現実と虚構に追われる日々 -2ページ目

夢でもいい

今朝の夢はいつもと違って、気持ちのいい夢だった。

見ていて嬉しくなる夢。


それは、会社の同僚の森と楽しくおしゃべりをしている夢。

デートなのだろうか分からないが、二人で楽しく話していた。

何を話しているかは覚えていないが、とても幸せな気持ちになれた。

夢でもいいから、もっと一緒にいたいと思ったところで、

目が覚めてしまった。


会社に行く足取りは昨日に比べてとても軽かった。

今朝の夢のせいだろうか、それともあのゲームが終わったからだろうか。


職場につき、午前中の仕事を終えて、昼休みになった。


今日は何を食べようかと思って席を立つと、

ポンっと、肩を叩かれた。

ふと、後ろを振り返ると森であった。


「お昼ごはん、食べるとこ決まってるの?」


と、聞いてきた。


俺は少しドキドキしながら、

ううん、決まってないよ、と言うと、


「良かったら、一緒に食べに行かない?」


と誘われた。


心臓が本当にドキドキした。

今朝の夢の続きを見ているみたいだった。

もちろん、OKした。


会社から少し歩いたところの、

オープンテラスのカフェで一緒に昼食をとった。


注文をした後、辺りを見渡した。

とてもオシャレな店だった。


とてもいい店だねと言って、ふと横を見ると、

二つ隣の席にカップルが楽しそうにメニューを見ていた。

そんな俺を見た森は、


「ねぇ、今、彼女っているの?」


と聞いてきた。


自分には咲子がいた。

でも、彼女とはもう別れたようなものだった。


俺は、今はいないよ。最近別れちゃったんだ。


と言った。


「あ、そうなんだ。ごめんね。変なこと聞いて。

 聞かなかったことにしてね」


と言った。


うん、気にしないでと言った俺は、森の表情をうかがった。

気のせいかもしれないが、ちょっとホッとしているようだった。


俺は聞こうかどうか迷ったけど、思い切って聞いてみた。


森さんはどうなの?と。


すると森は、


「私も最近別れちゃった」


と言った。


それを聞いた俺は内心少し嬉しくなった。

でも、その後何を話していいか分からなくなったとこで、

タイミングよく料理が運ばれてきた。


「わぁ、おいしそう」


と、森は言った。


食べてみると本当に美味しかった。


とってもおししいね。というと、森は、


「良かった。気に入ってもらって」


と、嬉しそうに言った。


その後、会社に戻り、メールをチェックすると、

我孫子氏からメールが届いていた。


「今度の仕事の件で打ち合わせがしたいです。

 それと、クラブ「TAG」のことでもお話したい事があります。

 前回に食事した店に18:00に待ち合わせでお願いします」


俺は、「TAG」という文字を見て不安を感じた。

夢のなのか現実なのか

再びいつもの夢を見て、うなされて目が覚めた。


昨日の事がまだ鮮明に記憶に残っているので、

夢を見ているのか、それとも実際に体験しているのか分からなくなった。


確か、ゲームの期限は今日の24時までだった。

それを過ぎれば誰も追いかけたりしないのだろうか?

ゲームはそこで本当に終わるのだろうか?


