今朝は日の出前、神社の神前に供えた火を左義長につけて自治会の人たちとそれぞれの願いを託しました。連日の寒気で冷え切っていましたが、風はなく、炎がまっ直ぐに勢いよく登って行きました。燃え尽きるころには空は白んで曇り空でしたが、心が洗われ、清々しい気持ちになりました。

ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサート 2021 オーケストラの第一の観衆は指揮者

 今年元旦のウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートのライブ中継も録画をしておいて、少し時間をずらして楽しみました。世界の90以上の国と地域で放送されているとはいえ、今年はコロナウイルス感染症対策のため、会場は無観客での演奏でした。毎年それぞれの指揮者と曲目で楽しい時間が過ごせますが、今年の演奏も無観客ではあっても、リッカルド・ムーティ円熟した指揮による緊張感と和やかさの相まったとりわけ素晴らしい演奏でした。地元オーストリアでもテレビの視聴率が45%を越え、好評であったと報じられています。

 素人の見解ではありますが、オーケストラにとっては第一の観衆は指揮者であり、優れた指揮者は自ら聴衆を体現しているはずですから、このようなことが可能なのだと思います。このことは他の組織でも同じことかもわかりません。自治体で言えば職員は市長の方を見ることによってその先の市民とまちのことが見える。市長は自ら市民と地域を体現している。そのためには、長は常に緊張をもってそこにずれがないかを検証し続けなければなりません。もちろん職員も長の方を見るだけでなく自らも市民とまちに関して同じ努力が必要ではありますが。中央政府でも同様です。

バルトーク自演の古いレコード『2台のピアノと打楽器のためのソナタ 』を聴く

 それはさておき、このニューイヤー・コンサートの創始者であるクレメンス・クラウス(1893年~1954年)がウィーン・フィルを指揮してシュトラウス・ファミリーのワルツやポルカを演奏したレコードがあったはずだと思って2、3日前から棚を探していましたが、なかなか見つかりませんでした。

 ようやく今日見つかりました。ただし、その前にこれも同じ50年程前に買って忘れていた、バルトークがピアノ自演のレコードが出てきました。最近バルトークのピアノ作品をまとめて聞いていたので、嬉しい副産物でした。『2台のピアノと打楽器のためのソナタ Sz.110, BB.115』など。もう一台のピアノはバルトーク夫人のディッタ・パストリが弾いています。1941年か1942年アメリカで放送用に演奏し、録音したものです。バルトークの次男で優秀な録音技術者であったピーターが後にリマスタリングしたもの。多様に楽しめました。

クレメンス・クラウス指揮の古いレコード シュトラウス・ファミリーのウィーン音楽

 次は目当てのクレメンス・クラウスのシュトラウス・ファミリーのウィーン音楽です。3枚シリーズでしたが取り合えず2枚が出てきて一気に聴き通しました。50年前、買った後しばらく後は良く聴いていましたが、モノラル録音でもあり、その後はあまり手にしていませんでした。今日久しぶりに聴いてすごく楽しめました。まったく古びていない。新鮮でノリが良く心が弾みそして品のある演奏です。

 クレメンス・クラウスの紹介を私が改めてする必要はないと思いますが、波乱の時代を生きた大指揮者です。音楽の実力はもちろん、人間としても実に魅力ある人物だと思います。ただし、ナチス時代もオーストリア、ドイツにとどまって音楽活動を行ったため、ナチスとの協力関係が後に問題視されることになりました。戦中も音楽活動を継続し、戦後のウィーン音楽の復興にも大きく貢献しました。ニューイヤー・コンサートもその一つです。有名な指揮者カラヤンも師事しましたし、後にニューイヤー・コンサートを隆盛に導いたヴィリー・ボスコフスキーを見出したのも彼です。