今日1月14日午後、市民注目の検討会が開催されました。傍聴した人から話を聞き、配布された資料を見せてもらいました。

 なお、一部公開と標題につけたのは、配布資料では「第1回建築専門部会」なるものが同日開かれることになっていますが、傍聴者には案内がなかったようなので、肝心のこちらは非公開のようだったからです。

学長の目標設定 駅前病院計画が「民意」で否定 現地運営半額建替え可能性の検討

 聞いた話と資料から受けた第一印象は、なんとしんどいことをやり始めるのかなというものです。荒海に向けて目的のない航海に乗り出していくようなものです。

 この第一印象の絵解きから入ります。会議の冒頭部分で委員長の滋賀医科大学の上本伸二学長が会議の目的を次のような旨で確認したそうです。駅前の市民病院計画が「民意」によって否定された。したがって、現地で運営しながらの半額建て替えが可能かどうかを検討する。

 かみ砕いて言えばこうなります。現地には昭和50年代から3期に分けて建築された病院建物が所狭しと建ってい。市有の空地はほとんどない。駐車場は民地の借地。そのなかで古い方の2棟を時期をずらして順次解体建て替えをして、市の案では、残る館につなげて新しく7階建ての新病院を建てる工事の間病院は通常通り運営する。事業費は駅前計画の半額。このことが可能かどうかの検討をこれから進めるというものです。これらのことは今日配布の資料にも記載されています。

なんとしんどいことをやり始めるのかが第一印象 病院の機能、規模不明確で制約だけが多い 

 あまりにもというより気が遠くなるほど制約要件が多いしんどい検討作業です。そのうえ、少し考えてみれば、この検討には目的がありません。

 本来目的は老朽化して危険な病院施設を一刻も早く更新して医療を継続することです。それなのに、制約だらけのなかで病院が整備できるかどうかを検討する。回り道です。いや回り道どころか、どのような機能、規模の病院を前提にするのかも明確に設定されていません。まさか実施設計の最終段階にある駅前病院がそのまま建つかどうかということではないと思いますが。それとも資料にあった7階建ての建物なのか。いずれにしろ科学者である滋賀医科大学学長にとってこの科学的・論理的でない検討は気の毒ではないかと心配します。いわゆる仮説のない検討、一時流行ったポエジーなみです。

疑問等順不同に列記 県コロナ対策責任者が出席し積極的発言 県立病院としての整備も?

 聞いた話と資料から見える疑問と問題点をとりあえず順不同に列記してみます。

1.「検討の流れ」では3月中旬に「市長の整備方針表明」となっています。矢印ではつながっているように見えます。しかし、今仮説に基づく何の方針もなく、肝心の建築専門部会はあと1回しか開かれないのに方針が表明できるのか。

2.上記に関連して、3月の方針表明以降の日程なり選択肢が全く白紙であることが不安をあおる。また、来年度予算のことが触れられていないし、委員も質問していない。

3.建築専門部会の所掌事項は現地建替えの技術的検証となっていますが、専門コンサルタントなどの支援なしにあと一回の会議で精度の高い成果が出せるのか。

4.「整備方針の転換(市長選挙)」という資料があります。これは改めて公約を掲げたものと思いますが、公約は現地に半額で建替えるであったはず。

5.会議で市長は駅前でもかまわないように発言した。むしろ現地半額建替えを強く主張したのは滋賀県の角野文彦理事だった。このことが印象的だったと複数の人から聞きました。

6.今日14日は新たに新型コロナウイルスに49人が感染。専用病床の占有率83.5%、重症者も1人増えて15人と医療がひっ迫し、知事が緊急事態宣言の要請検討もと発表しています。そのような状況下で県のコロナウイルス対策の責任者が出席し、市長の駅前発言を打ち消すがごとく積極的に発言していることも不思議な光景です。

7.角野理事に加えて県立総合病院の一山智総長・病院長も委員として出席していることは心強い限り。角野理事の発言と合わせると県立病院として現地建替え整備の計画が水面下で進んでいるのかとさえ思われます。

改めて総合的な印象 来年度以降のことが全く不明 市民

の不安を高める 

 制約が極めて多い中で短期間に支援業務もなく実質な検討ができるのか。今日は船は無事に港を離れたとみてよいのか。

 これまでの検討経過、また常識的に考えても病院の現地で運営しながら半額で建替えることの可能性は見込めません。その場合どうするのか、来年度4月以降のことが全く示されていないことが市民の不安を高めます。

 今日の会議には自治会長会などからの市民代表的な立場の委員の参加がなかったことも気になりました。

 愛知県のO市、兵庫県のT市の場合は新市長の公約実施が無理で全市民に5万円が配られなかったとしても、極論すればそれまでです。しかし、野洲市の場合は市から医療が失われる深刻な事態になる恐れがあります。仮に、3月に現地運営半額建替え可能性ありという結果が出たとしても、竣工までには少なくとも8年かかります。現地でない場合は用地選定や造成などの期間を加えると十数年が必要です。先を見て相当な目的意識をもって取組まないと、船出どころか、船頭多くして船が山に登ることになります。そうならないことを願っています。

 なお、なぜか会場が狭く密であったことが心配であったとの声も聴きました。