厳しい「声」で批判が上がっているが

 デジタル庁の創設にかかるデジタル改革関連5法案の関係資料に45カ所の誤りがあった。さらに、その正誤表でも3カ所の誤りがあったことが騒ぎになっています。平井卓也デジタル改革担当大臣が衆院本会議で陳謝。

これに対し、「断じて許されない。」、「チェック体制はどうなっているのか。」「あり得ないミスだ。」などと与野党双方から厳しい「声」で批判が上がっています。

加藤官房長官は記者会見で、「再発防止に向けて『業務の在り方、人員面の強化を含めたチェック体制充実の検討がなされている』と釈明した。」と報道されています。

非難だけでは生産的でない 原因をきちっと抑え、公表・共有化し、再発防止策を

国会提出の法案関係資料の誤り、ましてや政権の看板政策実現のための法案にかかわる資料とあっては、厳しい「声」にならざるを得ない。誤りは要綱で9カ所、新旧対照条文で8カ所、参照条文で28カ所など。法案本体の誤りではないとしても、誤りは好ましくない。

しかし、官僚も人である限り誤りを犯します。総務省や農水省では幹部が利害関係者と接待関係を持つという誤りが発覚して、その実態の解明途上です。今回の誤りは、主に資料作成にかかわるもの。いわゆる事務的なミスです。ミスは大小にかかわらず、一般論として、あってはなりません。しかし、起こってしまった後では、非難するだけでは生産的ではない。いうまでもなく大事なことは、原因をきちっと抑えて、公表・共有化し、再発防止策を講じること。

無理を強いているのではないか 事務部門も製造や工事現場と同じ 無理があれば事故が起こる

今回の誤りが生じた原因は報告されていません。しかし、加藤官房長官の記者会見での釈明からすると事態は意外に深刻。業務の在り方、人員面の強化、チェック体制充実と、今更こんなことがと思うほど、多くの課題が並んでいます。これでは、作業手順もあらかじめきちっと決めず、必要な職員数も読めていなかったと言っていることになります。

それよりも、事態を別の大局的な面から見た方が早いかもしれません。要するに、無理がありすぎるのではないか。もちろん官房長官があげているように、人的やチェック体制においてもだと思いますが、仮にそれが整っていたとしても起こり得るものであるかもいれません。推測の域を出ませんが、経験から見ると、時間が足りないこと。それと、どこかからの注文が多いことが無理を強いているのではないか。

一般的に公共機関の事務部門では業務に無理が聞くと勘違いされています。しかし、製造や工事現場とまったく同じことです。体制と工程と安全管理が整っていないと事故が起こります。ただ、けがや人命にかかわる場合が稀なので甘く見られがちになっています。