極職員の質と体制が整っていても、病院は機能しません。これまでは、新病院への期待と展望により職員の質と体制が保持されてきました。しかし、ここに来て展望がないこととなれば、職員の質と体制が保持は困難となります。そのうえ、病院を運営する限りは、老朽化施設への応急の修繕で結果的には湯水のようにお金が必要となり、市財政を危機に陥れます。

言葉を変えれば、このままいけば、市立病院がお荷物になる。この深刻な事態がいつ来るかまでは、予測できません。しかし、そのレールに乗っていることだけは確かだと思います。