知りたかったNSFのこと。

eSpring™ 浄水器Ⅱの優れた性能を示す証のひとつが、NSFの国際認証。「飲料水」や「公衆安全衛生」などの研究機関としてグローバルな活動を行い、信頼性の高い第三者認証機関として世界各国で認められるNSFインターナショナルについてお話を伺いました


NSFインターナショナルはNational Sanitation Foundationとして1944年に米国ミシガン州で設立された非営利機関(NPO団体)で、公衆衛生の向上に寄与することを使命としています。1990年代からは私たちの活動範囲は国際的に広がり、現在80ヶ国以上で使われる水の安心にさまざまなかたちで関わる研究機関としてグローバルに活動しています。北米における飲料水のクオリティ分野においてWHO(世界保健機関)の協力センター(Collaboration Centre)にも指定されています。 


NSFインターナショナルの出発点

出発点はフードサービスで使用される調理機器の衛生性の確立でした。1930年代、アメリカでは一般の人々が外食を楽しむということが始まっていました。しかし厨房で使用されるさまざまな調理機器の衛生性について、全国的な統一された規格・基準というものがありませんでした。そこでミシガン大学・公衆衛生学部の教授たちが、統一された調理機器の衛生性の規格の必要性を訴えたのが始まりです。この行動が、①製品規格を作成し、②その規格に対して製品の評価を行い、③第三者認証を行うNSFの設立につながったのです。

NSFマーク

アメリカのレストランでは、じつに多くのNSFマークを見つけられます。さまざまな調理器や設備、トレイの裏側にもNSFマークを見つけられると思います。次の旅行の際、ぜひレストランで探してみてください。

NSFインターナショナルの活動

現在、NSFは水や調理器に限らずさまざまな分野(サプリメントやサスティナブル関連製品など)において、規格を作成し、製品の評価を行い、第三者認証を行っています。活動範囲がフードサービスから他の分野に広がるにつれて、そしてアメリカから世界へ広がるにつれて、元々の名前にあった「Sanitation=衛生」だけではカバーしきれなくなってきたため、設立時の名前の頭文字を残し1990年に正式な団体名をNSF International(エヌエスエフ・インターナショナル)として活動するようにしました。


なぜNSF認証は各国で高い評価を得て
多くの企業がNSF認証を得ようとするのでしょう

そもそも第三者認証とは、利害関係を持たない機関が、規格・基準に基づいて製品の評価を行うということです。規格・基準に基づいてメーカーは製品を作ります。メーカーが独自に製品を検証し、規格・基準を満たしていることを宣言するのを自己認証(第一者認証)と言います。またメーカーが所属する協会や団体が認証するのを第二者認証と言います。利害関係がある境界・団体が認証するからです。これに対して第三者認証とは、全く利害関係の無い機関による認証です。NSFインターナショナルが提供しているのは、第三者認証。それも「最高基準の倫理と誠実性が求められ」「健全で科学的な原理に従う」ことから始まる価値観に支えられて、多くの信頼を得ています。

企業やメーカーが第三者認証を求めるのは、信頼を構築し維持するという一点に尽きます。ここでポイントとなるのは、製品を評価する規格・基準がしっかりしたものであるという点です。厳しく有益な規格・基準で評価されなければ意味がありません。また認証を行う機関が透明性のある信頼される機関でなければなりません。その点、NSFは世界有数の認証機関として知られています。企業がグローバルな展開を行う時に、輸出国でも適用されている基準を満たす認証なしではビジネスはうまくいかないですからね。


NSFの根幹にある考え方

INDEPENDENT(独立)
NOT-FOR-PROFIT(非営利)
NON-GOVERNMENTAL(非政府)
この3点は、NSFの根幹にある考え方です。

製品の性能や安全性を評価する機関として、どこにも寄らない中立的な立場を守り続けることの重要性を私たちは知っています。だからこそ私たちは北米をはじめヨーロッパ、ISO(国際標準化機構)などの政府や国際機関から認定を受けていますし、世界の多くの国々でNSF規格が国の規格にもなっています。海外ビジネスを行う時、NSF認証は信頼を勝ち取る近道だとも言えます。

NSFの知名度は日本ではまだ高くありませんし、一般の消費者に働きかけるという機会も多くありません。優れた製品がNSF認証を取得し、そういう優れた製品が市場に溢れるような状況に貢献したいと考えています。そのため、メーカーなどを対象としたセミナーなどを通じてNSFの規格、NSFの認証について啓発するという活動を行っています。

NSFと家庭用浄水器の関わり、
浄水器規格についてお教えください

NSFが浄水器に取り組むようになったのは1960年代後半です。当時アメリカでは、公害や大気汚染、水質汚染への社会的関心が高まり、家庭用浄水器が大ブームになっていました。しかし、きちんとした規格・基準が 

