今日は「危機管理」がテーマです!

クロスゲームは危機体験の意思決定のためにとっても役立つゲームです!

 

 

今日は危機管理!

  • 1995年 阪神大震災、サリン事件の前に作成したので、直後対応が想定外だった。
  • これにより、すべて危機対応になった。

これは、被害想定がされていなかったことになる。

  • これによって、まずは危機管理では、想定外の1)人名安全 を行い、2)危機管理による対応 の順になった。

現在は、想定内の incident management ができていないことが問題である。

 

日本では災害対策本部という

  • 英語では、Disaster と訳すが、これは間違い。(Disaster は想定外のみになってしまう)
  • 本来は、Emergency と訳すべき。

日本語の危機管理には、命を守るという意味もある。

  • よって、Crisis management にプラスして。。。
  • Security management 重要であるが、この2つは区別すべきである。

首相官邸 ドロンのとき

  • Crisis management と訳したが、Security management と訳すべきだった。

 

緊急時の取り組み 原則3  199ページ

 

どういう組織を作ればよいか。

  • 有事の場合は現場に任すことが大事

組織としては、実行責任者のもとに、情報機能、分析評価、対応機能、広報機能 並ぶ 202ページ

 

 

JIQ2001

 

情報機能

  •  情報を収集する部隊

分析評価

  •  分析して対策を作る
  •  実行責任者に提言する

対応機能

  • 具体的な対応実施の指揮をとる。
  • 外部との連携

広報機能

  •  情報の共有
  •  記者会見だけでなく、ステークホルダーに情報を提供する。

 

一般的には、通常の組織が対策本部になるが、これでは人が足りない。

  • アメリカでは、人を集めて情報機能に30名を集めるのが普通
  • 日本では総務が代替するので、人が足りないままで進んでいく。

具体的な組織  203ページ

  • 上記の4つの機能に、既存の部門を割り付けていく。


早期警戒システム 101ページ

 

キリンビールの例

  • 世界中の現場で、リスクを発見したら、直属の責任者に報告
  • その後、本社の責任者へ報告し、法務、広報、危機管理事務局へ報告
  • そして、担当役員へ、最後は社長

メールは禁止で、必ず、対面か電話とする。

  • 書面も禁止
  • 連絡ルートを止めた人、遅延させた人は処分対象となる。(クビにもなる)

特急ルートは、認知した人が直接社長へ!

  • いかに早く、トップまで情報を伝えるかが重要

 

組織の作り方

  • 前述の機能は情報を軸として出来上がっている。

 

インシデントコマンドシステム (ICS)は情報の軸ではない。

  • 指揮・統制の配下に、情報分析、業務対応、後方支援、庶務財務 が並ぶ

後方支援(ロジスティックス)が日本は弱い

  • 長期間の戦争が日本にはなかったので、後方支援が弱い
  • 豊臣秀吉は後方支援の天才であった。(これは例外)
  • 広報は指揮統制が行う。
  • 庶務財務は、アメリカの特徴である。 有事に発電機が必要であっても、アメリカでは発注書が必要。 契約社会なので。
  • 日本では有事では、お金があとになる。

アメリカでは、ボランティアも怪我をした場合の対応は、事前に契約書にサインしている。

 

ICSの特徴

  • アメリカの災害対応の標準化である。
  • 14個の特徴がある。

複数組織が関与する現場での統一指揮  これが一番大切

  • 日本にはこれがないことが問題
  • 全国から応援がきても、烏合の衆になって、機能しないことが多い

災害の規模により、階層、組織を柔軟に変更可能

  • ★他の組織からの応援を想定している。 
  •    => すべての言葉を標準化
  • 交代勤務(8時間〜12時間) 
  •    => 日本にはこれがないので、有事に3日で疲労困憊してしまう! 
  •    => トップもこれと同じで交代制度である。
  • 部下の数は7名を限度 (8名以上はコントロールできない)
  • 平時はフラットな組織が良いが、有事は7名まで。
  • 責任体制の明確化(権限を移譲するまではトップが責任を保有する)
  • 担当が決まっていない仕事はトップが行う。 その後、トップが担当を割り当てる
  • 日常の組織を組み替える
  • 後方支援、庶務財務などを重要視する。