今日は休みではないので、会社に行かなくてはならない。

出来れば一歩も家から出たくなかったが、そうはいかない。


俺は周りを警戒しすぎるほど注意しながら通勤した。

その行動から通勤中、周囲に変な目で見られた。


職場につくと、上司から次の仕事の話をされた。

先日、取引先の課長の我孫子氏から取り付けた仕事である。


その時、我孫子氏と同時にあの店のこと、

ゲームの事、そして昨日の出来事を思い出していた。


別所は今回の仕事が成功すれば、取引先の会社から、

大きな信頼を得ることができるから気を引き締めるようにと、

自分を含め、他の社員にも通達した。


その日はその仕事の仕様書などを書くため、残業をすることにした。


会社にいれば昨日みたいに追われたりしないだろうと思ったからである。


一人で遅くまで仕事をしていると、

同僚の森が缶コーヒーを片手に持ってきた。


「お疲れ様。少しは休憩したら?」


と言ったので。一息入れることにした。


「頑張ってるわね。なんだか急に変わっちゃったわね。

 納期前でもないのに、こんな遅くまで残業したことあったかしら?」


と、聞いてきた。


俺は、今回の仕事は大きな仕事だし、必ず成功させなくちゃならなから、

きちんと準備をしなくては思って。

と、本心はそうではなかったが、そう森に言った。


「とても頼もしいわね。少しは見習わなくちゃね。」


森はそう言った。


俺は、とんでもない、俺こそ森さんを見習うべきだよ。

森さんの仕事に対する姿勢とかを見ていつも感心しているよ、

と言った。


森は、恥ずかしがりながら、


「ありがとう」


と言った。


それから、少しの間二人で話した。

仕事のこと、趣味のことなど。

なんだか、とても楽しかった。

俺は森のことを意識していることがはっきりと分かった。

同時に森にもっと認められたいと思った。


しばらくして、森は、


「じゃあ、私もう帰るね。あんまり頑張りすぎないでね。」


と言って帰っていった。


その後も俺は仕事を続けた。

ふと、時計を見ると24時を回っていた。


もう、ゲームが終わった時間だ。


仕事の疲れからか、それとも期限が過ぎた安心感か分からないが、

急に力が抜けていくのを感じた。

明日、今回の仕事の件に関して我孫子氏と話し合うことになっていたので、

ゲームのことについても聞いてみようと思い、会社を後にした。


その日の帰りは、誰かに追いかけられるようなことはなかった。


ゲームは本当に終わったのだろうか…

背後から何者かが・・・

結局、昨日は一歩も家を出ることはなかった。


しかしそのおかげで、特に変わったことは何もなかった。

いつもの夢も見ることもなかった。


やはり、考えすぎなのであろうか?

俺はあの日の出来事を思い出していた。

顔を見せたとはいえ、見られたのはほんの十分ぐらいであったし、

顔だけ見ただけで、自分の居場所が分かるはずもない。


ただ、我孫子氏には名詞を渡してしまったし、

契約書にも住所を書いてしまった。


我孫子氏は個人情報の提示はしないといったが、

それだけは不安であった。


しかし、家に押し入ってまでペンダントを奪うことまではしないだろう。

そんなことをしたら犯罪である。


よく考えると、やはり詐欺にあったのではないかと思った。

冷静になれば、こんなうまい話があるはずがない。


店の雰囲気と、仕事の契約を取り付けた我孫子氏に、

まんまと騙されたように思えてきた。


そんな風に考えるとなんだか、びくびくしていた自分が情けなくなった。


携帯を見ると、最後の着暦には咲子の名前が入っていた。

もう、咲子と話すことはないのだろうか?

くだらない理由で喧嘩をしてしまったと思ったが、

もう、どのみち咲子とは続かないような気がした。


なんだか、何もかもくだらなく思えてきて、

腹も空いてきたので、外の空気を吸うことも兼ねて、

外食に出かけた。


でも、一応ペンダントは持っていくことにした。

まだ、心のどこかでは気にかかっていた。


家から15分ほど歩いた駅前の牛丼屋で食事をし、

コンビニでぶらぶらとしてから家に戻った。


しかし、途中で誰かがついてくるような気がした。

後ろを振り向くとフードをかぶった男と会社員らしき男がいた。


少し早歩きにすると、フードの男のほうがペースを上げた。


明らかに自分をつけてきていた。


俺は恐怖を感じた。


あの店にいた仮面をつけていた者なのか?

我孫子氏が話したように「鬼」の役目の者なのだろうか?


