野洲市病院検討の緊迫度が落ち議論が非公開 市民の心配が増す

 昨日母親の診察に妻と一緒に付き添って市立野洲病院に行きました。何人かの知人に出会いました。その中の一人に、入院して手術を受ける予定だと以前聞いていた人も。元気そうだったので経過を尋ねると、手術はうまくいって順調とのこと。嬉しそうな様子にこちらもいい気分になりました。ただ、もうひとこと返ってきた言葉が、数日間の入院だったが、施設の老朽化が思っていた以上に酷いということでした。

 野洲市では市長の公約に基づいて、現地半額建替えの検討が非公開で進められています。3棟あるうちの比較的新しい1棟だけ残して後は解体建て替えという案です。それも病院を通常運営しながら。

 数日間の入院でも老朽化の酷さがわかる状態であることを共通認識にして、市の検討が進められるべきです。なぜなら、元の公約は現地半額建替えをする、であったものが、今はその可能性を検討するという課題設定になっているから。緊迫度が落ちていることが心配です。おまけに検討が非公開であり、市民には検討の進捗度が見えないため余計に心配が増します。

コロナウ対策で医療機関不足 公立病院等再編の方向は 駅前病院反対の動きもこの動向に掉さしていた

 市立野洲病院は一昨年の7月に新しく開院した公立病院です。ただし、駅前の新病院が整備されるまでの間は閉院した民間病院の施設を暫定利用しているので、厳しい施設環境です。

 ところで、今となっては遠い遠い昔の話のように思えます。しかし、今から1年前のこと。公立・公的病院再編の嵐が吹き荒れていました。そして、駅前病院整備や市立野洲病院の開院に反対してきた今の市長を支える動きも、この動向に掉さしていました。

 一昨年の秋、厚生労働省が全国の公立病院や日赤などの公的病院のなかで診療実績が乏しいなどと判断した424病院に統廃合を含めた再編の検討を求めることを決めて、病院名のを公表まで行いました。そして、昨年1月17日「公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等について」を通知して具体的な動きが始まりました。対象となる医療機関数はその後の精査により440程度になる見込みでした。

 しかし、その後の新型コロナウイルス感染症拡大によって取組は保留。いやそれどころか、今は医療機関とスタッフが足りない状況です。

 なお、野洲市立病院はこの対象となる医療機関に入っていませんでした。国のリスト作成時にはまだ開院していなかったからです。

 当面は一刻も早いコロナウイルス感染症の終息が課題であり、そのための医療機能の充実必要です。ワクチン接種も本来は医療機関で行うべきもの。それが、施設が足りないので特例で「市町村が設ける会場」も使わなければ対応できません。しかし、体育館などでの高齢者を含む市民への接種は異例なことで、安全確保と混乱回避のためには大きな負担が予想されます。

 いずれにしても、コロナウイルス感染症終息後、公立病院等のあり方については改めて積極的な検討と対応が必要です。