市議用タブレット購入費約550万円を「市民生活優先」に使う趣旨の決議可決

今朝の新聞の滋賀県版(朝日新聞)を開くと、『野洲市議会「市民生活優先を」付帯決議』という大きな見出し記事が目に飛び込んできました。

内容は、市長が提案した今年度の補正予算案に関わるもの。そのなかに、市議会議員18人全員と事務局職員5人分、計23人分のタブレット端末の購入費約550万円が計上されている。財源は国からの新型コロナウイルス対策の交付金を充てることになっている。この予算案に対して、一部の議員からコロナ対策の目的に沿わない不適切なものではないかとの批判が出た。その結果、市民生活に直結する事業を優先するよう求める付帯決議を可決した、というもの。

「市民生活優先を」は「真っ当過ぎる」提案であり決議である

2月25日に開会した市議会定例会は3月3日まで休会。3月4日から本格的に本会議で質疑・質問が始まるので、ネット中継で傍聴しようとスマートフォンを開いたら、いきなり議事進行が止まり、しばらく中断していたのでよく覚えています。

記事のとおり、市民生活を優先して予算を使うという決議は賛成9人、反対8人の賛成多数で可決されました。もとの財源が国からの交付金であっても、国の財源のもとは市民の税金ですから、市の予算が市民生活を優先で使われることは論を待ちません。その意味では「真っ当過ぎる」決議です。

「過ぎたるは及ばざるが如し」 決議に反してタブレット購入予算案は賛成多数で可決!? 

ところがです。これまた、記事に書いてあるとおり、「ただ、補正予算案は可決され、タブレット端末を購入することが決まった。」という結末になっています。「過ぎたるは及ばざるが如し」という『論語』から来た格言があります。この格言が思い浮かびます。予算案の賛否の状況まではネット中継ではわかりませんでしたが、「真っ当過ぎる」決議が賛成多数で可決された。その直後に、決議の結果を無視かの如く、議員用タブレット端末購入費を盛り込んだ予算案が同じ議会で賛成多数ですんなりと可決されました。

 

これはいったい何? 決議無視してタブレットを買う 結果出さないパフォーマンス 市政への信頼失わす

以上の状況を当日ネット中継で傍聴していて、これはいったい何だと呆気にとられました。本来の筋から行けば、予算案を否決しないまでも、ブレット端末購入費を市民生活支援の事業費に組替える議案を議員が提案して、それを可決すべきです。決議だけしておいて、結果は別。タブレットを買って市民生活を優先しない。

決議案を提案した議員は、「『タブレット端末がなくても議員個々の行動様式の再認識で感染リスクを低減できる。交付金を充てることは市民感覚から大きくずれている』と訴えた。」と記事は伝えています。

ここまで言うのであれば、タブレット端末購入を見送って、市民生活優先の予算に組換えないと結果が出ません。こういうことであれば、一層のこと、決議の提案と可決をしない方がまし。これでは、口先だけ、いわゆるパフォーマンスで終わってしまうことになり、議会への信頼を失わせます。せっかく議事進行を止めてまで、「市民生活優先を」提案し、可決したのであれば、結果を出してほしかった。

先には、駅前市民病院の設計完了を求める議会決議を市長が無視する。今回は、議会が自ら提案して可決した決議を無視する。これでは、市政そのものへの信頼も失われます。