病院の方針も決めないで予算案 後先が逆 

 連日県内自治体の新年度予算案の概要が順次報道されています。今朝の新聞には野洲市の案が紹介されていました。

 そのなかに新病院の整備に向けた基本構想と基本計画修正のための委託料1千2百万円計上と。

 この予算案を議会は審議できるのか。通常の制度と手続きであれば審議できません。病院の方針も決めないで予算をと、ニワトリがいないのに卵を求めるようなもの。後先が逆だからです。どうなるのか、いきなり波乱含みです。

予算案提案時には修正でよいのかそうでないのか不明    

 その理由は次のとおりです。

 今年初めての市議会本会議となる第1回定例会は2月25日に開会。この日に新年度予算案を含め議案が市長によって提出されます。しかし、病院の検討会は3月1日に開かれることになっていて、その日は検討会としての「中間まとめ」。市の判断はまだ明らかにされない。明らかになるのは、3月16日(火)午後1時30分から開催の「野洲市民病院整備事業特別委員会」においてになります。予算案提案時には修正レベルのものでよいのかそうでないのか不明。つまり、基本構想と基本計画の修正が、現地建て替えを前提にしているのかそうでないのか不明のままの予算案提案となってしまいます。

現地半額建替えなら構想・計画の修正でなく、新規事業予算計上必要

 修正となると、それは駅前市民病院計画の構想と基本計画を前提にして、その修正としか考えられない。今非公開で進められている検討の結果、もし現地半額建替えが可能となり、それを実施するのであれば、基本構想や基本計画の修正では済まないはず。公約では駅前計画と同じものを半額でということであったので規模は同様かもしれない。しかし、場所も物も状況も大きく異なり、新規事業として予算計上するのが通常。なぜ修正とするのか理解できません。

現地半額建替え不可の場合も修正でなく、新規事業予算 とりあえずの予算案を審議? 

 他方、現地半額建替えが不可能となった場合は、選択肢は元の駅前計画に「戻る」か第3の場所に建てるかのいずれか。駅前計画に「戻る」のであれば、修正はいらない。実施設計段階まで行っているのだから、解約した契約を新たに結び直して完成させればよい。

 もう一つの場合の第3の場所の場合は、これこそ当然修正でなく新規になります。いずれにしても、構想や計画を新規に検討しようとすればそれだけに2,3年かかります。

 このようにみてくると、この予算案はどのような筋なり方針が根底にあるのかまったく見えてきません。万一構想と計画の修正で済むのであれば、その構想と計画に基づく実施設計も中途解約しないで完了してから修正すればよい。大いに矛盾しています。「病院は必要」と公約した手前のとりあえずの予算案でしかありません。

病院の民間委託方針堅持なら 予算案以前の開かれた議論が必要 

 もう一つの問題が。昨日書いた「運営は指定管理者制度等を活用して民間委託も考える必要がある。」という、「民の知恵と力」という市長方針との関係。市民にとってはもちろん議会としても、この方針があるのかないのか、変えるのか変えないのかの基本のところを確認しない限り、審議を進める、採決を行うことはできない。なぜなら、過去の病院整備検討のなかで、構想検討以前の可能性検討の段階において指定管理者制度の活用は議論の上採用しないことになっているから。

目標は市民の医療の確保 現状と限界を直視し実現策を無理なく進ては?

 このように見てくると、議案の提案時期と内容の両面から見て、扱いが困難な難物になってきます。そのうえ、実施契約の解除に要する費用などが今年度補正予算でどう計上されてくるのかも絡んでくるので困難度は極限に。

 しかし、冷静に考えれば、なぜこのような苦しい道に入り込んでいるのか。今日の新聞報道では、子どもの医療費無料化や水道基本料金免除も公約通りにいかないとのこと。病院事業のそもそもの目標は、市が多大な支援をしてきた民間病院が立ちいかなくなったなかで市民の医療を確保すること。現状と限界を直視してそのための実現策を無理なく進める方が市民のためになります。