20年余り前の大蔵省接待汚職事件と似てはいるが、しかし

 総務省の幹部職員が菅首相の長男から接待を受けていた問題は、今日の衆院予算委員会の集中審議等で接待の実態は少し明らかになりました。

 この種の事件はバレないように特定の職員に絞って饗応し、便宜を図ってもらうのが一般的。それが関係職員も多く回数も相当ある。なかには、「飲食単価」が7万数千円という感覚を疑うようなものも。このような点では、昨日例にあげた国家公務員倫理法制定のきっかけとなった20年余り前の大蔵省接待汚職事件と似たところがあります。そういう意味で他党の党首が「20~30年、時代が戻っている」というのもわからないわけではない。しかし、その認識だけでは改善に向かわない。

明らかになったのは接待を受けた職員とか金額の概要のみ 動機などは不明

 今日明らかになったのは接待を受けた職員や金額の概要のみ。懇親の場の話の内容、場が持たれた動機などは明らかにされていません。したがって、「20~30年、時代が戻っ」た事象なのかどうかは判断できない。また、関係しているのが放送や通信にを所管している旧郵政省の流れの職員であるので、その組織風土・体質に帰する議論もあります。これも間違っていないとしてもそれだけで、ことが終わるわけでもない。

いつの時代にもどこでも起こり得るという前提での対応が建設的 身近な自治体でも これも危機管理

 このような事件は、今の時代にはあってはならない過去の時代のことだといった決めつけ批判をするのでなく、いつの時代にもどこでも起こり得るという前提で対応する方が建設的です。公務員が利害関係者から接待を受けることは論を待たずに悪いこと。それとともに今回の問題は公務員が公共の利益のために働いていないこと。

 問題解決のためには、徹底的に客観的で透明性を保った事実解明を進め、そしてそれを制度化することが必要。そうしないと、政治と行政への信頼が保てないとともに、貴重な公共財としての公務員の人的資源が市民・国民のために活かされないことになります。大きな損失です。

 事態をこのまま放置したり中途半端な処理をすれば病状は悪化します。それを防ぐためには、政府は野党の質問攻めや報道に迫られて渋々情報を小出しにするのではなく、自らの問題として率先して解明に取り組むことが求められます。これも危機管理のひとつです。

 いつの時代にもどこでも起こり得るといったように、問題は中央政府に限ったことではありません。身近な自治体でも起こりうる、あるいは起こっているかもしれないとの前提でのチェックと仕組みづくりが必要です。