なぜオ・スジェなのか
ソ・ヒョンジンの「また!?オ・ヘヨン」を思い出すようなタイトルだけど、オ・ヘヨンのときの6年前と比較すると、ヒョンジンはものすごく洗練された。
というか、役にものすごく憑依していた。
あらすじ
高卒ながらTKローファームのスター弁護士であるオ・スジェ(ソ・ヒョンジン)。
勝つためには手段を選ばない冷徹な彼女は、TKの会長チェ・テグク(ホ・ジュノ)も認める敏腕弁護士だ。
しかし、最年少にして代表弁護士への就任が決まった矢先、ある事件に巻き込まれてしまい、兼任教授としてソジュン大のロースクールに左遷されることに。
そこには、国選弁護人時代に殺人事件の被疑者として出会ったコン・チャン(ファン・イニョプ)がいた。
チャンはキム・ドングという名前を捨て、新たな人生を送っていたのだ。
複雑に絡み合う2人の過去と現在。企業売却、土地再開発を取り巻く権力者たちの欲望と悪事。
チャンはスジェの周囲で起きる不可解な事件からスジェを無条件に守ろうとするが…。
(「【韓国ドラマ】なぜオ・スジェなのか」公式サイトより)
考察 なぜオ・スジェなのか
初めから終わりまでソ・ヒョンジンに圧倒されたドラマだった。
美しくも豹のような目で、バッサバッサと相手の論点を切り崩していく。
いつ揃えたのかと思うほど周到な証拠の数々に、法廷ドラマって面白いなあと感嘆した。
名優がそろい踏みで、ストーリーも面白いけど、このドラマの見どころはなんていってもオ・スジェのキャラクターだ。
高卒のオ・スジェが事務所のトップ弁護士まで上り詰め、どん底に突き落とされる。
また、そこから這い上がる。
このスジェに大きく絡んでくるのが、チェ・テグク。
この人物を、今や、旬な俳優の一人とも言えるホ・ジュノが演じる。
テグクとの絡みはこうだ。
スジェは、初めから冷徹非情な弁護士だったわけじゃない。
スジェが始めて弁護したのは、国選弁護士としてのキム・ドング事件。
ところが、所属する法律事務所「TKローファーム」のチェ・テグク会長の命令で深堀せず、諦める格好となった。
スジェが生涯、唯一の悔やまれる事件だった。
テグクが深堀りさせなかった理由は、この事件の真相が自分の息子ジュワン(チ・スンヒョン)とその友人による犯行だったから。
彼女はジュワンの子どもを宿していた。
テグクは、スジェを嫁として認め、彼女をアメリカへ追い出した。
息子がすぐに追いかけるから、安心して産んでくれと。
しかし、本当に認めるはずもない。
子どもは死産と思わせ、ジュワンには別の女と結婚させた。
スジェは生きる気力を失った。
まるで人が変わったスジェに、テグクは勝てる弁護士のスキルをたたき込み、テグクの忠実な犬として育てた。
さらに、スジェを追い込んだのが、死んだと聞かされていた子どもがジュワン夫婦の子どもだとわかった時。
さらに、さらに、その子どもが、自分の目の前で死んだとき。
人間はどう強面に繕ったとしても、弱い部分は必ずある。
そうしたスジェの弱い部分を引き出したのが、年下のコン・チャン。
このドラマには「信じる」というセリフが多用されている。
スジェが「信じることを諦めた」のがキム・ドング事件。
コン・チャンはキム・ドング本人だった。
信じるという言葉で
息ができ、生きることができた
信じてくれる人がいたんだから
それで十分です。(コン・チャン)
10年前、キム・ドングは義理妹殺しの被疑者だった。
完全に冤罪だった。
国選弁護士としてドングの弁護をしたスジェは、100%ドングに向いていた証拠一切に違和感を覚え、ドングの無実を信じた。
その時のドングの心境がこの言葉に表れている。
考えてみたら、スジェは、誰も信じられない、自分しか信じない人間だった。
コン・チャンの言葉をスジェに当てはめるならば、スジェは、自分を信じることで息ができ、生きることができたのだろうか。
そしてまた、この「自分を信じる」はまさに、スジェの弁護士として信念だ。
私は依頼人を信じない。
弁護する自分を信じるの。
依頼人を信じることが重要なんじゃない。
依頼人を無罪にすること
それが弁護士の仕事よ。
この信念が確立したのも、その根底にキム・ドング事件で一旦はドングを有罪にさせてしまった負い目があったからだろう。
タイトルの「なぜ、オ・スジェなのか」は、何に対しての疑問形なのか。
なぜ、(テグクが直々に育てた相手が)オ・スジェなのか
なぜ、オ・スジェ(は不運な境遇)なのか
なぜ、(コン・チャンは)オ・スジェ(があそこまで好き)なのか
こういうタイトルだと、その答えを考えながら見てしまう。
で、結局、いろいろありすぎて、1つに絞られないまま終わってしまった。
ミステリー調としては、なんとも意外な結末。
テグクがねえ。やるう。
画像は映画.comさんから引用させていただきました。
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