こんにちは、ライター・インタビュアーの芳麗です。

 

 本日のVoicyでは、以前、番組の対談ゲストにもきてくださった、スープ作家の有賀薫さんの新刊をご紹介しています。

 

 まずは、ぜひ、聴いてみていただけると嬉しいです。

 

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 私はもともと、料理や美味しいものエッセイが大好きなんですけど……。

 

 敬愛する有賀さんが初めて、レシピではなく、エッセイ本を出されるということで、すぐに購入して楽しみに読みました。

 

 これが想像以上に面白かったし、心にも生活にも役立ちました。

 

 

 本書には、有賀さんが長年の主婦生活の中で醸造させてきた、台所の知恵とか、簡単かつ日常的に作れそうなレシピなども紹介されていますが、軸として描かれているのは、有賀さん自身のことや家族のことであり、人生なんですよね。

 

 有賀さんの飾らないけれど、クリエイティブな人がらもより身近に感じられるのはもちろん、有賀さんの旦那さまのことやお父様のことまで近く愛しく感じられるようなエッセイ集。

 

 そして、各エピソードには、そこに登場するレシピも1つづつ掲載されています。

 

 料理を愛する有賀さんが面倒な日に作るスープご飯やお父さん直伝のポテサラなどなど、ぜひ食べてみたいレシピがたくさんありました。

 

 キッチンの先輩として、生活のなかで授かったいろんな知恵を授けてくれます。

 

 たとえば、無限にスープのレシピが生まれるのは、「スープの方程式」があるからだなんていうお話も興味深く。

 

 スープとは、(素材)×(だし)×(オイル)×(調味料)で作られるものだから。

 

 たとえば、素材が同じ(鶏肉・玉ねぎ)でも、そこに(だし)として(コンソメ)を掛け合わせるのか、(鶏ガラ)なのかで全く変わってくるし。さらには、(オイル)も(オリーブオイル)か(ごま油)なのかで、スープの国籍すらも変わってくる……etc.というお話。

 

 この方程式って、多くの人は無意識に使っていると思うんだけど、きちんと理解して使いこなせたら、きっとレシピに頼らない自分だけのスープが作れたりするんじゃないかなって思います。

 

 有賀さんの読者に優しく語りかけるようなエッセイを読んでいると、私たちが、半ば、義務としてやっていたはずの台所仕事や日常の雑事からも、いろんな発見をしていて、自分を作ったり、深めていたりしているんだなと気づかされます。

 

 晴れの日も雨の日も、普通の日も腐っている日も、私たちは料理や食を通じて、日常を紡いでいるし、その日常の積み重ねが人生になっているんだなと。

 

 とても豊かな気持ちになれた一冊でした。

 

 こうして私は料理が得意になってしまった

 

 ちなみに、本書の中で、有賀さんが、数年前に、何人かで「家のご飯についてただ語り合う会」を開いていたと書いていらっしゃいました。

 

「ただ、ご飯のことを話すだけなのに、毎日のことなのに、どんどん話が出てくる。

そして、どの家も本当に個性的で、同じ食べ方をしている 人は1つもなかった」

 

 そう書かれていて、なるほどな、確かになと。

 

 「私の家の朝ご飯って普通だよ」って重い人は多いけど、「朝は目玉焼きと納豆とお味噌汁でね」と言っても、その目玉焼きにかけるのは、人により、醤油、塩、ケチャップ、ソースかもしれないですよね。

 

 「よそはよそ、うちはうち」という古の格言は真実ですね。

 

 でも、だからこそ、人の家のご飯が気になるし。

 

 実は、家庭のみならず、個人個人も、それくらい実は違うんだよなと改めて。

 

 私もはいろんな人にインタビューしていると、有名無名にかかわらず、「私の人生普通だよ」とおっしゃるけど、経歴は平均的でも、ディテールや背景や思いまで聴いてみると、全然違っていて、だから魅力的で面白い。

 

 有賀さんのキッチンにまた遊びに行きたいし、有賀さんとこの会をご一緒したいなと思いました。

 

 

 皆さんも、良かったら、ぜひ読んでみてくださいませ。


📷写真はある日のお弁当🍱