象でも避けた針の孔への勇敢な挑戦 土壌汚染の想定も

 病院検討会のことをなんとしんどいことをやり始めるのかと第一印象を書きました。その後報道などにも目を通して、あらためて整理すると理由は次のとおりとなります。象でも避けた針の孔への勇敢な挑戦のようなものです。

1. 現地に建てる新病院の機能や規模が不明確なこと。

2. 用地が狭いこと。

3. 老朽化し管や配線がつながっている2棟の建物を順次解体整地する必要があること。

4. 敷地内には土壌汚染が想定されるため調査結果によっては病院の新規立地が法律上認められない恐れもあること。(土壌汚染が想定されることまでは公開情報)

5. 建物の解体、撤去、整地を行う間、病院を平常通り稼働させなければいけないこと。

6. 総事業費を駅前病院の半額とすること。(駅前病院は病院と駐車場棟で85億円)

7. 急がないといけないこと。

1年の間は・・しかし2年3年となれば全く確信は持てない 次の次まで考えを及ぼす 半藤一利『山本五十六』 コロナ対策も同じ

作家で日本の近現代史や戦史研究家でもあった半藤一利さんが亡くなりました。代表作とされる『日本のいちばん長い日』や『ノモンハンの夏』、『昭和史』をはじめ評論、対談、座談など多く著書で私たちの歴史の見方を拓いてくれました。そのなかに『山本五十六』があります。山本五十六は氏が1945年終戦の年東京大空襲で被災して父の生家があった新潟県長岡市疎開して学んだ県立長岡中学校の先輩。「つねづね山本贔屓を自称している。それゆえに」、「一話一話は真剣に取り組んで書いた」と前書きに記しています。

 山本五十六といえば多くの言行録が知られています。そのなかに、良く知られたものとして、総理大臣であった近衛文麿が日米戦争の場合の見込み問うたのに対して山本が「それは是非やれと言われれば初め半年や1年の間は随分暴れてご覧に入れる。然しながら、2年3年となれば全く確信は持てぬ。三国条約が出来たのは致方ないが、かくなりし上は日米戦争を回避する様極極力御努力願ひたい」と答えたと『近衛日記』に記録があるとされています。半藤さんの本では昭和16年9月12日の両者の会見の時のやり取りになっています。

 いろんな解釈がありますが、最終の意思決定者にはその先の見通し、あるいは選択肢が明確でなかったことを表している逸話だと思います。まさに掬すべきです。先の先までの見通しあるいは選択肢を想定し、当事者及び市民と共有することが欠かせません。このことはコロナウイルス対策でも同じです。

その他心配なこと 県の医療行政トップの積極関与 検討が実質全て非公開

 昨日の会議では肝心の市長は駅前でも異存ないような発言だったのに、滋賀県の角野文彦理事が現地建替えを強く主張したことが印象的だったと複数の傍聴者から聞いたと書きました。まさに今日の報道ではその角野理事の発言が引用されていました。加えて、昨日の会議では、もし市の病院が建替えで休業が必要となる場合は県が協力するといったことまで発言したと聞いています。県の医療行政のトップがなぜこれほど拘るのか不可解で異様です。知事からの指示でも出ているのかという憶測も働きかねません。

もうひとつも報道から。専門部会なるものの会議は全て非公開であることです。市にとってこれほど重要で市民の関心も高い会議を全て非公開で開催することはありえないことです。合理的な理由がない限り公開が原則です。何か、誰かに不都合なことがあるのかと勘ぐられます。秘密会での議論なり成果は公に通用しません。再検討を期待します。

最後に素朴な疑問 現地×運営継続×半額の関係不明 検討前に現地の有利性と半額の手法を明らかに

 素朴な疑問です。これまで書いてきた通り、建替え検討の制約要件は大きく見て3つです。現地。運営継続。半額。このなかで半額は別にして現地と運営継続は相反します。

 運営継続は市民からも病院職員からも譲れない要件。普通ならそれを優先して既に更地になっているところに建てる判断がされるものです。それなのになぜ現地にこだわり続けるのか理解できません。

 仮に考えられるとしたら、先に別とした、半額が効いてくるのか?

 しかし、この場合も現地の有利な条件は土地がありその分安くなることぐらいであって、建物が半額になる要因とはなりません。実際この場合でも解体整地費が要りますから安くなるかどうか分かりませんが。

 まずは、現地の有利性、そこに拘る理由が明らかにされること。それと現地であろうとなかろうと客観的に駅前計画と同じ規模の病院が半額で建てられる手法を示す、あるいは設計、施工業者を明らかにする方が話、というより仕事が早いと思います。市民も病院職員も安心できます。

 そもそも公約は、現地運営半額建替えの可能性検討実施でなく、「建替え。」だった筈です。