俺は、走り出した。

後ろの男も走りだしたのが足音で分かった。


このまま帰り、自分の家が知られるのはまずいと思い、

家の近くに来ても、帰らずにそのまま走り続けた。


後ろの男は、まだ追ってきている。


しかし、しばらくすると曲がり角で一台の大きなトラックが停めてあった。

俺はそのトラックの陰に隠れて息を潜めた。


フードの男は俺に気づかずにそのまま、次の角を走り抜けていった。


男が走り去ったのを確認すると、全力で家まで逃げた。

家に着くと、すぐに鍵をきちんと閉め、窓の雨戸も締め、鍵をした。


一体あの男は何だったのだろうか?

本当に俺はゲームに参加してしまったのだろうか。


そのとき、いつも見ている夢に酷似していることに気づいた。


まさか、正夢になるなんて・・・

現実だったのだろうか

昨日の出来事が頭に残り、よく眠ることができなかった。


あのクラブのこと、我孫子氏、そして仮面をつけた人達・・・

昨日のことは現実だったのだろうか?


俺は、外に出るのが怖くなり、ずっと布団の中にいた。


家には大した食べ物が残っていなかったが、

外食する気にはなれず、ずっと家で過ごした。


昼過ぎに、咲子から電話がかかってきた。


咲子は明日の日曜日に買い物に付き合って欲しいと言った。

しかし、俺は外に出る気がせず断った。

理由を咲子が尋ねたので、仕事が忙しくて疲れているから寝たいと言った。

すると、咲子は今までの不満をすべて吐き出すように俺に文句を言いだした。

俺は、なんだか面倒になり、適当に相槌を打っていた。

咲子はとうとう愛想をつかしたのか、


「少し距離を置きたい」


と言って電話を切ってしまった。


正直、どうでもいいと思った。


俺はその後も家に閉じこもり一日を過ごした。

ゲーム

(このエントリーの前の話はコチラ )


(続き)


