総額73兆円超の事業規模の対策第3次補正予算案

集中的な対策が打たれていても新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかかっていない状況です。対策の問題もさることながら、それ以上に今回の感染力が手強いといえます。それでも息切れすることなく、正確な状況判断に基づいて的確で大胆な対策が打ち続けられる必要があります。

先日政府が総額73兆円超にのぼる事業規模の対策を臨時閣議で決定された報道を見て、実効性が高い対策がたてられて、それが生きて効果を発揮するまでの見届けられることを期待してブログを書きました。

今回の対策は、新型コロナ感染症の拡大防止策ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現防災・減災・国土強靱化の推進の3本柱でなっているとされています。「この経済対策は、国民の命と暮らしを守る、そのために雇用維持し、事業継続し、経済を回復させ、グリーンやデジタルをはじめ、新たな成長の突破口を開くべく策定した」との総理の言葉も報じられています。そして、先ほど、今年度の第3次補正予算案が明日15日決定されるとして、「全容判明国債の新規発行額は112兆円余」という報道がありました。

第1波の影響対策でも不十分なのに第3波の感染拡大

今から見れば、第1波となる3月4月の段階で、新型コロナウイルスの感染の影響を受けるまでもなく、すでに生活や事業・就労状況の厳しい人たちに対して、影響緩和の対策として、野洲市では一刻も早く現金を渡す対策を打ちました。収入減、失職、家計が成り立たない、住居が確保できない、最悪あってはならない自殺ということもその時点でも心配されたからです。このことについては8月に書きました。それらの給付の段階では、国の一人10万円の定額給付金が続くことが分かっていました。しかし、それでも秋口には何らかの同様の追加支援が、また年末にも改めて同様に必要ではないかと想定していました。これは第1波が夏ごろに終息してそれ以降は再発なしという前提でです。ところが、現在は第1波、第 2波の影響に重ねて、これまで以上の感染拡大が続いています。

厳しい状況の「国民の命と暮らしを守る」精度の高い直接的支援策を早急・計画的に

報道と社会的関心は、当然感染者や重症者数の増加と医療のひっ迫、そして経済社会に及ぼす影響に焦点が当てられています。もちろんこれらの問題への対処は異論なしに重要です。しかし、先に述べた感染症の影響以前から厳しい状況で生活を営んできた人たち、そして感染症の影響以前はそうでなかったとしても、感染症の影響で同じような状況に置かれた人たちへの対策もあわせて重要です。

12年前、2008年のリーマン・ショックの時も米国株の暴落からはじまり世界的な金融危機へと広がりました。日本でも企業倒産、株価の暴落、そして非正規労働者の人たちの解雇と、先行きが見えない経済のみならず社会的危機でした。今回の場合は健康と命、生活から始まったそれを上回る社会経済危機です。政府の補正予算で見ても、過去最大規模だったリーマン・ショック時のものとは桁違いに大きくなっていることからもわかります。ただし、先の危機とは違って企業倒産では飲食店やサービス・小売業が多いことや株価が高値を維持していることなどから危機の深刻さが見えにくくなっています。しかし、先に述べた厳しい生活、雇用、事業状況に置かれている人たちの状況は同じかそれ以上かもしれませんが、その対策は実質的には今年度の2次補正でしか対応されていません。先に引用した、「国民の命と暮らしを守る」も「そのために雇用維持し、事業継続し、経済を回復させ」る筋書での対応しか見込まれていません。また、期待した1.5兆円の自治体への「地方創生臨時交付金」も営業を短縮する店舗への協力金などに使途が制約されているようで、自治体が住民の状況を見て政策を打てるようになっていません。それらの対策も重要ですが、なによりも先の定額給費金と比べてもっと精度の高い直接的な「国民の命と暮らしを守る」支援策が早急に、かつ計画的に打たれる必要があります。