ICSの発端は、サンフランシスコの大火

  • 高級住宅が燃えてしまったため。

いまでは、これは全米標準になっている。

  • 必ず、市のいうことを聞くことになっている。
  • 日本では、国と県と市が同格なので、うまく機能しない。 応援のときに指揮系統がうまくいかない。

組織の絵 275ページ

  • 対策本部のレイアウトの例
  • サンホセ市の対策本部のレイアウト
  • (9.11後はこのようなレイアウトを開示してくれなくなった)


災害対策本部に必要なファシリティ 274ページ

  •  電話回線、インターネット、パソコン、腕章、時計、マイク、プリンタ、会社案内。。。。。。

 

東京海上は、これらをすべて準備している。

  • 会議室も確保してある。(有事の優先権がある)
  • 予行演習も行っている。

危機発生時のコミュニケーション 276ページ

  • 情報整理
  • ポジションペーパーを作成すること。
  • 記者会見でも使用する。
  • 作成理由は、状況認識を統一させるため
  • これに、権限委譲が可能となる。(これがなければ権限委譲しても、統一見解がないので、うまく機能しない)

 

ICSでは、12時間毎に要員交代になるので、その度に必ず文書で引き継ぎを行っている。 

  • これもポジションペーパーの一種。

何を統一するか。

  • 事実(状況)
  • 変化(12時間の変化)
  • 対処すべき課題  
  • 課題を解決するための方針
  • 今後の見通し
  • 対応計画
  • 対応計画の実施のための経営資源

それぞれの持ち分で引き継いでいく。

 

ポジションペーパーのサンプルあり。

  関西大学の例

 

インシデントであれば、事前に対応できるはずである。

  • これを時系列に示したものがある。 289 ページ
  • 4つにフェーズが別れている。

 1)初動、

 2)転換期(段取り、準備)、

 3)安定期、

 4)撤収期(もとに戻す作業、例えば、手作業の情報をシステムに入力してチェックするなど)

 

 

これらを、部門毎に書き出す。

  • サマリシートはトップが管理
  • 各部門は、自部門の対応のチェックリストを作成しておく。 箇条書でA4二枚程度

マニュアルとチェックリスト

  • 平時のマニュアル、有事のチェックリスト
  • 分厚いマニュアルは有事に読む暇はない。
  • 有事はマニュアルを熟知した要員が指示を出すためにチェックリストを用いる。(チェックリストで指示を出す)

アメリカは訴訟社会なので、マニュアルが沢山準備されている。

  • また、人が頻繁に入れ替わるので、マニュアルが重要になっている。

想定されている出来事のフロー (資料:19ページ)

  • 食品事故対応の手順 (東京の食の安全研修)
  • 関係行政機関への連絡&協議 もフローに入っている。

マニュアルは階層構造を持つものが良い 294ページ

  • ISO9000でそうなっている。
  • 4つの階層構造を持つマニュアルを作成する。

 1)危機管理マニュアル(規格の要件)

 2)業務手順書(時系列一覧表、チェックリスト)

 3)業務指示書(各部門の詳細な手引)

 4)業務報告書(連絡網、シート)

 

 

レベル1〜4 の詳細な項目 292ページ


ここまでがインシデント!!!

 

ここからがCrisis management  296ページ

 

危機管理のプロシジャー

 

問題解決の5つの問 (教科書は15個書いてあるが重要なものは次の5つ)

 

1)問題解決の目指すゴールは何か

   どうすればすくわれるか。 当面のゴール

   ★タイレノール事件では、「これ以上死者を出さないこと」と決めた。

2)トラブルの原因はなにか

   ★毒入りのタイレノールがある

3)解決策と代替案とを比較したか

4)対応策の進捗状況はどう確認するか。

5)対応策が成功した場合に残るリスクはなにか?

