光の帝国 | ひとりアーカイブス2012

光の帝国

光の帝国しばらくブログ更新しない間に読んだ本が溜まってしまった。ていうか本を読む時間もほとんど無かったんだけど…。それでも通勤の間とかトイレとかで読んだ本がいくつか。そういうわけで、恩田陸著「光の帝国~常野物語~」。
オイラが今書いている戯曲に「ちょっとだけ特別な能力のある人」が登場するのだが、これを見てうちの劇団のイシイ&チャコ両名が薦めてくれたのが本作品。読んでしまうと影響されて、自分の台本が似たような内容になってしまわないかと一瞬躊躇したが…結局読んでしまい、そして読み終わった今としての感想は「読んでよかった」という感じだ(どう影響されるかというのは、今後台本を書き進めてみないと分からないが…)。
「常野」という地方/一族出身の特殊な能力をもった人達を主人公にした連作短編。それぞれの話しで違う能力をもった人が登場する。とんでもない量の情報をもの凄いスピードで記憶できる人や、未来が見える人、通常の何倍も生きている爺さん…。どう考えても普通ではありえないような人達だが、どこかに実際に居るのかもしれない…と思わせる。世間の中で目立たぬように生活している様がリアルでもあり、悲しくもある。彼らは日々社会の渦と賢明に戦っているのだ。そんな様子を描いている。
中でも印象深かったのが本のタイトルにもなっている「光の帝国」という物語。これだけは他とは違い、現代ではなく戦時中の話しだ。特殊な能力を持っているが故に、軍部はそれが子供だろうが女性だろうが利用しようとし、協力しないのならば皆殺し…なんとも非情な扱いだ。同じことは現代にも言える。人とは違う能力を持つ人間は、ひとつ気を許せば利用され、逆らったのなら異分子として処分される。群衆とは、社会とは、世間とはいつの世もそんなものなのだろうか?
特殊な能力は、持たない人には特別でも、持っている人には重荷でもある。オイラはこの本を読んで「普通の人間」ってどんなだろう?と改めて疑問を持ってしまった。何ができるのが当然で、何ができないと劣っているというレッテルを貼られるのか?人の差別は身近な所にあるのだと知った。著者の真意はそこにないのかもしれないが…。