店内に入ると、そこは少し暗めのパーティー会場のようであった。


店には20人ほどの客がいた。


しかし、店内の客は全て蝶のような仮面をつけていた。


俺は驚き、少し後ずさりをすると、

我孫子氏が、


「大丈夫です。決して危ない店ではありません。

 どうぞ中へ。私を信じてください」


と言った。


店の受付らしき男に自分を紹介すると、

その男は自分と我孫子氏に仮面を渡した。


仮面をつけるのを俺はためらったが、

店内では必ず着用と我孫子氏に言われたので、
しぶしぶ仮面をつけた。


店内を進み、テーブルの一つにつくと、

自分は周りをみながら、我孫子氏に、

ここは何なのですか?と尋ねた。


我孫子氏は書類と、「TAG」と書いてある

会員カードらしきものを見せながら話し出した。


「ここはちょっとした遊び、つまりゲームを提供しているクラブでして。

私はここのクラブの副支配人も兼ねています。

そこで、あなたを当クラブに招待したのです。」


ゲーム?と自分が尋ねると、我孫子氏は続けた。


「昔、鬼ごっこをしたことがありますよね。

 用はそれを、クラブの方達としようというのです。

 ただし、大人のね。

 つまり、ただ子供のような遊びではありません。

 それなりのスリルとそして賞金を用意してます。」


自分は、スリルと賞金とは?と尋ねた。


「このゲームに参加し、逃げる役割をする人には、

こちらのペンダントを渡しています。

その方にはこれをずっと持っててもらいます。

誰にも取られないようにです。

もしそれを一定期間「鬼」の役目の誰にも奪われずに過ごせたのなら、

その人には賞金を与えるとうルールです。」


つまり、鬼から逃げ隠れてしそのペンダントを守り通せば、

お金がもらえるということなんですか?と聞くと、

我孫子氏は、


「はい。なかなか理解が早いですね」


と答えた。


俺は半信半疑ながらも話を聞き続けた。


「もし、このゲームに参加したいならば、

 会員になり、ゲーム参加料を払えば、

 いつでもチャレンジできますよ。

 参加するか否かはあなた次第です。

どうでしょうか。」


自分は、少し興味がわいてきたので、

会員になるには、ゲームの詳しい内容は?と尋ねた。


「会員になるには一万円です。

 ゲームは三種類あり、それぞれ難易度と参加料金、賞金が異なります。

 A,B,CとありCが一番簡単なレベルです。

 Cレベルでは、三日間ペンダントを守り通せば、賞金が10万円出ます。

 参加料は一万円です。」


他のレベルはと聞くと、


「A,BについてはCレベルをクリアしないと教えることはできません。

 しかし、当然、賞金と難易度はアップします。」


俺は妙に興味をそそられた。


しかし、参加するかどうかは迷った。

本当に賞金は出るのであろうか?

何かの詐欺ではないであろうか?