   ★すべて回収したあとのリスクは、倒産

   ★いたずらができない容器を作成して販売した

 

 

想定外なので、事前にシナリオが作れない。

  • 訓練は? => 重要

事案管理と危機管理  BS11200 (イギリスの規格)

  • インシデントとクライシスの違いが明記されている。

インシデント

  •  ラインで対応
  •  部下の対応を承認

クライシス

  •  経営者へ権限集中、トップダウンで意思決定
  •  すべてを救えない(ダメージコントロールを行う)
  •  権限委譲、詳細部分は任せる
  •  戦略的に切り捨てることろも出てくる(部門売却、解雇など)
  •  問題解決の手法
  •   前述の5つ

日本の役員は並列なので、有事になると、意見が衝突して決まらない。

  • ★社長と危機管理担当役員のみでよい。
  • => 危機管理担当役員は次期社長候補
  • => ここに優秀な人材がいないと、会社が潰れてしまう。

日大 アメフトタックル事件の場合は、ガバナンスの問題

  • 人事権持っている人(監督)が起こしたので、動けない状況になっている。
  • だれも逆らえない。
  • 社長の腹心の部下が何かをやったときに、誰も何も言えない。
  • 大王製紙もこの例
  • 企業の場合は社外取締役を入れるが、大学は外部取締役がいない。

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ケーススタディ(訓練、経験のかわりに)

  • チェックリストで簡単に指示はできない。
  • コンピテンシーが重要になる。
  • これは、経験と資格になる。
  • 経験の代わりに、ケーススタディーを行うことが重要である。

ケース内容

  • 最初の営業日 欠品連絡が相次いでいる
  • 配送した商品がオーダー内容と異なっている。

1)すぐ実施する項目(5つ)は何か?

  • 欠品状況の詳細をまず調査する。
  • 欠品の状況を各店に伝える
  • お客様対応を伝え、徹底する、お客様からのクレーム受付を設置する。
  • 現場からの情報の流れを一本化する。
  • 午後の発送に向けて、影響範囲、影響の大きさ、影響を与える時間などを分析する。

(みなさんの意見)

  •  商品の確認
  •  適正数以上のものを確認
  •  代替品で対応できるか
  •  欠品対応で良いか決める
  •  店を休業するかしないか。
  •  そもそも何が問題か? => 欠品が一番の問題 => 広告に出した商品がないと詐欺になる。

2)午後の配送に対応する方針を定める

  • 優先的に配送するものの決定
  • お客様から苦情を抑えるために必要なものを特定する。
  • 自社の利益になること

(みなさんの意見)

  • 欠品一覧を作成する

3)冷蔵庫に入庫できず腐敗する商品への対応を定めよ

  • 回収基準、安売り
  • 腐敗する商品の廃棄基準の設定と、廃棄の管理、確認
  • お客様への提供が行われない体制を組む

★こういうことを短時間で繰り返し練習していくことが大切

 

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危機管理の訓練

  • 危機管理の訓練としてクロスロード というゲームを行う。

クロスロード(ゲーム)

  • Y字路のイメージ
  • 選択することで、どちらを採用するか? を意思決定する練習
  • 質問に対して、YesかNoを判断していく。

クロスロード記録シートに記入していく。

 

採点

  • 全員一緒の場合 座布団  青座布団
  • 一人ノミの場合も座布団   金座布団
  • その他は多数決で座布団   青座布団

10個の質問はすべて実話である。

  • 実際に授業で行っても、今回も10個のケースで、全員が一致したものは一つもなかった。
  • これが現実にも起こる。
  • 意見を聞いて、社長が最後に決断することが重要である。

ネットでクロスロードを検索すると一杯でてくる。

 

 

 

★誤発注のケーススタディーで、「欠品が何か」が一番大切ということが、すぐに答えられなかった。

 危機管理能力をもっと高めていこう!

 

Yoshi