具体化していく案が存在しないなかでの「議論」 雲か霞か? 病院反対派の海を泳ぐ

市議会の病院整備特別委員会から1日経ちました。傍聴した市民、また新聞やテレビ報道で市長の方針や会議の内容に接した市民、それぞれ思いは様々だと思います。昨日のブログで、駅前市民病院の経緯を掲げておきました。そこでは病院をつくるとの政策決定、また計画や設計の段階でも長年賛否の議論はありました。しかし、そこには、調査、構想、計画、設計という段階を追って具体化し、成長していく案がありました。収支の試算もその都度公開していました。

収支の試算に関しては、労務単価や資材価格などの上昇により想定事業費が変わると当然変わってくる。それを公表すると、「コロコロ変わる」とか「信頼性がない」などと批判、反対の材料になりました。

ところが、昨年11月から昨日までの議論、あれを議論と言えるかどうかは別にして、そこには具体化していく案が存在しない。壊すことだけで創造の動きが全くない。雲か霞をつかむようなことの継続です。

病院は必要と口先では言いながら、市長の病院をつくろうという本気度が見えない。昨日書いた2015年12月に自治連合会によって詰め寄られて、表向き変身した、市内に病院は要らない派の海をいまだ泳いでいるようです。

駅前計画120億円贅沢と言っているが、現地建替え認識と同様に認識が甘いのでは?

駅前計画120億円贅沢と言っているが、現地建替え認識と同様認識が甘いのでは?

昨日たまたま、公立病院の事例をネットで検索していると、過去の例ですが、和歌山県那智勝浦町の新病院建設事業についての2014年10月の記事がありました。2013年4月の基本計画に比べ、労務単価や資材価格などで想定事業費が大幅に上昇の見込みなので実施設計を見直す。延床面積を約3千平米縮小して1万676平米に見直すといった内容。規模は野洲市の病院の方が大きいようですが、よく似た時期の例です。駅前の病院整備費は250台の立体駐車場を入れて85億円。建設にかかる市場価格は那智勝浦町の時よりもまだ上がってきています。栢木市長は、120億円、120億円、贅沢、身の丈に合っていないと繰り返していますが、既存の計画を精査して評価したのか。いつまでも「いち市民」ではありません。現地建替えの認識が甘かったなら、既存計画についての認識も甘い恐れが多分にあります。

参考に、市で公開されている資料をあげておきます。工事費を85億円に見直した際のものです。字が小さいのでコピーが不鮮明になりますが、ネットが使える方は直接確認ください。

第8回野洲市民病院整備運営評価委員会(令和2年8月25日開催)/野洲市ホームページ (yasu.lg.jp)

駅前商業開発も半世紀間、浮かんでは泡のごとく消える繰り返し その間実質空き地

駅前の商業開発も以前書いたように、半世紀近くの間、浮かんできては泡のごとく消えることを繰り返してきた、幻想です。かつての土地所有者であった大手酒造・飲料メーカーが自社で商業開発するというので、旧町時代、町有地と土地交換や道路や下水道などのインフラ整備の便宜を図った。しかし、約1億2千万円の土地保有税回避のための公衆浴場が定期借家として一時期あっただけ。ほとんどの間空き地でした。だから、土地所有者が開発をあきらめて、市に購入の打診があったとき、市民と議会の議論の結果、市民のために使おうということで、購入に至ったもの。昨日の答えでは、市長がどこかと直接やり取りしているようなことを言った後で、職員から渡されたメモで、サウンディングとかと訂正していましたが、駅前の商業開発を本格的に目指すなら、よほどの仕組みが必要。病院現地建替えで、仮設建築の必要性が読めていなかったなどと言っている甘さでは、市民は安心して託せるのか心配です。

見込み少ない3候補地案の次がない

昨日示された3候補地案についても、体育館については以前書いたとおりで、調査する以前に見込みがない。別途、体育館の駐車場用地を買うぐらいなら、直接病院用地を買いに行った方が早い。そのうえ、温水プール解体時に判明したように、かつて沼地であったため、地盤軟弱で土壌改良に多額の費用が必要。

駅前については、一団の土地とはいえ、面積が足りないし、駅前商業開発と矛盾する。今朝の新聞の「私一人で決めていたら候補地に含めない可能性もあったかもしれないが、庁内で議論した中で提案した」(毎日新聞)などと言っているようでは、可能性は低い。残る候補地も、いうまでもなく地盤軟弱地です。

この3候補地から病院予定地を絞ると言っているが、一方、とりあえず一団のまとまった市有地を上げただけとも。したがって、この3候補地がこけた場合次がない。

滋賀県の保健医療の最高責任者である角野理事がなぜ寡黙になったのか

このようにみてくると、市長は病院を本気でつくる気がないと、残念ながら言わざるを得ない。

そしてここに来てもう一つ解せないことがあります。1月 14 日の『野洲市民病院整備運営評価委員会』で、「県は、野洲病院を『しっかり維持する。』『市民を守る。』ため、元々残すスタンスであった。」、「現地建替えが出来る・出来ないではなく、『どうすれば現敷地で建替えが出来るのか。』というスタンスで議論を進めて、どうしても越えられないハードルがあるなら、『現地建替えは難しい』と判断すべきでは。」と言い切った滋賀県の保健医療の最高責任者である角野理事。なお、ここでは民間野洲病院のことを言っていると思われます。そして、少なくとも5年以上前から市長の選挙指南も含めて助言者であり支援者であった角野理事。市長は現地半額建替えも理事に相談しているはずです。だから現地半額建替え公約は、「いち市民」の「私案」ではない。相談する近い関係でなければ、今回検討会の委員になって、力強い発言をするはずがない。その滋賀県の医療政策を代表する理事が、急に寡黙になったことが不可解です。市長は後ろ盾を失ったのか?

私たち市民は厳しい状況を冷静に確認して、これから前向きの対応を

私たち市民は以上のような厳しい状況を冷静に確認して、これから前向きの対応をしていく必要があります。

ところで、秋の市議会議員選挙を目指して、市長支援の議員を増やそうと着々と準備が進められているよう。そのため支援者を含めて政党に入会する動きも進んでいるようです。

しかし、昨日の委員会後の臨時会見の報道にあるように、「十月に市議選を控えており、立地場所の選定時期も明言を避けた。」(中日新聞)という状況では、立候補予定者は何を訴えて戦うのかと心配です。