そもそも、この怪しい店の雰囲気は何なのか。


しかし、先ほど契約を取り付けた我孫子氏の誘いを断るのも、

何だか悪い気がした。

せっかく大きな仕事を取り付けたというのに、

もしここで気分を悪くされたらどうなるか分からない。


俺はしばらく考えたが、ゲームには興味をあったし、

明日からの土日も休みだったので、

迷いながらも、Cレベルのゲームに挑戦することにした。


ルールが書いた書類に目を通し、契約書にサインをすると、

我孫子氏が、


「では、ここで仮面をとって下さい」


と言った。


俺は何故ですか?と答えると、


「今この店内にいる方があなたを追う「鬼」になるのです。」


と、ささやいた。


気づくと、店内にいる20人ほどの仮面をつけた人間が、

みんな自分のことを見ていた。


俺は背筋がぞくっとした。

そんな俺の様子を見た我孫子氏は俺にこう言った。


「大丈夫です。顔を見せるだけですから。

個人情報などは一切提示しませんし、

 暴力などをふるうこともありません。

 ただ、あなたに渡すペンダント取るか、

 盗むぐらいのことしかしません。」


俺は後には引けない状態となったので、

覚悟を決めて仮面を取った。


「今回のゲームのターゲットはこの方です。

 では、皆さんで大いにゲームを楽しんでください」


と、我孫子氏が発した。

仮面をかぶった男女から拍手が起こった。


俺は少し怖くなって、早くこの店を出たくなった。

ゲームはいつから始まるのかと我孫子氏に尋ねると、


「明日、つまり今夜0時きっかりに始まり、

 三日後の夜0時までです。」


時計は22時を回っていた。


もう、ここの店をでてもいいかと尋ねると、


「はい、結構です。

 期限までにペンダントを守りきったら、またこの店を訪れてください」


最後に我孫子氏は、


「ご健闘を祈ります。」


と言った。


俺は周りを気にしながら店を出た。


なんだか、とんでもないものに参加してしまったと思った。


俺は常に後ろやあたりを気にしながら、自分の家に向かった。

そして、しかっりと戸締りをして就寝した。


少し、今回のことを後悔していた。


明日から一体何が始まるというのだろうか…


謎の店

今日、ふとメールを確認すると、

以前システムを発注した際に会った取引先の

課長の我孫子氏からメールが届いていた。内容は、


「仕事のことで話があるので、今夜7時に一緒に食事をしながら、

打ち合わせをしませんか。」


とのことだった。


正直、また不具合が生じたのかと不安になった。


しかし、断るわけにはいかないので、

承諾のメールを返信した。


待ち合わせ場所の新宿に着くと、

我孫子氏はすでに待っていた。


立ち話もなんだと我孫子氏が言うので、

挨拶もそこそこに予約をしたという店に向かった。


店に着き、お互い注文をとると、

我孫子氏は話を切り出した。


内容としては、今回受注したシステムがとても良いので、

次回はもっと大きな仕事を依頼したいとのことだった。


正直、何か悪いことの報告かと思っていたので、

思いがけない商談に驚きながらも、ほっとした。


その後、食事を食べながらもお互いの会社のことや、

経済の話、スポーツ、趣味などの話を二時間ぐらいした。


我孫子氏は自分よりも一回りは年上なのだが、

意外と自分と話は合った。


会計は我孫子氏が全て払ってくれた。


店を出ると我孫子氏が、


「実はあなたに紹介したい店があります。

 今日あなたと会ったのは、仕事の話以外にもありまして。」


と言った。


俺は、何だろう、キャバクラかクラブかなと思った。


新宿の歌舞伎町をどんどん進んでいくと、

ある一軒の店に着いた。


店の外装は落ち着いていて、高級感があったので、

やっぱりクラブかなと思いながらも、妙に不安になった。


ここは一体何の店ですかと聞くと、我孫子氏は、


「中に入ったら説明します」


とだけ言い、扉を開け自分を中に招き入れた。

つかの間の休息のはずが・・・

ここ数日働きづめだったので、今日は思いっきり寝ることができた。

あの夢を見ることがなかったので、久しぶりに熟睡できた。


目が覚めるとすでに正午を過ぎていた。

もっと寝ていたかったが、この前の日曜日の埋め合わせにと、

今日は彼女とデートの約束をしていたので、

色々と準備をするために起きることにした。

シャワーを浴び、朝食を抜いた昼飯を食べ、

身だしなみを整え、銀行でお金をおろすなどをして、

待ち合わせ場所の渋谷に向かっているうちに、

時間の18:00の30分前になっていた。


いつものカフェでお茶していると彼女の咲子が店に入ってきた。


咲子とは、一年前に知り合い、今まで付きあっているが、

最近はお互いの仕事ですれ違いが多くなっていた。

特にここ一ヶ月は俺の仕事の関係で一度も会っていなかった。


二人で予約していたフランス料理を食べに行き、

その後ホテルに入り、咲子を抱いた。


ここ最近会っていなかったので、咲子はいつも以上に俺の体を求めた。


でも、俺はあまり咲子が求めているようには愛撫してあげることはできなかった。


ここ数日の疲れからか、それとも、

咲子自身に愛を感じなくなったのかもしれない。


終わった後、俺は疲れていたので、

咲子に背を向け横になった。