なく、さまざまな浄水器がさまざまな方法で販売され、市場は混乱していました。1970年にはEPA(米国環境保護庁)が設立され、安心・安全に関わる意識は高まっていきます。

NSFは1968年に浄水器メーカーとミシガン州関係者からの依頼を受けて、1973年に<NSF/ANSI 42>というおそらく世界で最初の包括的な家庭用浄水器の規格を作成しました。(ANSIとは米国規格協会のこと。日本のJIS=日本工業規格に相当)この規格の作成を起点として、米国の浄水器市場は健全な発展を遂げることになります。現在、9つのNSF/ANSI規格と3つのプロトコルが家庭用浄水器の規格として定められています。

NSFの規格は2種類

NSFの規格には英語で言うとStandard(スタンダード)とProtocol(プロトコル)の2種類があります。Standardとは通常の手続きを経て作成される規格で、eSpring™ 浄水器Ⅱが認定を受ける<NSF/ANSI42、53、401、55>の各規格が含まれます。これに対してプロトコルは緊急を要する事案などの場合に、専門知識を持つ人たちを中心に簡素化された手続きで作成する規格です。
スタンダード規格をつくるには、とても長い時間が必要です。規格によっては、18年かかったものがあるほどです。それほどNSFの規格は厳密に作られています。スタンダード規格の立案・作成には、メーカーなどの業界、監督官庁、そして消費者や小売業者からそれぞれ11人ずつ選ばれた33名のジョイント・コミュニティが携わります。しかも多くの場合、ほぼ全員の賛同が得られない限り認められない。私たちが作る規格に間違いがあってはならないからです。

ですが、新しく危険性がわかった物質があり緊急の対応を迫られた時に作成されるのが、プロトコルです。特定の新たな汚染物質を除去要求に対処し、規制当局による緊急の必要性のために作成されます。スタンダード規格のようにじっくりと検討できないときの手段です。やがて、このプロトコルも長い時間をかけて検討され、スタンダード規格になっていくのです。



NSFの認証は「取得よりも維持することがなお難しい」と言われます。これは、常に新しい発見があり、要求が規格に加えられるからです。新たに分かる汚染物質や危険性が判明した部材などに対応してNSFの認定基準が進化していくわけですから、製品を作る側もそれなりの覚悟を持って認証を取得してもらわなければなりません。一度NSF認証を受けたからといって、製品の進化を怠れば次の認定をパスできないわけで、メーカー側も常に緊張感を持って製品開発を行なわざるをえないですよね。

eSpring™ 浄水器Ⅱに適用されている
4つの規格と2つのプロトコルについて


まずは<NSF/ANSI 42>
家庭用浄水器の基本的な構成要件を規定した画期的な規格からご説明します。この規格では①材質の安全性、②構造の完全性、③除去性能、という基本要件を定めました。また除去対象物質は、感覚的な要因、すなわち健康に影響を与えるわけではないが、水をより快適に飲むために除去したい物質に限定しました。

解説:<NSF/ANSI規格>ANSI: American National Standards Instituteとは米国規格協会のこと。日本のJIS=日本工業規格に相当。NSFが作成した規格が、米国規格協会からも認定されていることが示されています。


<NSF/ANSI 53>は健康に影響を与える物質の除去を目的とした規格です。NSF/ANSI 42よりもより過酷な条件下での除去性能が求められています。



<NSF/ANSI 401>は、ごく微量ではあるが、薬品などの物質が飲料水から検出された、というのが発端です。非常に微量なので、健康に影響を与えるというレベルではありません。しかし消費者からの強い要望があり、これらの物質を除去するための規格として作成されました。




<NSF/ANSI 55>は紫外線に関する規格です。クラスAというのは、原水に含まれる微生物を不活性化する装置、クラスBは水が滞留することによって発生する微生物を不活性化する装置です。



最後に、二つのプロトコルを解説しておきます。
<プロトコル473>は、PFOS※1およびPFOA※2という非常に毒性の強い化合物除去に関する規格です。毒性が強いうえにさまざまな場所で検出されました。どちらの物質も現在は国際条約で使用禁止が決議されていますが、以前はいろいろな製品で便利に活用されていた物質です。残念ながら自然界ではほぼ分解されないため環境中に残り続けて水の汚染原因の一つとなっています。日本においても河川や井戸などで検出が確認され、その危険性が知られるようになってきています。





また、<プロトコル477>は湖や沼などの藻によってもたらされる毒性の強い物質の除去に関する規格です。両プロトコルともEPA(米国環境保護庁)が基準値を設定し、引き続いてNSFが規格にしました。現在ではどちらのプロトコルもスタンダード規格の<NSF/ANSI 53>に組み込まれています。

※1・2
PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(パーフルオロオクタン酸)は、フッ素系の撥水剤、防水剤、グリースなどに使用される物質。人体に蓄積する性質が指摘されている。