咲子はあきらかに不満な様子であったが、すぐに寝てしまった。




また、あの夢を見ていた。

「何か」に追いかけられる自分。

その「何か」を振り切ったと思ったときに、

不意に俺の肩を掴む男がいた。


その男の顔はどこかで見たことがある気がした。

俺はその顔を確認するためもう一度、

その男の顔を見ようとした。


しかし、そこで目が覚めてしまった。


あの夢からの解放

朝5時になってようやくシステムが完成した。


仕事に携わった者たちは、一斉に安堵の表情と、

疲れきった表情を見せた。


池田が自分に対して、お疲れ様でした、と声をかけた。


自分も上司の別所や先輩の榎本、同僚の森らに、

お疲れ様と声をかけた。


10時に取引先の企業にシステムとともに企画書、提案書を届けることを、

自分と森が頼まれた。


それまで、仮眠をとってもいいとのことだったが、

疲れているわりには目が覚めていて寝れそうになかった。

多分、あの夢のことを心のどこかで恐れていたのだろう。


9時に森と一緒に会社を出て、取引先に向かった。


森は化粧を整えなおしてきたので、

昨夜と比べ端整な顔立ちが戻っていた。


森は社の誰もが認める美人であり、スタイルもとても良いので、

彼女がいながらも、森のことがとても魅力的に見える。

そんな美人の森と一緒に歩いていると少し優越感を感じた。


森は、そんな自分の心中をよそに、話し出した。


「今回の仕事はいつにも増してつらかったわね。

 納期が最終的には二日短くなったのが原因よね。

 おかげで週末は全然楽しめなかったわ。

 明後日は有給とって3連休にしちゃお。」


実は自分は明日から休みをもらっているので、

実際には4連休になる。

思いっきり休みたいと思っていた。


取引先に到着し、担当部署に通されると、

二人の姿が見えた。


システム部の部長の渡辺氏と同課長の我孫子氏であった。


お互い名詞を交換すると、さっそく今回の件について話し合った。


先方も突然の納期短縮を詫びていたが、

システムの出来を心配していたので、

社の者で死ぬほど頑張ったので、心配要りませんと言った。


途中、我孫子氏の視線を妙に感じたが、システムの説明と、

導入、保守に関することなどを細やかに二時間ほど話した。


説明を終えて社に戻ろうとすると、

我孫子氏が自分に対して、


「今回の件についてはまた連絡をします」


と、話した。


何故か我孫子氏に関しては不思議な印象を受けた。


社に戻り、上司に報告し早めに仕事を片付け、退社した。


家に帰り、シャワーを浴び、ビールを飲みながら食事を済ませると、

いつの間にか寝ていた。


すると、ここ数日悩まされていたあの夢を見ることはなかった。

今日も

今日もいつものように「何か」に追われる夢を見た。


いつもはその「何か」に追われつつも、

なんとか捕まらずに逃げるか、あるいは、

どこかに隠れるなどしてその「何か」から逃れていたのだが、

今日の夢では危うく捕まりそうな感じがした。


暗い道を必死に逃げる自分を追いかける「何か」。


やり過ごしたり、撒いたと思っても、次から次へと現れ、

自分を追ってくるもの。


あと、一歩のところで捕まるというところで目が覚めた。


シーツと枕は汗でびっしょりになっていた。


しかし、今夜はその夢を見なくて済みそうである。


なぜなら、明日に迫った納期の仕事をするために、

今日は徹夜だからである。


会社では、はいつも早く帰る上司に加え、

同僚に先輩、後輩の社員も一緒になり、

仕事を深夜まで続けた。


上司の別所は書類に目を通しながら眠い目をこすっている。


同僚の女性社員の森はなんだか寝不足のせいか、

普段のきれいな顔だちに比べると、かなり暗い印象を受けた。


先輩の榎本はドリンク剤を飲みほし、

コーヒーを片手にキーボードをたたいている。


後輩の池田もつかれきった体に鞭打って必死の形相で、

パソコンに向き合っている。


自分も睡魔が幾度と襲ったが、寝るわけにはいかない。

何よりもいつもの夢を見たくないと思っていた。


そんなことを思い、必死に仕事を続けていると、

いつの間にか外は明るくなっていた。

再びあの夢を

今朝もいつもの追われる夢を見て目が覚めた。


ここ数日同じような夢を見ている気がする・・・


昨日の休日出勤のおかげで、

仕事のほうはなんとかめどがつくようになった。


発注したシステムのトラブルも同僚との努力の甲斐あって、

今日、修正結果を得意先の会社に出向いて提出し、

なんとか事なきを得た。


途中、後輩とカフェに食事がてら休憩をした時に、

いつもの夢のことをふと話してみた。


「よしさん最近相当ストレスたまっているんじゃないですか?

 多分、それが原因ですよ。僕もここんとこほとんど眠れませんから。」


と、後輩の池田は俺の身を心配しつつも、

池田自身も疲れがひどくて、早く休みが欲しいとぼやいた。


俺は追われている夢を見たことはないかと池田に聞いてみた。


「夢なんてみている暇ないですよ。

 わずかな時間を寝るのに必死ですから。」


と、答えた。


「とにかく、もう一分張りですよ。」


と言って会計を済ませに池田は席を立った。


俺は夢のことを少し不安に考えながらも、

あと、二日後の納期の仕事が終われば、

こんな夢も見ることはないだろうと思い会社へと戻った。